あれは,あれで良いのかなPART2

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王子vs北越の買収合戦,同情するなら株をくれ

2006年08月03日 01時46分32秒 | 経済全般
王子製紙北越製紙との間での経営統合の話し合いは完全に決裂し,いよいよ王子製紙が敵対的TOBを仕掛けることになりました。これに対し,北越製紙側は明確に反対した上で徹底した防衛策を講じ,三菱商事との間の第三者割り当てによる増資話を本格的に進めていくことになる見込みです。
一方で,王子製紙側は,新株発行差し止めなど法的措置も検討しているようで,去年のフジ対ライブドアのような状況になりつつあります。

北越製紙、王子製紙のTOBに反対 買収防衛策発動へ (朝日新聞) - goo ニュース

パルプ経済になるのか?

まず大前提として,「王子製紙のTOBはけしからん」と言っている方々が結構いますが,少なくとも王子製紙は何一つ間違ったことはやっていません。北越製紙は上場企業なわけですから,当然誰でも株式を購入することができます。っていうことは,当然企業買収の対象になっても全く不思議ではない訳なのです。
もし,買収されるのが嫌ならば,上場しないこと,株式に譲渡制限を付けること,数種の株式を発行しておくこと,経営者や友好会社の持ち株比率を上げておくことなど様々な自衛手段が講じられるはずです。
この点は,ライブドアや村上ファンド問題の時,さんざん問題になってきていたわけですから,むしろ防衛手段を講じていなかった北越製紙側の経営陣に認識の甘さがあったといわざるを得ません。
また,敵対的TOBという表現から,あたかも「王子製紙が嫌がる北越製紙を強引に買収してしまう」みたいなイメージありますが,これは言葉のあやにすぎません。正確には,株式取得後に経営陣を入れ替えるかまたは合併をするか等の措置を講じるにすぎず,基本的に従業員にはほとんど影響のない話です。したがって,北越製紙側が主張する「従業員の士気の低下云々」は,詭弁に過ぎません。
さらに,「人として王子製紙のやり方はおかしい」という考え方もあるようですが,今の時代,このような浪花節的経営は世界的には通用しません。仮に王子製紙が経営統合を断念したとしたら,即座に外資が同じようなことをやってくることでしょう。むしろ,外資の場合,買収後は日本企業以上に露骨な対応に出る可能性が高いです(ハイエナファンドのように買収会社の財産だけもらってあとは捨ててしまうなんていう例もあるくらいですから。)。

したがって,人情的には「王子=悪,北越=弱者」みたいな絵を描いてしまっている人も多いのかもしれませんが,実際の所,本当に悪い人もかわいそうな人も,この中には誰もいません。
むしろ,現実的には,北越製紙経営陣は,「同情するなら株をくれ」と家なき子状態にあるといえるでしょう。

あとは,三菱商事の動きです。三菱商事は第三者増資で株式取得を前提に動いていますが,敵対的TOBに対抗するために,友好的(対抗的)TOBをかけてきて株主を揺さぶるということもあり得ます。この辺は,三菱商事として北越製紙の企業価値をどの程度見ているのかによって,大きく動きが変わることでしょう。いずれにしても,この動きにも目が離せません。

いずれにしても,この敵対的TOB,株主の判断が大きく左右してきます。
株を王子製紙に売るか,それとも北越製紙を守るために株を保持しておくかは,
自由だー!!
犬井ヒロシ風に)

今後の製紙業界の行方,大きく気になるところですが,それ以上に,日本でもいよいよ企業の欧米化が進んできたといえるでしょうね。王子製紙に対し,「欧米かよ!」ってタカアンドトシにでも突っ込んでもらいましょうか?

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2 コメント

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確かに! (masa)
2006-08-03 17:30:11
 確かにTOBされるのが嫌なら、上場しなきゃいいのであって、「日本人なら情を持て」は通じませんね。



 私は今のビジネス間には、情はまず不要なのではないかと思っています。会社と言っても大企業だけではないし、同族でも会社です。



 要は記事中にあるように「やられたくなければ、予め手を打て」という事になるでしょう。

 ライブドアやフジの一件を知らなかったとは言えないでしょうしね。
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masaさま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2006-08-04 01:15:58
こんばんは。

買収が嫌なら上場しなければよい,それだけの話なのです。上場することによるメリットは相当大きいでしょうが,当然リスクを受け入れなければ,それは単なるわがままといわれるでしょう。



ところで,本件については,同業の日本製紙がTOB阻止を図って参入してきました。当然,このような動きもTOBの世界では想定の範囲内の出来事ですが,果たして王子側に強力な援軍が来るのか,今後の動きに要注意です。
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