関東地方では梅雨も明け,いよいよ夏本番,という状態でしたが,夏の風物詩であるプールにおいて,悲しい事故が発生してしまいました。
市民プール排水口に女児吸い込まれ死亡 埼玉 (朝日新聞) - goo ニュース
何が原因なんだ?
事故の詳細等については,新聞報道に委ねたいと思います。また,被害者少女に対しては,哀悼の意を表します。
さて,事故原因について様々な憶測がささやかれています。もちろん,これから警察の捜査などですべてが明らかになってくると思いますが,実は,このような事故,他のプールでも起こりうるのです。
そこで,ちょっと視点を変えて,事故原因となりうる要素(もちろん,今回の事故の原因となったかどうかは定かではありませんが)を検証してみたいと思います。
1 指定管理者制度の導入
従来,市町村の施設については,市町村直営の財団法人が管理するか,管理業者との間で随意契約を締結することで管理してきた場合が多かったです。この場合,いずれの手法においても,市町村は「結構な金額」を払うことになったため,当然管理者側もそれなりの管理体制を取ることができました。
ところが,今年から多くの施設について「指定管理者制度」を導入しました。これは,従来の随意契約から,入札によって管理者を選任すると手法を取っています。
この場合,もしも複数の業者が参入することが見込まれた場合,当然入札ではこれまでよりも安い金額で契約を締結することになります。
すると,業者側は儲けを維持するために,まず「人件費」を削除するわけです。一番手っ取り早いのは,監視員などの「人減らし」です。
今回のプールについても民間会社が管理者ですが,指定管理者であったのかどうかは定かではありませんが,もしも入札で決まったとすれば,可能性として,管理会社側が十分な人員体制を用意してなかったということが考えられます。
また,他の地域でも,同様に監視員が減っている,ということがあり得るでしょう。そういうところでは要注意です。
2 市町村合併による施設の統廃合
このふじみ野市は,大井町と上福岡市が合併して誕生した町です。そして,市民プールについては,旧大井町の町民プールで事故が発生しました。
ところが,このプールは1986年に作られた施設で今年で20年経過しています。プールとしては,そろそろ寿命という時期にあったといえるでしょう。
一方,旧上福岡市にあったプールは更に古い施設であったことを理由に今年からこのプールの利用を停止しました。
つまり,可能性として,本来は廃止するべき施設を結構無理して使っていた,ということが考えられるのです。
合併によって,施設の統廃合を進めていくことは,税金の無駄遣い減らしという点からむしろ当然起こる話だといえます。しかし,逆に施設を無理矢理維持するために,本来は廃止するはずの施設を強引に利用していたとしたら,施設に無理が生じて何らかの事故が発生しないとも限りません。
今回のプールも,果たしてどの程度老朽化が目立っていたのか,またはまだまだ余裕の施設だったのか,この点についてもう少し検証する必要があるでしょう。
3 市長の安全に対する認識
今さらですが,安全対策を怠るとどうなるのか,私たちはここ数年の様々な事件事故を通じて身をもって体験しています。
ところが,国や地方自治体の多くは,財政難解消のために様々な予算を削減しています。特に,「修繕費」関係については,結構予算が削減され後回しにされる傾向が強いです。なぜなら,修繕自体は地味な作業であることから,市長の実績として大きく紹介することができないという市長の選挙対策上の理由が大きいからです。
しかし,修繕をおざなりにするとどうなるのか,当然の代償として「危険」が待っています。
己の実績のために危険を放置するような市長であったとしたら,市民の安全をないがしろにしている市長であるといえるでしょう。そんな人が市民のために政治が行えるはずがありません。
ふじみ野市長がどうだったのか,現段階では全く分かりませんが,もしプール設備の予算を職員から予算要求があったのにあえてそれを削除していたとすれば,「残念な市長」といわざるを得ないかもしれません。
以上,おそらくあまり回りが突っ込まないであろう論点を中心にコメントしてみました。
みなさんの町のプールだ大丈夫でしょうか?おそらく,今週当たりから緊急点検が始まると思います。とりあえず,「危険部署には近づかない」という自己防衛手段を講じておくとよいでしょう。
(8月3日追記)
ふじみ野市に対する責任追及祭りが始まってしまいました。
まさに,以前私が書いた「ベタニュース」と全く同じパターンになっています。
責任追及は結構ですが,あまり変なところを突っ込むと本質を見失う可能性がありますので,報道内容をあまり鵜呑みにしないようにした方が良い場合もあるでしょう。
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事故の詳細等については,新聞報道に委ねたいと思います。また,被害者少女に対しては,哀悼の意を表します。
さて,事故原因について様々な憶測がささやかれています。もちろん,これから警察の捜査などですべてが明らかになってくると思いますが,実は,このような事故,他のプールでも起こりうるのです。
そこで,ちょっと視点を変えて,事故原因となりうる要素(もちろん,今回の事故の原因となったかどうかは定かではありませんが)を検証してみたいと思います。
1 指定管理者制度の導入
従来,市町村の施設については,市町村直営の財団法人が管理するか,管理業者との間で随意契約を締結することで管理してきた場合が多かったです。この場合,いずれの手法においても,市町村は「結構な金額」を払うことになったため,当然管理者側もそれなりの管理体制を取ることができました。
ところが,今年から多くの施設について「指定管理者制度」を導入しました。これは,従来の随意契約から,入札によって管理者を選任すると手法を取っています。
この場合,もしも複数の業者が参入することが見込まれた場合,当然入札ではこれまでよりも安い金額で契約を締結することになります。
すると,業者側は儲けを維持するために,まず「人件費」を削除するわけです。一番手っ取り早いのは,監視員などの「人減らし」です。
今回のプールについても民間会社が管理者ですが,指定管理者であったのかどうかは定かではありませんが,もしも入札で決まったとすれば,可能性として,管理会社側が十分な人員体制を用意してなかったということが考えられます。
また,他の地域でも,同様に監視員が減っている,ということがあり得るでしょう。そういうところでは要注意です。
2 市町村合併による施設の統廃合
このふじみ野市は,大井町と上福岡市が合併して誕生した町です。そして,市民プールについては,旧大井町の町民プールで事故が発生しました。
ところが,このプールは1986年に作られた施設で今年で20年経過しています。プールとしては,そろそろ寿命という時期にあったといえるでしょう。
一方,旧上福岡市にあったプールは更に古い施設であったことを理由に今年からこのプールの利用を停止しました。
つまり,可能性として,本来は廃止するべき施設を結構無理して使っていた,ということが考えられるのです。
合併によって,施設の統廃合を進めていくことは,税金の無駄遣い減らしという点からむしろ当然起こる話だといえます。しかし,逆に施設を無理矢理維持するために,本来は廃止するはずの施設を強引に利用していたとしたら,施設に無理が生じて何らかの事故が発生しないとも限りません。
今回のプールも,果たしてどの程度老朽化が目立っていたのか,またはまだまだ余裕の施設だったのか,この点についてもう少し検証する必要があるでしょう。
3 市長の安全に対する認識
今さらですが,安全対策を怠るとどうなるのか,私たちはここ数年の様々な事件事故を通じて身をもって体験しています。
ところが,国や地方自治体の多くは,財政難解消のために様々な予算を削減しています。特に,「修繕費」関係については,結構予算が削減され後回しにされる傾向が強いです。なぜなら,修繕自体は地味な作業であることから,市長の実績として大きく紹介することができないという市長の選挙対策上の理由が大きいからです。
しかし,修繕をおざなりにするとどうなるのか,当然の代償として「危険」が待っています。
己の実績のために危険を放置するような市長であったとしたら,市民の安全をないがしろにしている市長であるといえるでしょう。そんな人が市民のために政治が行えるはずがありません。
ふじみ野市長がどうだったのか,現段階では全く分かりませんが,もしプール設備の予算を職員から予算要求があったのにあえてそれを削除していたとすれば,「残念な市長」といわざるを得ないかもしれません。
以上,おそらくあまり回りが突っ込まないであろう論点を中心にコメントしてみました。
みなさんの町のプールだ大丈夫でしょうか?おそらく,今週当たりから緊急点検が始まると思います。とりあえず,「危険部署には近づかない」という自己防衛手段を講じておくとよいでしょう。
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ふじみ野市に対する責任追及祭りが始まってしまいました。
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特に1については、シティハイツ竹芝のシンドラー社エレベーター事故のSECエレベーターを嫌でも連想しますね。
公共施設というのは今、非常に難しい問題を抱えていると思います。老朽化を理由に新たに建設すると発表すると、箱物行政とか、税金の無駄遣いという批判が出てくることが多いですね。確かに、これまで数々の無駄遣いをした実績(?)が有るから、こういう批判が出てくるのも当然なのですが、これが2に該当しないかどうか見る冷静な目が必要でしょうね。本来は議会が行政のお目付け役にならなければいけないのですが、肝心の議会が無駄遣いを見逃したり、逆に加速してたりしますし。議員報酬をカットして公正なオンブズマン組織に判定させるとか……。まあ、何にしろ難しい問題になる感じです。こういうのって、人が死んだりしないと真剣に取り組まないんですよねぇ。
しかしめちゃくちゃ急に夏さん登場で、体が切り替わってませんよね。うーんアツはナツいです。
ナツだけにベタベタ(汗)
話変わって、プールではありませんが、田舎のたんぼのあぜ道と水路。昔はあぜ道と水路の間には十分なノリ面があったのに、最近はあぜ道が拡幅されて軽トラックの通れる簡易舗装道路となり、その分水路幅は狭く深くなり、ノリ面はコンクリートで垂直に。その結果、昔は水路をまたぐ、せいぜい数十cmの丸木橋は幅数メートルのコンクリート道路となりその下は長さ数メートルの暗渠、その入口に格子はありません。田植え時などは充分に死のトンネルになり得ます。ワン公散歩のときなど、ワン公がそんな水路に落ちないようにと怖い思いをしたものでした。田舎の田園地帯も今は危険がいっぱいですが、そんな声はどこからも聞こえてきません。
役所も経費削減を理由にして様々な経費を削減していますが,このように安全性の部分について削ってしまい,本来削るべき部分を残しておくという点がまだまだ多いですよね。
また,物を作ったらあとは丸投げ,的な思想も根強く残っている感じがします。
いずれにしても,今回の事故は,このような役所の体質が招いたともいえるのではないでしょうか。
もちろん,管理会社側の予算削減における対応にも大きな問題はあったといえますが。
暑中お見舞い申し上げます。
関東地方では,梅雨が明けた直後なのに,なぜかやは涼しい日々が続きます。
未だに,セミもほとんど鳴きません。
去年は夜中に泣くくらい繁盛していたのになあ,ってかんじですね。
私も,素朴な疑問として「なぜ二重柵になっていない」のか,不思議に思いました。
一つの仮説として,公共施設の場合,できる限り安く仕上げることだけを命題にしている場合が多いことから,構造基準も最低ラインだけ充たせば足り,そうすると柵は一つで大丈夫というのが最低ラインになっていることから,あえて二重にしなかったのでは,と思います。
つまり,ここでも「安全性より効率性」が求められたのではないか,という仮説が成り立つことになります。
ちなみに,ハワイのホテルプールには全く監視員がいません。また,深さもかなりあり,子供が泳いだら確実におぼれます(私自身,ウォータースライダーで滑ってきたらそこのプールの深さが9フィート近くあったため,危うくおぼれて死にそうになりました。)。しかし,ホテルのプールでおぼれた,という事故は皆無です。
その理由は,ゲストの自己責任を徹底していること,危険な部分にちゃんと表示をしていること,点検は確実にしているらしいこと,安全装置が充実していることなどが挙げられます(もちろん,??なホテルもありますが。)。
日本でも,これからは,プールで泳ぐにしても「自己責任」になるのでしょうか。そうだとしたら,まず安全に関する情報を各プールが提供するべきかも知れませんね。
ちなみに,gooはコメントがかなり長く書けます。これはうれしい誤算でした。
「なぜ二重柵になっていない」のか以前に、誰かが吸い込まれるなんて想像もしていなかったような気がします。明らかに安全軽視の姿勢でしょうね。
だんだん,私の昔の記事にあったベタニュース状態になってきました。
おそらく,ご推察のとおり,恒常的に針金留めになっていた可能性が高いかもしれませんね。
あとは,安全をどこまで重く見ていたのか,その点が今後の課題となるでしょうか。
今回のこのニュース、調査すればするほど
管理体制が杜撰ですね~~~
「プール」の危険さを認知してないというか・・
この不幸な一件を教訓にして、
今後このようなことが二度と起きないように
してほしいと、思いました・・