中国の農薬入り冷凍餃子問題は,かなりの波紋を呼んでいます。今回問題となっている中国の業者のみならず,単に中国産について買い控えを招くばかりか,国産の餃子までとばっちりを受けているようです。
ところで,「中国産は買い控えたい」という人も多いかと思いますが,一方で今のJAS法では,必ずしも中国産をすべて見抜くことはできません。当然,よく分からない原材料に基づく食品が本当に安全なのかどうか,完璧に調査することは難しいのが現状です。
そこで,今回は,JAS法の盲点を簡単に説明したいと思います。
「農薬、相当な高濃度」専門家指摘 ギョーザ中毒問題(朝日新聞) - goo ニュース
1 JAS法の原則
これはものすごく細かく規定されているため,正確には農林水産省のページ(こちらです)をご覧ください。
大雑把に説明しますと,「特定20品目」について,「生鮮食品として加工」して,「その割合が50%以上」ある材料については,単に製造地のみではなくその材料の原産地を表示する義務を平成18年から定めました。
例えば,A国で釣った鯵を日本が輸入して鯵の開きを作った場合,製造地は「日本」ですが,原産地「A国」も表示しなければなりません。
これにより,「もともとどこのものか」がはっきり分かるため,安心して買い物ができるということになりました。
とはいえ,これが制度化したのがつい最近というのは,ある意味非常にびっくりだとおもいます。
2 例外も結構ある
例えば,「冷凍野菜の詰め合わせ」の場合,袋の中が「にんじん60%,ジャガイモ40%」だとした場合,にんじんは60%あるため「50%ルール」により原産地表示義務が発生します。つまり,「にんじん(原産地A国)」などと表示されます。
ところが,袋の中が「にんじん40%,ジャガイモ40%,たまねぎ20%」だとした場合,「50%ルール」が適用されませんので,原産地表示義務が発生しないのです。
この場合,この「冷凍野菜の詰め合わせ」を国内工場で製造したとしたら,もはやこの野菜の原産地が国内産か海外産かを消費者が把握することができないのです。
もちろん,業者が自主的に表示することは否定されていませんから,良心的業者であればしっかりと表示しています。
このように,「50%ルール」に該当しない食品については,原産地が分からないのです。
3 対象は「生鮮食品」が中心
次に,原産地表示義務があるのが「生鮮食品」とされています。これは,簡単に言えば「原形をとどめているもの」となります。したがって,例えば,「冷凍アジフライ」は生鮮食品となりうるのですが,「冷凍餃子」は生鮮食品とはなりません。
したがって,冷凍食品やインスタント食品の多くは,原形をとどめていないもの(コロッケをイメージしてもらうと分かりやすいでしょう)であることから,原産地表示義務はありません。
それゆえ,対象外になる冷凍食品の工場が日本にある場合,たとえ原材料がすべて輸入品だとしても「国産品」となってしまうのです。
4 外食は「ガイドライン」にすぎない
外食産業の場合,厳密にはJAS法が適用されるわけではなく,業界ガイドラインとして原産地表示義務を設けているにすぎません。
したがって,居酒屋等で原産地表示をしていなかったとしても,それが直ちに法律違反になるわけではないのです。
とはいえ,多くの業界は,原産地表示をして対応していると聞いております。
5 まとめ
今食卓に並んでいる食品を「完全に国産」にするというのは相当難しいというのが今の日本の現状といえます。
もちろん,「何でもかんでも表示義務を作れ」となると,かえって分かりにくくなるという恐れがあります。例えば,カップラーメンなどは細かい野菜や調味料一つ一つに原産地を書くとなると,カップ全体が食品表示となりかねません。
したがって,ある程度の省略は仕方ないのかもしれません。
とはいえ,JAS法も見直しが頻繁に行われています。したがって,当面は業者の自主的な情報公開に頼らざるを得ないかもしれませんが,一方で「あまりにヒステリックになり過ぎない」という寛容性も必要かもしれません。
もし,本当に国産のみで生活したいのであれば,自給自足か信頼できる焦点を探してそこと取引をするしかないでしょう。
ちなみに,私の自衛手段は,表示されている範囲で「中国産」と記載されている食品については,極力購入しないという典型的な手法ですが,上記のとおり,それだけでは完全に中国産を排除できないということを当然理解した上での行為です。それ以上細かく調べることまではあえてやっていません。
とまあ,JAS法の現状について説明しました。これを踏まえて,「より安全な食卓」を各自考えてみたらいかがでしょうか。
よろしければ1クリックお願いしますm(__)m→人気blogランキングへ
ところで,「中国産は買い控えたい」という人も多いかと思いますが,一方で今のJAS法では,必ずしも中国産をすべて見抜くことはできません。当然,よく分からない原材料に基づく食品が本当に安全なのかどうか,完璧に調査することは難しいのが現状です。
そこで,今回は,JAS法の盲点を簡単に説明したいと思います。
「農薬、相当な高濃度」専門家指摘 ギョーザ中毒問題(朝日新聞) - goo ニュース
1 JAS法の原則
これはものすごく細かく規定されているため,正確には農林水産省のページ(こちらです)をご覧ください。
大雑把に説明しますと,「特定20品目」について,「生鮮食品として加工」して,「その割合が50%以上」ある材料については,単に製造地のみではなくその材料の原産地を表示する義務を平成18年から定めました。
例えば,A国で釣った鯵を日本が輸入して鯵の開きを作った場合,製造地は「日本」ですが,原産地「A国」も表示しなければなりません。
これにより,「もともとどこのものか」がはっきり分かるため,安心して買い物ができるということになりました。
とはいえ,これが制度化したのがつい最近というのは,ある意味非常にびっくりだとおもいます。
2 例外も結構ある
例えば,「冷凍野菜の詰め合わせ」の場合,袋の中が「にんじん60%,ジャガイモ40%」だとした場合,にんじんは60%あるため「50%ルール」により原産地表示義務が発生します。つまり,「にんじん(原産地A国)」などと表示されます。
ところが,袋の中が「にんじん40%,ジャガイモ40%,たまねぎ20%」だとした場合,「50%ルール」が適用されませんので,原産地表示義務が発生しないのです。
この場合,この「冷凍野菜の詰め合わせ」を国内工場で製造したとしたら,もはやこの野菜の原産地が国内産か海外産かを消費者が把握することができないのです。
もちろん,業者が自主的に表示することは否定されていませんから,良心的業者であればしっかりと表示しています。
このように,「50%ルール」に該当しない食品については,原産地が分からないのです。
3 対象は「生鮮食品」が中心
次に,原産地表示義務があるのが「生鮮食品」とされています。これは,簡単に言えば「原形をとどめているもの」となります。したがって,例えば,「冷凍アジフライ」は生鮮食品となりうるのですが,「冷凍餃子」は生鮮食品とはなりません。
したがって,冷凍食品やインスタント食品の多くは,原形をとどめていないもの(コロッケをイメージしてもらうと分かりやすいでしょう)であることから,原産地表示義務はありません。
それゆえ,対象外になる冷凍食品の工場が日本にある場合,たとえ原材料がすべて輸入品だとしても「国産品」となってしまうのです。
4 外食は「ガイドライン」にすぎない
外食産業の場合,厳密にはJAS法が適用されるわけではなく,業界ガイドラインとして原産地表示義務を設けているにすぎません。
したがって,居酒屋等で原産地表示をしていなかったとしても,それが直ちに法律違反になるわけではないのです。
とはいえ,多くの業界は,原産地表示をして対応していると聞いております。
5 まとめ
今食卓に並んでいる食品を「完全に国産」にするというのは相当難しいというのが今の日本の現状といえます。
もちろん,「何でもかんでも表示義務を作れ」となると,かえって分かりにくくなるという恐れがあります。例えば,カップラーメンなどは細かい野菜や調味料一つ一つに原産地を書くとなると,カップ全体が食品表示となりかねません。
したがって,ある程度の省略は仕方ないのかもしれません。
とはいえ,JAS法も見直しが頻繁に行われています。したがって,当面は業者の自主的な情報公開に頼らざるを得ないかもしれませんが,一方で「あまりにヒステリックになり過ぎない」という寛容性も必要かもしれません。
もし,本当に国産のみで生活したいのであれば,自給自足か信頼できる焦点を探してそこと取引をするしかないでしょう。
ちなみに,私の自衛手段は,表示されている範囲で「中国産」と記載されている食品については,極力購入しないという典型的な手法ですが,上記のとおり,それだけでは完全に中国産を排除できないということを当然理解した上での行為です。それ以上細かく調べることまではあえてやっていません。
とまあ,JAS法の現状について説明しました。これを踏まえて,「より安全な食卓」を各自考えてみたらいかがでしょうか。
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まあ,今では「オール国産」の食品を調達しようと言うこと自体,かなり無理は話になっているため,いかに「全体的に安全」といえるか,その点を考えるべきかもしれませんね。
ちなみに,中華料理も,最近では逆に「国産」を使うようになってきたようです。まあ,これも時代の流れかな?
市販の皮は確かに焼き餃子向きですね。
餃子で一番おいしいのは水餃子らしいですが,個人的にはやっぱり焼き餃子にかなうものはないと思います。
> 本当に国産のみで生活したいのであれば,
> 自給自足か信頼できる焦点を探してそこと取引をする
やはり自給自足で行きたいところでして、野菜は山から日々調達(どんな野菜?謎)、肉類も山へ行って鉄砲でズドン・・・っていつの時代だよ!な汗
> 表示されている範囲で「中国産」と記載されている食品については,
> 極力購入しないという典型的な手法
やはり行き着くところはここいらへん↑でありますね(限界汗)
雪が降ったら鬼さんと一緒に国産米おにぎりを食べるということで(塩は瀬戸内海産で!汗)・・・
市販の餃子はどうしても皮が薄いので、水餃子に向かないので、自分で作るのですが、
白菜は、レンジにかけてよく絞ってから、入れるとおいしいですよ。
私も冷凍餃子はほとんど食べません。でも,自分で作るのもなかなか大変なので,市販の生餃子でごまかしています(^_^;)。
ちなみに,餃子の具は白菜よりもキャベツの方がしゃきしゃき感が出ておいしいらしいです。
というのが本音なのですがw
しかし,実は一番恐い農産品は「アメリカ産」という説もあったりします。
カリフォルニアのオレンジ農家が,子供に対して「それは日本輸出用だから食べちゃ駄目,危ないから」と言っているなんていうアメリカンジョークもよく耳にしますし(^_^;)。
「中国産の原料を一部に使用しています」
と書いてあれば,別にどれがどこ産とか細かく書いてなくても
いいです.笑