世界遺産の登録候補として新たに18カ所名乗りが上がりましたが,一方で富士山の世界遺産登録に地元観光業者が中心となって反対運動が出始めました。
富士五湖まで含まれると開発規制されることから,建物の増改築に支障を来すということだそうです。
富士山の世界遺産化に地元反対 「五湖観光の妨げに」(朝日新聞) - goo ニュース
ならば,世界遺産を止めて観光地として売っていこう
富士山はいうまでもなく日本一の山です。そして,多くの観光客が訪れます。したがって,その観光客をターゲットにした観光業者がいろんな営業をすることは当然必要といえます。当然,観光地としての開発を行うことも当然ありでしょう。
一方で,世界遺産とは,開発から歴史的自然的価値のあるものを世界的組織で守ろうという趣旨で始まったものであり,基本的に世界遺産に登録されると,新たな開発行為はできなくなります(もっとも,それは各国の法律による規制ということになり,日本でも文化財保護法や自然公園法などの規定で規制されているに過ぎません。)。
したがって,世界遺産登録というのは,観光地化の開発行為は完全に抑制されるものであるといえます。よって,世界遺産にして観光客を増やそう,という発想は本来は矛盾したものなのです。
今回の富士山については,当初は五合目より上という条件で準備していたそうですが,やはり富士山といえば,富士五湖まで含むのが一般的な発想でしょうから,世界遺産の登録もそこまで含むのが筋でしょう。山の先っぽだけ世界的に保護してもあまり意味がありませんから。
とすると,静岡,山梨の選択肢は「それでも登録するか,登録を止めて観光開発をしやすくしておくか」の二者択一ということになるでしょう。そして,現実的には,地元町長も含めて反対している以上,世界遺産の登録はあきらめるべきといえます。
ただ,今回の18カ所をはじめとして,全国各地では様々な自然や文化的遺産を世界遺産に登録しようという動きが出ています。もちろん,そのような運動自体はその自然や文化などを見直すいい機会なので,どんどん進めてほしいと思います。
しかし,世界遺産に登録する場合,「基本的に開発は無理」という前提で考えておく必要があるでしょう。これは,たとえ県の担当者と「規制しない」という口約束をもらっていても同じことです。この口約束は,全く意味がありません(知床の世界遺産認定の際も,この点の認識違いが後に漁業組合ともめる原因となり,それは今日もなお続いています。)。なぜなら,最後は「ユネスコ」判断であり,県職員にその権限はないからです。
「観光客を呼ぶために世界遺産にしよう」と企んでいるのであれば,早々に方針転換をした方がいいでしょう。繰り返しますが,自然や文化財の保護,これが世界遺産の目的ですから。
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富士五湖まで含まれると開発規制されることから,建物の増改築に支障を来すということだそうです。
富士山の世界遺産化に地元反対 「五湖観光の妨げに」(朝日新聞) - goo ニュース
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富士山はいうまでもなく日本一の山です。そして,多くの観光客が訪れます。したがって,その観光客をターゲットにした観光業者がいろんな営業をすることは当然必要といえます。当然,観光地としての開発を行うことも当然ありでしょう。
一方で,世界遺産とは,開発から歴史的自然的価値のあるものを世界的組織で守ろうという趣旨で始まったものであり,基本的に世界遺産に登録されると,新たな開発行為はできなくなります(もっとも,それは各国の法律による規制ということになり,日本でも文化財保護法や自然公園法などの規定で規制されているに過ぎません。)。
したがって,世界遺産登録というのは,観光地化の開発行為は完全に抑制されるものであるといえます。よって,世界遺産にして観光客を増やそう,という発想は本来は矛盾したものなのです。
今回の富士山については,当初は五合目より上という条件で準備していたそうですが,やはり富士山といえば,富士五湖まで含むのが一般的な発想でしょうから,世界遺産の登録もそこまで含むのが筋でしょう。山の先っぽだけ世界的に保護してもあまり意味がありませんから。
とすると,静岡,山梨の選択肢は「それでも登録するか,登録を止めて観光開発をしやすくしておくか」の二者択一ということになるでしょう。そして,現実的には,地元町長も含めて反対している以上,世界遺産の登録はあきらめるべきといえます。
ただ,今回の18カ所をはじめとして,全国各地では様々な自然や文化的遺産を世界遺産に登録しようという動きが出ています。もちろん,そのような運動自体はその自然や文化などを見直すいい機会なので,どんどん進めてほしいと思います。
しかし,世界遺産に登録する場合,「基本的に開発は無理」という前提で考えておく必要があるでしょう。これは,たとえ県の担当者と「規制しない」という口約束をもらっていても同じことです。この口約束は,全く意味がありません(知床の世界遺産認定の際も,この点の認識違いが後に漁業組合ともめる原因となり,それは今日もなお続いています。)。なぜなら,最後は「ユネスコ」判断であり,県職員にその権限はないからです。
「観光客を呼ぶために世界遺産にしよう」と企んでいるのであれば,早々に方針転換をした方がいいでしょう。繰り返しますが,自然や文化財の保護,これが世界遺産の目的ですから。
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日本の場合,自然保護=立ち入り禁止,観光地=開発という方程式が成り立つ場合が多いですが,必ずしもそうとはいえず,観光地でも自然保護が成り立つ場合だって実際はあるはずなんですよね。
富士山はまさしくその一例。本来的には開発ではなく,自然の保護を徹底して行うことで,「もっときれいな富士山」になり,おのずと人も集まってくるというものでは,と思います。
おっしゃるとおり,世界遺産は「登録して何ぼ」ではない,っていう点は関係者は改めてよく自覚してほしいものです。
世界遺産は「登録してー」じゃなく、「あー日本ってすばらしい」って世界の人たちが賞賛して初めて選ばれるものって思いますが。五輪誘致と混同しないでって言いたい。
確かに,世界遺産がジャブジャブ指定されたら,それこそ世界遺産としての重みがなくなりますね。そもそも,世界遺産とは「保護に値する重要なもの」な訳ですから,世界遺産の指定を受けながらそこを観光地として開発するというのは,矛盾しているともいえますからねえ。
むしろ,どうどうと「うちは観光地としてやっていきます。こんな面白い場所やものがあるから,たくさんお客さん来てね。」と真っ向勝負した方が,世界遺産指定よりも集客効果は高いのでは,という気もします。
何でもそうですが、希少価値という言葉に相応しいものこそ、真のブランドと思います。「世界遺産」という名前を地元観光のブランドに使用するのはおかしいと思いますね。
かえって国内という土俵でも、「全国でもここだけ!」ってもので誘致した方がいいと思います。