あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
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無理な民営化は軽くヤバイ?

2006年05月22日 23時37分24秒 | 地方自治
横浜市が公立保育園4圓を民営化したことに対し,保護者らが民営化の認可の取消などを求めていた裁判の判決が横浜地裁であり,民営化の認可取消自体は認めなかったものの,民営化手続に至る違法性を認め,保護者1人に対し10万円の損害賠償を認める判決が出ました。

ニュースソースはこちら

なんでも民営化にすりゃいいってもんじゃないんだなあ・・

この判決,全文が掲載されていないため,報道記事をベースに判断しますと,ポイントは次のとおりであると推測されます。

1 民営化によるサービスレベル低下への懸念があったといえるか
2 民営化に至るプロセスは妥当だったか


これについて,横浜地裁は次のとおり判断しました。
1については,民営化によるサービス自体は必ずしも低下するとは言えないため,認可を取り消すまでは行かない。
しかし,2については,民営化までの期間がわずか3ヶ月しかないこと,保育士等のメンバーがすべて替わること,先行市町村においても3ヶ月ではいろんな問題が生じていており,横浜市もそれを認識していたこと,保護者に対する説明が不十分であり同意または同意に代わる措置が不十分であったことなどから,民営化に至るプロセスには無理があった,と認定して,損害賠償を認めた,というものです。

もちろん,これはまだ地裁判決に過ぎないため,今後高裁,最高裁でどのような判断がされるか分かりません。
しかし,一つ言えることは,「最初に結論ありきで跡づけ的な議論だけで民営化や事業廃止などを決定すると,それは訴訟でひっくり返ることがある。」ということです。

今,国や多くの地方自治体では,経費削減の効果を考えて,様々な事業についてアウトソーシングを検討し,かつそれを実施しています。しかし,一方で,その結果住民サービスが低下しているという現状も見受けられます。
もちろん,経費削減,すなわち税金の無駄遣いを抑制するということは大切なことなのですが,費用対効果も問題,サービス内容の問題,住民に対する説明の問題などをしっかり検討して対応しなければ,場合によっては訴訟によって認可が取り消され,あるいは損害賠償を支払わなければならないという可能性がある,ということを首長や幹部職員は十分に認識してほしいと思います。

今回の横浜地裁の判決は,「安易な民営化」すなわち「考えなしの政策」に対しては,司法による救済の可能性を示唆したものであるといえるでしょう。逆に言えば,民営化や事業廃止などをする場合は,しっかりと検討し,誰からもうしろ指さされない程度にまで検証しておくことが大事と言えるでしょう。

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