長男がクレジットカードの番号をメモして勝手にネットショッピングで使った約300万円の支払を巡り,カード会社たるクレディセゾンがこの長男の父に対してカード所持者としての支払を求めた民事裁判で,長崎地裁佐世保支部は,クレディセゾンの請求を棄却しました。クレディセゾン側は控訴を検討するとのことです。
ネット決済でカード無断使用、「本人確認不備」と支払い請求棄却(読売新聞) - goo ニュース
カード番号だけだと誰でも使える
今回の裁判の争点は,「カード管理方法が適切か否か」という点にありました。すなわち,原告たるカード会社側は,「規約上,家族が勝手に使ったものもカード所持者に責任がある。それが嫌なら家族にも分からないようにカードを管理するべき」とカード規約を根拠に管理上の過失があるとして支払を求めました。一方,被告側は,「ネット決済では暗証番号など本人確認方法を取らないで支払ができるなんて知らなかった。そうと知っていれば,もっとしっかりカードを管理していたのに。」という「決済方法の不備からカードを持っていたとしても番号一つで支払ができるんじゃあ,そこまで自分で責任もてないよ」という「支払い方法の不備論」を根拠に支払う理由はないと主張しました。
長崎地裁佐世保支部は,被告が主張した「支払い方法不備論」を採用し,「カード会社側が本人以外の使用を排除する方法を構築するべきである」として,カード会社の主張を退けたのです。すなわち,家族が勝手にカードを使用した場合,それを理由にして直ちに「管理方法に過失があった」とはしなかったのです。
この判決をベースにすると,家族の誰かが無造作においてあった財布から勝手にカードを抜き出して番号だけを控え,カードを元に戻してからその番号で家族がネット決済をしても,カード契約者の過失はないということになります。また,カード契約書などで番号が分かった場合も同様に過失なしとなります。一方,例えば,カードと一緒に暗証番号が入っているとか,契約書に暗証番号が書いてあり,かつ決済の際にその暗証番号を使われたという場合には,過失ありとして支払責任が発生することになります。
確かに,今ネット決済はかなり浸透していますが,私自身気になったのは,「暗証番号不要で決済できるサイトが多い」ということでした。もちろん,安易に暗証番号を入力すると,逆にそれを吸い上げてしまい更に悪用されるおそれがあるというリスクもありますが,一方で番号だけで決済できるのであれば,「他人カード使用OK」になりかねません。ちなみに,この手法,「なにわ金融道」の中でもしっかりと指摘されておりますが,残念ながらこの漫画が出版されてから10年以上経過したものの,ほとんどこの点は改善されていません。
今回の判決は,今後カード社会が浸透する中,カードの信頼性を高めるためにも本人以外の使用ができないような仕組みをカード会社が構築することを求めたものといえます。つまり,「カードを貨幣と同じように持っているだけでOKとすると,カード自体の信用が逆に落ちてしまい,経済が混乱しかねない」という発想に出たものと考えられます。
しかし,セゾン側は「既に十分構築されている」と主張していることから,今後高裁では,「現在のシステムで十分か」という点と,「もはやお金とカードは同じ価値と見て,勝手に使われても自己責任ではないか」という点が争点になると思われます。
とはいえ,日本クレジット産業協会は「今後,加盟店に本人確認の入力を浸透させたい」ということから,決済システムが相次いで変更されるものと思われます。ネットショッピングもちょっとばかり面倒になるかもしれませんね。
ちなみに,ここではあえて問題提起をしませんでしたが,この問題,一番悪いのは「長男」です。この長男は当時19歳ということから,おそらく長男に対しても300万円の支払い請求訴訟を起こしていたと思われます。とすると,結果的には,この被告である長男の親が責任払いすることになり,「結局同じじゃん」というオチになると思います。クレジット会社の決済不備であったとしても,300万円の支払義務が消えてなくなるわけではありません。
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カード番号だけだと誰でも使える
今回の裁判の争点は,「カード管理方法が適切か否か」という点にありました。すなわち,原告たるカード会社側は,「規約上,家族が勝手に使ったものもカード所持者に責任がある。それが嫌なら家族にも分からないようにカードを管理するべき」とカード規約を根拠に管理上の過失があるとして支払を求めました。一方,被告側は,「ネット決済では暗証番号など本人確認方法を取らないで支払ができるなんて知らなかった。そうと知っていれば,もっとしっかりカードを管理していたのに。」という「決済方法の不備からカードを持っていたとしても番号一つで支払ができるんじゃあ,そこまで自分で責任もてないよ」という「支払い方法の不備論」を根拠に支払う理由はないと主張しました。
長崎地裁佐世保支部は,被告が主張した「支払い方法不備論」を採用し,「カード会社側が本人以外の使用を排除する方法を構築するべきである」として,カード会社の主張を退けたのです。すなわち,家族が勝手にカードを使用した場合,それを理由にして直ちに「管理方法に過失があった」とはしなかったのです。
この判決をベースにすると,家族の誰かが無造作においてあった財布から勝手にカードを抜き出して番号だけを控え,カードを元に戻してからその番号で家族がネット決済をしても,カード契約者の過失はないということになります。また,カード契約書などで番号が分かった場合も同様に過失なしとなります。一方,例えば,カードと一緒に暗証番号が入っているとか,契約書に暗証番号が書いてあり,かつ決済の際にその暗証番号を使われたという場合には,過失ありとして支払責任が発生することになります。
確かに,今ネット決済はかなり浸透していますが,私自身気になったのは,「暗証番号不要で決済できるサイトが多い」ということでした。もちろん,安易に暗証番号を入力すると,逆にそれを吸い上げてしまい更に悪用されるおそれがあるというリスクもありますが,一方で番号だけで決済できるのであれば,「他人カード使用OK」になりかねません。ちなみに,この手法,「なにわ金融道」の中でもしっかりと指摘されておりますが,残念ながらこの漫画が出版されてから10年以上経過したものの,ほとんどこの点は改善されていません。
今回の判決は,今後カード社会が浸透する中,カードの信頼性を高めるためにも本人以外の使用ができないような仕組みをカード会社が構築することを求めたものといえます。つまり,「カードを貨幣と同じように持っているだけでOKとすると,カード自体の信用が逆に落ちてしまい,経済が混乱しかねない」という発想に出たものと考えられます。
しかし,セゾン側は「既に十分構築されている」と主張していることから,今後高裁では,「現在のシステムで十分か」という点と,「もはやお金とカードは同じ価値と見て,勝手に使われても自己責任ではないか」という点が争点になると思われます。
とはいえ,日本クレジット産業協会は「今後,加盟店に本人確認の入力を浸透させたい」ということから,決済システムが相次いで変更されるものと思われます。ネットショッピングもちょっとばかり面倒になるかもしれませんね。
ちなみに,ここではあえて問題提起をしませんでしたが,この問題,一番悪いのは「長男」です。この長男は当時19歳ということから,おそらく長男に対しても300万円の支払い請求訴訟を起こしていたと思われます。とすると,結果的には,この被告である長男の親が責任払いすることになり,「結局同じじゃん」というオチになると思います。クレジット会社の決済不備であったとしても,300万円の支払義務が消えてなくなるわけではありません。
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カード番号と有効期限という、カード表面に書かれている情報だけで、決済出来てしまうことにびっくりです。
一応、カード裏面に書かれている、数字も入力はする物の、すべて「カードを見れば分かる」物ばかりで、
個人的には、eTaxの住基カードや、Edyの用に、実物カードが無いと、決済出来ないようにするべきだと思いますけど。
銀行のキャッシュカードもICカードが普及してきているのですから、
クレジットカードも、ICカードかすべきでしょう。
まぁ、海外旅行などで使われるカードは、加盟店の数も膨大で、店舗側のICカード対応が難しいともいわれますが、海外など、多地域対応用の低セキュリティーカードと、ネット決済用の、高セキュリティーカードなど、カードの種類を分ければ、良いと思いますけどね。
確かにネット決済は利便性が高い反面,「カードをなくしたら終わり」という位結構危ない決済システムになっているような気がします。
何らかの形で「カード表面上には出てこない情報」を入力することで決済ができるようにするべきでしょう。
これをやらないと,今後ますます「保険会社の損」も増えてくるのかなあ,っていう気もします。
それよりも、カードに書かれている情報“だけ”をメモされたら終わりという事の方が、問題だと思います。
しかも、エンボス加工ですから、
下手したら、配達途中の封筒を指でなぞって、点字のように、内容を判断出来る人もいるかもしれませんし。
カードを無くしたら、利用停止の連絡をすればいいのであって、カードが無くても、カード番号だけで、決済手出来るということが、問題のような気がします。
なにわ金融道では,雑誌に掲載されたクレジットカードの番号でカード詐欺を行うという手法が紹介されていました。
カードがなくても決済できるシステム(すなわち番号だけ)は確かに恐ろしいと思います。
ちなみに,今では当然ですが,雑誌などに番号を載せることはありません。ただ,クレジットカードの番号は結構簡単に入手できますので,まだまだ恐ろしいかもしれませんね。