前回に続きます。今回は,被疑者,被告人個人の権利を中心に説明します。
あくまでも,前回同様「自分が無実なのに突然逮捕されたらどうする」という視点で読んでください。
よく分かる(?)シリーズ 被疑者,被告人の権利について(その1)
よく分かる(?)シリーズ 被疑者,被告人の権利について(その3)
第3 被疑者,被告人個人の権利
1 弁護人選任権(憲法37条3項)
被告人は,裁判において,弁護士を選任することができます。また,貧富の差なく弁護士が付けられるようにするため,貧しい人には国の費用で弁護士を付ける「国選弁護人」という制度があります。
これにより,どんな状況でも,かならずプロの弁護士が見方をしてくれることになります。
ただし,注意したいのは,あくまでも「被告人」すなわち,裁判の段階の話です。捜査段階の「被疑者」では,国選弁護人は付けられませんのでご注意ください(その代わり,当番弁護士という制度が全国の弁護士会で行われています。これは,逮捕又は勾留直後に1回に限り無料で弁護士に会うことができる制度です。)。
2 接見交通権(憲法34条)
身柄が拘束されていても,自由に弁護士と会うことができる権利です。
前述のとおり,弁護士は心のよりどころになります。そして,被疑者,被告人は,どんなときも,その弁護士と会うことができます。
捜査機関は,原則,これを拒んではいけません(が,この原則がかなりくせ者で,実際には結構制限されています。その結果,その制限の許否について,最高裁までもめるケースがかなりあります。)。
3 黙秘権(憲法38条1項)
自分に不利なことは話さなくてよい,という権利です。
警察や検察の取り調べの冒頭や,裁判の冒頭では,この権利を告知されます。
これは,先の拷問にも関連しますが,自白を強要されないという権利です。やはり,嘘でも自白してしまうと,裁判では不利になる場合が多いことから,心当たりがないことならば,黙っていてもよい,そうすれば捜査機関が他の証拠を集め回るから,というものです。
4 補強証拠(憲法38条3項)
これまた拷問と絡むのですが,裁判の際に,自白しかない場合,それで有罪にできないというものです。
昔は,自白一つで有罪にできましたが,これだと拷問でしゃべらせれば勝ち,ということになるため,今は必ず自白以外の証拠が必要となります。
したがって,警察や検察は,決定的な証拠を探すわけです。
5 証人尋問権(憲法37条2項)
自分に有利な証人がいる場合,強制的にでも裁判に呼び出すことができます。言い方を変えると,すべての国民には,刑事裁判においては,証人になる義務があるともいえます。
強制的にというのは,もし呼出を無視していかなかった場合,「勾引状」という令状により,身柄を拘束(逮捕みたいなイメージでいいでしょう)して裁判所まで連れてこられる場合がある,ということです。
また,逆に証人が嘘をついているような場合に備えて,必ず反対尋問をする権利も保障されています。
6 二重処罰,一事不再理の原則(憲法39条)
一度処罰された場合は,同じ罪でまた処罰されることはありません。
逆に,一度無罪になったら,その後仮に有罪の証拠が出てきたとしても,再度裁判を受けることはありません。
一つの罪で何回も刑務所に入れられてしまうのでは,実質的に「永久刑罰」になってしまうし,逆に一度無罪になったのにまた裁判だとなると,また裁判所に行ったりあるいは警察に逮捕されたりするなど,まともな生活ができなくなってしまいますから,当然の権利でしょう。
長くなりましたので,次回に続きます。
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あくまでも,前回同様「自分が無実なのに突然逮捕されたらどうする」という視点で読んでください。
よく分かる(?)シリーズ 被疑者,被告人の権利について(その1)
よく分かる(?)シリーズ 被疑者,被告人の権利について(その3)
第3 被疑者,被告人個人の権利
1 弁護人選任権(憲法37条3項)
被告人は,裁判において,弁護士を選任することができます。また,貧富の差なく弁護士が付けられるようにするため,貧しい人には国の費用で弁護士を付ける「国選弁護人」という制度があります。
これにより,どんな状況でも,かならずプロの弁護士が見方をしてくれることになります。
ただし,注意したいのは,あくまでも「被告人」すなわち,裁判の段階の話です。捜査段階の「被疑者」では,国選弁護人は付けられませんのでご注意ください(その代わり,当番弁護士という制度が全国の弁護士会で行われています。これは,逮捕又は勾留直後に1回に限り無料で弁護士に会うことができる制度です。)。
2 接見交通権(憲法34条)
身柄が拘束されていても,自由に弁護士と会うことができる権利です。
前述のとおり,弁護士は心のよりどころになります。そして,被疑者,被告人は,どんなときも,その弁護士と会うことができます。
捜査機関は,原則,これを拒んではいけません(が,この原則がかなりくせ者で,実際には結構制限されています。その結果,その制限の許否について,最高裁までもめるケースがかなりあります。)。
3 黙秘権(憲法38条1項)
自分に不利なことは話さなくてよい,という権利です。
警察や検察の取り調べの冒頭や,裁判の冒頭では,この権利を告知されます。
これは,先の拷問にも関連しますが,自白を強要されないという権利です。やはり,嘘でも自白してしまうと,裁判では不利になる場合が多いことから,心当たりがないことならば,黙っていてもよい,そうすれば捜査機関が他の証拠を集め回るから,というものです。
4 補強証拠(憲法38条3項)
これまた拷問と絡むのですが,裁判の際に,自白しかない場合,それで有罪にできないというものです。
昔は,自白一つで有罪にできましたが,これだと拷問でしゃべらせれば勝ち,ということになるため,今は必ず自白以外の証拠が必要となります。
したがって,警察や検察は,決定的な証拠を探すわけです。
5 証人尋問権(憲法37条2項)
自分に有利な証人がいる場合,強制的にでも裁判に呼び出すことができます。言い方を変えると,すべての国民には,刑事裁判においては,証人になる義務があるともいえます。
強制的にというのは,もし呼出を無視していかなかった場合,「勾引状」という令状により,身柄を拘束(逮捕みたいなイメージでいいでしょう)して裁判所まで連れてこられる場合がある,ということです。
また,逆に証人が嘘をついているような場合に備えて,必ず反対尋問をする権利も保障されています。
6 二重処罰,一事不再理の原則(憲法39条)
一度処罰された場合は,同じ罪でまた処罰されることはありません。
逆に,一度無罪になったら,その後仮に有罪の証拠が出てきたとしても,再度裁判を受けることはありません。
一つの罪で何回も刑務所に入れられてしまうのでは,実質的に「永久刑罰」になってしまうし,逆に一度無罪になったのにまた裁判だとなると,また裁判所に行ったりあるいは警察に逮捕されたりするなど,まともな生活ができなくなってしまいますから,当然の権利でしょう。
長くなりましたので,次回に続きます。
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