
みなさん、おはようございます。
連載「イマジネーション・トレーニング法」の時間です。
よろしくお願い致します。
いままでわたしは「マチエール」という用語を無限定で扱ってきたようで
ここである程度は、はっきりさせた方がいいと感じます。
この概念はわたしの絵画の最初の師が非常に重要視していたもので
わたしはきちんとした「定義」は聞いていないと思うのですが
「手触り、触感」さらには「実体感」という意味で
捉えていて
美術の専門的な用語とどれくらい距離があるか
きちんと確認していないのですが
(「メチエ」でしらべると、「職業、技能」などがあります。)
「「ある」という存在感の強さ」としても
この「マチエール」という用語を使っています。
わたしは二番目の絵の師に就いて
当初は「マチエール」よりも「パターン」を重んじていて
これは師匠の問題というよりは
そのときのわたしの稽古の歩みなのですが
「マチエール」という問題にわたしが再着手するまで、
かなりの期間「パターン」という問題に取り組んでいました。
わたしが「マチエール」という概念を思い出し、
「マチエール展開」というアイデアに気づいたのは
最初の師匠が亡くなったあとで
初めての個展をしたあとですから
ここ一年くらいの傾向となります。

はじめは筆ペンで描いた曲線や直線などを
上から「色ペン」
「ネオピコカラー」と言って
たまたま画材屋さんで売っていたものを数本買ったのですが
その「ネオピコカラー」で上からなぞるだけで
線になにか「説得力」のようなものが増すというのが
そもそもの出発点になります。
そんな簡単なことと思うでしょうが
わたしはここから考えはじめて
筆ペンで描いた上から水彩絵の具でなぞる技法、
描く紙そのものの特徴からくる「滲み」の特徴を生かす工夫
などをいろいろ実験していき、
これを「マチエール展開」といって
「展開」概念の一部と解釈しています。
そしてこの「マチエール展開」は
なにぶん記録には残りづらく
なにをしたか忘れがちで
自分でもなにがなんだかわからなくなるので、
個人的に「マチエール展開のレシピ」というものを
よくできた「マチエール展開」については
記録するようになりました。
たとえば
「水彩和紙」の表面にまずは「瞬筆」という「筆ペン」で
図形をさっと描き
その上から「サップグリーン」の「水彩絵の具」でなぞる
そこからくる自然な「滲み」の効果は
最初から採用した基本的な「マチエール展開のレシピ」ですが
サップグリーンの上からペインスグレーをかけたり
はじめ描く線をボールペンにして
水彩を上からかけたり
アクリルや、顔彩を使ってみたり、
さらに上から筆ペンでなぞったり、
敢えて滲みを抑えるために和紙の裏を使うなど、
「パターン展開」ほど大きなバリエーションはできないのですが
わたしの描く絵の「説得力」をあげる上では
この「マチエール展開」の稽古は
欠かせない要素となっています。
そういう視点で、絵を見ていただけると
今回、非常に嬉しく思う次第です。
( つづく )