松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆自治体法務合同研究会(札幌市)

2010-07-19 | 1.研究活動
 自治体職員等が集まる自治体法務の研究会が札幌であった。特に出番はなく、気楽な研究会となった(ただ、本の締め切りがあり、飛行機の中やホテルでたくさん書いた。ようやく完成)
 関心があったテーマは、まず議会基本条例。この条例は、なぜ市民参加、協働で作られないのか。それが議会の起死回生の逆転ホームランになると思うのに、そうならないわけを知りたかったからである。岩切さんの報告では、やはり、危機意識が十分でないこと。ここで一発、逆転ホームランを打たなければ、負けてしまうと、議員さんの多くは考えてはいないことが、改めてわかった。
 シンポジュームは、自治基本条例のうちの地域コミュニティをテーマとした。自治基本条例を従来の憲法秩序の枠で考えていると、自治基本条例に地域コミュニティの条文をおく意味が理解できない。「市民自治」を市民の政府をコントロールすることと理解していると、自治体の憲法で、地域コミュニティ(私的な関係)を論じるのはおかしいということになってしまうからである。他方、「市民自治」をその本来の意義のとおりに理解して、市民の自立、自己決定と考えると、市民だけでは解決できない課題を解決している地域コミュニティの存在の大きさが理解できる。憲法秩序でいえば、政府の侵害から市民の権利を守るだけでなく、いわば公共を担う市民も(私的な存在であることは間違いないだろう)、憲法秩序の中に組み入れて、再構築するということだろう。同じ憲法とはいっても、自治体の憲法は国と憲法とは意味が違うということになる(自治基本条例は、新しい憲法をつくるということだろう。主権がからみ、権力主体であるむ国とは違って、サービス産業である自治体の場合は、国の憲法とは違ってもよいだろう)。このあたりは、憲法の勉強をしていればしているほど、また単純な地方政府論を当てはめるだけでも、また法律論一辺倒の発想では、なかなか理解できないかもしれない。ただ、自治基本条例を素材に地域で議論すると、すっと落ちてくる。まさに、自治体職員は(自治の研究者も)、地域で議論してなんぼということだろう。
 木佐先生のニセコの話は、興味深かった。他の自治体職員が、ほかの町の条例作りをするのは、いまひとつ割り切れないが(その前に、自分の町で実践してほしいと思うから)、なるほど、歴史的な時間軸の中で考えると、こうしなければ、自治基本条例の道筋は見えてこなかったのだろう。積極的意味が理解できた。となると、ここで関わった自治体職員が、その後、自分の町で、どのようなアプローチをしたのか。研究や評論をすることではなく、実践してなんぼという自治体職員のあり方として(いまだに政策マンへの思いを引きずる私としても)、興味深いところである。
 今回は、原稿を抱えており、月曜日は休日であるが授業があるので、札幌に行くといつも行く植物園には行けなかった。ホテルのそばにある北大をちょっと歩いたが、相変わらず、風格があり、りっぱなものである。
 お土産は、新千歳空港で、あわただしく「本日限り」というウニを買った。おねえさんと冗談を言い合っていたら、おまけをくれた。今日も、「本日限り」と出ているのだろうか。
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