今度の議会で、あわてて区長に関する条例が提出されている。
私にとって、区長は、指定都市の区の区長で一般職公務員であるが、それ以外に自治体では、区長さんと言えば、旧村やをベースとする地区の世話人、まとめ役である。地方公務員法の改正で、この区長さんをどのように位置づけるのかが問われている。
この地方公務員法の改正は、かつては公務員は正規職員であるのが当たり前であったが、簡単にいえば、自治体にお金がなくなり、民間とは違って、儲けることもできず、税金を増やすこともままならず、結局、職員の人件費で帳尻を合わせることになり、正規職員の給料を下げるわけにもいかないから、バイトの職員を入れるようになった。
とりあえずで始まったので、そのバイトの採用身分は、 特別職非常勤、一般職非常勤、臨時的任用職と、そのときの予算等のやりやすさで採用した。
本来、根拠条文によって、義務の範囲等が違う。例えば、特別職は、地方公務員法の適用がないので、法上の守秘義務を負わない。それでも適当にやっていたが、すでにバイトが60万人以上に膨れ上がり、その他さまざまな要素もあって、いよいよ手を付けたのが、平成29年の地方公務員法の改正である。
ここで、バイトの公務員は、会計年度任用職員という制度に囲い込み、その反面、特別職非常勤、臨時的任用は、本来の趣旨に合うものに限定するなどの改正を行った。
これまで、区長は、多くの市町村が特別職非常勤職員に任用して、市町村からの配布物の配布・ア ンケートの回収等の仕事を任せていた。そして、これらに報酬を支給していた。
しかし、地方公務員法の改正で、特別職非常勤職員は、厳格に運用されるようになった。地方公務員法第3条第3項第三号は、三 臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職であるが、これにプラスされ、(専門的な知識経験又は識見を有する者が就く職であつて、当該知識経験又は識見に基づき、助言、調査、診断その他総務省令で定める事務を行うものに限る)とされた。
つまり、第3号の特別職非常勤職員として任用できるのは、➊専門的な知識経験又は識見を有すること、❷当該知識経験等に基づき事務を行うこと及び❸事務の種類が、助言、調査、診断又は総務省令で定める事務であることの全ての要件を満たす必要がある。
総務省の回答では、「「町(村)からの配布物の配布・ア ンケートの回収」や「住民からの要望の対応」は、「助言、調査、診断その他総務省令で定める事務」に該当しないため、第3号の特別職非常勤職員として任用することはできない」とされている。
自治体の対応は、大別して2つに分かれている。公務員としたい場合は、①特別職非常勤か、②会計年度任用職員として任用することになる。 地方公務員に任命する必要がない場合は③私人(業務委託、有償ボ ランティア等)として整理することになる。①の特別職非常勤、③の私人のどちらかを採用しているが、結構、私人として整理したところも多い。
総務省は、「私人」というのを推奨しているように見える。
ただ、私人だと、 地方公務員法の信用失墜行為の禁止(同法第 33 条)や 秘密を守る義務(同法第 34 条)の適用がない。 また、私人なので、地方公務員災害補償法(昭和 42 年法律第 121 号)、労働者災害補償保険法(昭 和 22 年法律第 50 号)及び非常勤職員の公務災害補償等に関する条例は適用されないので、別の対応が必要になる。
従来通りの特別職非常勤というところも多い。この場合、総務省との回答とはぶつかるので、単なる配布物の回収ではないという位置づけをすることになる。
新城市の区長等の設置に関する条例では、
(区長の職務等)
第3条 区長の職務は,次のとおりとする。
⑴ 市が行う事務又は事業であって,当該行政区に関するものについて助言し,及び調査すること。
⑵ 市が行う事務又は事業であって,全部又は一部の行政区に関するものについて,その知識経験に基づいて意見を述べること。
⑶ その他市長が必要と認めること
としている。
これは総務省の回答を意識したつくりとなっている。実際、新城市は、区長を単なる配布物配りと考えていないことは承知しているので、内容的にはよく理解できる。
なかには、すごいところがある。北海道の北見市は、これまでの自治区長は、北見市自治区設置条例第9 条第1 項において、地方公務員法第3 条第3 項第3 号に規定する「常勤」の特別職(?)として身分を規定していた。
今度の地方公務員法の改正で、「特別職非常勤」として設置した場合は、政策決定への関与などが限定されることから、「常勤の一般職」とすることにし、理事相当職に位置付けるということである。詳細は、分からないが、市長の下に位置付けられている。
*特別職常勤の位置づけについて(推測)
常勤というと、3条③の一 就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によることを必要とする者と考えていたのか。確かに資料には、副市長相当職となっていた。でも、副市長だと定数条例が必要だし、市長が任意で辞めさせることができるので、あり方としては、妥当ではない。勢いでやったが、実態は、常勤の一般職だったのだろうか。
では、常勤の一般職だと、任期付き職員、会計年度任用職員がある。市長の下に位置付けられているということは、パートのイメージが強い会計年度任用職員ではないだろう。では、これは、任期付き職員制度にふさわしい事例なのか。任期付き職員制度の立法事実の範囲内なのだろか。
どんどん、あるべき論に展開していくが、そもそも、モザイクのように入り乱れた諸制度を区分整理する作業が前提になる。それをやるべきであるが、正直、この整理は、後付けのような話で、力が入らず、ここで息切れした。
総務省が推奨する「私人」は、先の時代を展望しているように見えるが、実は、ちょっと時代遅れだと思う(あるいは市民自治の理念に走りすぎていると思う)。
現時点では、特別職非常勤が穏当なところと思うが、今後は、「市民の公務員化」が、特に地域の自治から進んでいく。地域自治は、市民に委ねる方向である。その時は、その担当市民を真正面から公務員(常勤の一般職)を当てることになると思う。その場合は、おそらく地方公務員法をそのまま適用するのは窮屈になって、もう一つ別の体系が必要になってくるかもしれない。。
北見市は、先を行くのか、それとも周回遅れなのか、はたまた、ぜんぜん違うものなのか、とても興味深い。
私にとって、区長は、指定都市の区の区長で一般職公務員であるが、それ以外に自治体では、区長さんと言えば、旧村やをベースとする地区の世話人、まとめ役である。地方公務員法の改正で、この区長さんをどのように位置づけるのかが問われている。
この地方公務員法の改正は、かつては公務員は正規職員であるのが当たり前であったが、簡単にいえば、自治体にお金がなくなり、民間とは違って、儲けることもできず、税金を増やすこともままならず、結局、職員の人件費で帳尻を合わせることになり、正規職員の給料を下げるわけにもいかないから、バイトの職員を入れるようになった。
とりあえずで始まったので、そのバイトの採用身分は、 特別職非常勤、一般職非常勤、臨時的任用職と、そのときの予算等のやりやすさで採用した。
本来、根拠条文によって、義務の範囲等が違う。例えば、特別職は、地方公務員法の適用がないので、法上の守秘義務を負わない。それでも適当にやっていたが、すでにバイトが60万人以上に膨れ上がり、その他さまざまな要素もあって、いよいよ手を付けたのが、平成29年の地方公務員法の改正である。
ここで、バイトの公務員は、会計年度任用職員という制度に囲い込み、その反面、特別職非常勤、臨時的任用は、本来の趣旨に合うものに限定するなどの改正を行った。
これまで、区長は、多くの市町村が特別職非常勤職員に任用して、市町村からの配布物の配布・ア ンケートの回収等の仕事を任せていた。そして、これらに報酬を支給していた。
しかし、地方公務員法の改正で、特別職非常勤職員は、厳格に運用されるようになった。地方公務員法第3条第3項第三号は、三 臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職であるが、これにプラスされ、(専門的な知識経験又は識見を有する者が就く職であつて、当該知識経験又は識見に基づき、助言、調査、診断その他総務省令で定める事務を行うものに限る)とされた。
つまり、第3号の特別職非常勤職員として任用できるのは、➊専門的な知識経験又は識見を有すること、❷当該知識経験等に基づき事務を行うこと及び❸事務の種類が、助言、調査、診断又は総務省令で定める事務であることの全ての要件を満たす必要がある。
総務省の回答では、「「町(村)からの配布物の配布・ア ンケートの回収」や「住民からの要望の対応」は、「助言、調査、診断その他総務省令で定める事務」に該当しないため、第3号の特別職非常勤職員として任用することはできない」とされている。
自治体の対応は、大別して2つに分かれている。公務員としたい場合は、①特別職非常勤か、②会計年度任用職員として任用することになる。 地方公務員に任命する必要がない場合は③私人(業務委託、有償ボ ランティア等)として整理することになる。①の特別職非常勤、③の私人のどちらかを採用しているが、結構、私人として整理したところも多い。
総務省は、「私人」というのを推奨しているように見える。
ただ、私人だと、 地方公務員法の信用失墜行為の禁止(同法第 33 条)や 秘密を守る義務(同法第 34 条)の適用がない。 また、私人なので、地方公務員災害補償法(昭和 42 年法律第 121 号)、労働者災害補償保険法(昭 和 22 年法律第 50 号)及び非常勤職員の公務災害補償等に関する条例は適用されないので、別の対応が必要になる。
従来通りの特別職非常勤というところも多い。この場合、総務省との回答とはぶつかるので、単なる配布物の回収ではないという位置づけをすることになる。
新城市の区長等の設置に関する条例では、
(区長の職務等)
第3条 区長の職務は,次のとおりとする。
⑴ 市が行う事務又は事業であって,当該行政区に関するものについて助言し,及び調査すること。
⑵ 市が行う事務又は事業であって,全部又は一部の行政区に関するものについて,その知識経験に基づいて意見を述べること。
⑶ その他市長が必要と認めること
としている。
これは総務省の回答を意識したつくりとなっている。実際、新城市は、区長を単なる配布物配りと考えていないことは承知しているので、内容的にはよく理解できる。
なかには、すごいところがある。北海道の北見市は、これまでの自治区長は、北見市自治区設置条例第9 条第1 項において、地方公務員法第3 条第3 項第3 号に規定する「常勤」の特別職(?)として身分を規定していた。
今度の地方公務員法の改正で、「特別職非常勤」として設置した場合は、政策決定への関与などが限定されることから、「常勤の一般職」とすることにし、理事相当職に位置付けるということである。詳細は、分からないが、市長の下に位置付けられている。
*特別職常勤の位置づけについて(推測)
常勤というと、3条③の一 就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によることを必要とする者と考えていたのか。確かに資料には、副市長相当職となっていた。でも、副市長だと定数条例が必要だし、市長が任意で辞めさせることができるので、あり方としては、妥当ではない。勢いでやったが、実態は、常勤の一般職だったのだろうか。
では、常勤の一般職だと、任期付き職員、会計年度任用職員がある。市長の下に位置付けられているということは、パートのイメージが強い会計年度任用職員ではないだろう。では、これは、任期付き職員制度にふさわしい事例なのか。任期付き職員制度の立法事実の範囲内なのだろか。
どんどん、あるべき論に展開していくが、そもそも、モザイクのように入り乱れた諸制度を区分整理する作業が前提になる。それをやるべきであるが、正直、この整理は、後付けのような話で、力が入らず、ここで息切れした。
総務省が推奨する「私人」は、先の時代を展望しているように見えるが、実は、ちょっと時代遅れだと思う(あるいは市民自治の理念に走りすぎていると思う)。
現時点では、特別職非常勤が穏当なところと思うが、今後は、「市民の公務員化」が、特に地域の自治から進んでいく。地域自治は、市民に委ねる方向である。その時は、その担当市民を真正面から公務員(常勤の一般職)を当てることになると思う。その場合は、おそらく地方公務員法をそのまま適用するのは窮屈になって、もう一つ別の体系が必要になってくるかもしれない。。
北見市は、先を行くのか、それとも周回遅れなのか、はたまた、ぜんぜん違うものなのか、とても興味深い。