松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆指定地域共同活動団体制度はどうなるのか

2024-04-08 | 指定地域共同活動団体

今国会で、地方自治法の改正案が出されている。大規模災害時の国の関与規定の問題が焦点になって、地味にほとんど議論にならないだろうが、指定地域共同活動団体制度も創設される。

まちづくり協議会などが主なターゲットであるが、それだけではない。福祉、交通、環境などの地域運営組織も対象になる。すでに、まちづくり協議会等の認定制度が自治体では動いているので、国では何を持って指定地域共同活動団体とするのか、その手続きはどうするのかは、決められない。自治体の条例に委ねられる。

今後、指定地域共同活動団体の指定に関する条例をつくっていくことになるのだろう。多くの自治体は、認定条例(茅ヶ崎市)や認定要綱をバージョンアップしていくのだろう。

まずは、何を指定地域共同活動団体にしていくかである。ニーズやメリット、さらには、事務負担から逆算して、自治体ごとにその範囲を決める作業をしていくのだろう。

もともとは私的領域に係る問題なので、自主性を尊重し(依存性を高めずに)、謙抑的かつ積極的に関与するという難しい作業になるのだろう。条文としては、NPO法のような対象の枠を決め、運用の方は、あまり欲張らずに、まずは、まちづくり協議会あたりから、試行錯誤的に始めていく(初めから風呂敷を広げず、トライアンドエラーを繰り返し、順次、範囲を広げていった方がいいかもしれない)。

事前協議手続きのようなものも必要だろう。

財政民主主義からは、公費の濫用が懸念されるが、その担保をどうするか。茅ヶ崎市条例のような審議会をかませても、急ぎの仕事ではないから、間に合うのではないか。やたらの申請に対する歯止めの役割も必要だろう。

参考モデルは、NPO法のような気がする。今度一度まとめてみよう。

(参考)指定地域共同活動団体制度の創設

1.背景

 市町村は、基礎的な地方公共団体として、その事務を処理するに当たり、地域の多様な主体の自主性を尊重しつつ、これらの主体と協力して、住民の福祉の増進を効率的かつ効果的に図るようにしなければならない(第二百六十条の四十九第一項関係)

 地域の公共課題が広がり、多様化、複雑化するなかで、公と私だけでは対応できない。共の領域が広がってきた。行政と共の担い手である地域共同活動団体との連携・協力が不可欠になってきた。

 地域共同活動団体は、さまざまな課題を抱えている。1. 参加者や活動の担い手の不足、2. リーダー・役員の不足、3. 活動資金の不足、4. 組織運営のノウハウ不足、5. 多様な主体との連携の難しさ等である。

 これを行政の支援、行政との連携によって、後押ししようとする仕組みが指定地域共同活動団体制度である。

2.指定地域共同活動団体制度とは

 市町村長は、1の趣旨を達成するため必要があると認めるときは、地域的な共同活動を行う団体のうち、地縁による団体その他の団体(当該市町村内の一定の区域に住所を有する者を主たる構成員とするものに限る。)又は当該団体を主たる構成員とする団体であって、次に掲げる要件を備えるものを、その申請により、指定地域共同活動団体として指定することができるものとすること。(第二百六十条の四十九第二項関係)

3.指定地域共同活動団体の要件
(1)良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動であって、地域において住民が日常生活を営むために必要な環境の持続的な確保に資するものとして条例で定めるもの(以下「特定地域共同活動」という。)を、地域の多様な主体との連携その他の方法により効率的かつ効果的に行うと認められること。  

地縁的な活動、一定の規模の活動 公共性・公益性などがポイントだろ。

(2)民主的で透明性の高い運営その他適正な運営を確保するために必要なものとして条例で定める要件を備えること。

(3)目的、名称、主としてその活動を行う区域その他の総務省令で定める事項を内容とする定款、規約その他これらに準ずるものを定めていること。

 ガバナンスの効いていることだろう。

(4)(1)から(3)までに掲げるもののほか、条例で定める要件を備えること。

4.市町村に対して連携の調整を求めることができる
 指定地域共同活動団体は、特定地域共同活動を他の地域的な共同活動を行う団体と連携して効率的かつ効果的に行うため、当該特定地域共同活動と他の地域的な共同活動を行う団体が行う当該特定地域共同活動と関連性が高い活動との間の調整を行うよう市町村長に求めることができるものとすること。この場合において、市町村長は、必要があると認めるときは、当該調整を図るために必要な措置を講じなければならないものとすること。(第二百六十条の四十九第五項関係)

 調整役としての自治体

5.随意契約による委託
 市町村は、住民の福祉の増進が効率的かつ効果的に図られると認めるときは、指定地域共同活動団体への事務の委託については、第二百三十四条第二項の規定にかかわらず、随意契約によることができるものとすること。(第二百六十条の四十九第六項関係)

 なぜこの規定ができたのだろう。随意契約の方がなじむということなのだろう。むろん、注意しなければいけない

 最高裁判決を敷衍すると「普通地方公共団体が契約を締結するに当たり競争入札の方法によることが不可能又は著しく困難とはいえないとしても、当該契約の目的・内容に相応する資力、信用、技術、経験等を有する相手方を選定してその者との間で契約を締結するという方法をとるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を達成する上でより妥当であり、ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進につながる」という判断なのだろう。

地域における実践的なまちづくりのような活動は、まちづくり協議会のような組織でないとないとできない。安かろうで競争させても、適切な団体が選ばれない。まちづくり協議会に委託した方が、目的達成の上で妥当。それが、まちづくりという自治体の利益の増進につながる。

逆に言うと、オンブズマンなどが問題にするのは、安易な委託である。税金が不明瞭な使われ方をしている批判は常に伴う。事前手続きと事後の監査もしっかりやるのが前提になる。

6.行政財産の貸付
 市町村は、住民の福祉の増進が効率的かつ効果的に図られると認めるときは、第二百三十八条の四第一項の規定にかかわらず、特定地域共同活動の用に供するため、行政財産を指定地域共同活動団体に貸し付けることができるものとすること。(第二百六十条の四十九第七項関係)

 今の貸付の仕組みでは窮屈ということなのだろう

7.報告を求める
 市町村長は、指定地域共同活動団体に対し、特定地域共同活動の状況その他必要な事項に関し報告を求めることができるものとするほか、指定地域共同活動団体が1の要件を欠くに至ったと認めるとき等は、その改善のために必要な措置を講ずべきことを命ずることができるものとすること。(第二百六十条の四十九第十項及び第十一項関係)

 当然に規定だろう。指定の取り消しも出てくる。

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