松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆『18歳の政治学』(晃洋書房)が増刷になるらしい

2012-01-26 | 1.研究活動
(2012.1.26)
 この本の「はじめに」には、特に力を入れて書いた。テキストらしくないのも承知の上である。私とすると、とても気に入っている。
 増刷にあたって、その文章に続いて、次のような文章を加えることにした

 増刷にあたって
 おかげさまで『18歳の政治学』が増刷になった。「はじめに」に書いたように、初学者向けに平易に書くという姿勢が、受け入れられたのだと思う。ありがたいことである。
 初版が発行されてから、3年がたった。その間、執筆者たちの身の回りに、さまざまな変化があったが、何よりも大きな変化は、第五章「政治思想」を担当された山本周次教授がお亡くなりになったということである。山本先生のお人柄は、「はじめに」に書いたとおりであるが、もうひとつ付け加えれば、教授会では、論客たちが口角泡を飛ばすなか、ひとり洋書に手を置き、黙想されていた姿を思い出す。山本先生が、なぜルソーなのかを結局、聞くことができなくなってしまったが、先生のご冥福をお祈りしたい。

 
 この本を持っていない人も多いだろうから、「はじめに」の一部を紹介しよう。

(略)
 次に、執筆者を紹介しよう。
 第一章「比較政治」を担当するのが滝田豪講師である。今回の執筆メンバーのなかでは最も若手で、気鋭の研究者である。専門は中国政治で、とりわけ中国の農村が専門である。滝田先生をわかりやすくたとえると、日本犬のようなお人柄である。表出する感情は抑制的であるが、内部には豊かな情感を秘めているというのが、その理由である。犬好きである私の観察であるから、結構、いいところをついていると思う。今後が楽しみな先生である。
 第二章「国際関係」を担当するのが瀬島誠准教授である。瀬島先生は、もともとはロシア政治が専門であるが、今では戦争や紛争をゲーム理論等を使い、コンピュータ・シュミレーションでひも解くということをされている。私などは、戦争、ゲーム理論、コンピュータとくれば、任天堂と思ってしまうが、そんな単純なことではないようである。戦争、紛争など怖いテーマを研究しているが、目が優しい先生である。
 第三章「日本の政治」を担当するのが古賀敬太教授である。古賀先生は、カール・シュミット研究で知られるが、その風貌・言動ともアカデミズムという言葉がよく似合う。分かりやすく言うと、蔦のからまるチャペルと四角い博士帽、黒ガウンが最も似合う先生だということである。講義でも、ドイツ語の専門用語が混ざるが、しっかりと聞き取り、分からなければ思いきって質問をしてみてほしい。学びに遠慮は要らない。
 第四章「地方自治」を担当するのが、この原稿を書いている松下啓一である。専門は現代自治体論で、学問的には政治と法律の両面から自治体を解剖し、あるべき姿を再構築するというのがテーマである。その調査のために全国のまちを歩いているが、田舎町の鄙びた食堂で、後姿が寂しそうな男がいたら、それは私であるので、ぜひ声をかけてほしい。この本づくりでは、瀬島先生と一緒に編集を担当した。
 第五章「政治思想」を担当するのが、ジャン・ジャック・ルソーの研究家で知られている山本周次教授である。ルソーといえば「自然に帰れ」が有名であるが、ルソー自身は奔放な(というか身勝手な)行動の人で、不可解な思想家のひとりである。むろん山本先生ご自身はルソー的な人柄とは正反対の寡黙な研究者であるが、そんな人がなぜルソーなのか、聞いてみたいという衝動に私はいつも駆られている。講義のなかで本人の口から語られることを期待したい。

 『18歳の政治学』は、こんな本である。興味があるところから、読み始めてほしい。

 
(2011.11.12)
 大阪国際大学の仲間で書いた『18歳の政治学』(晃洋書房)が増刷になるらしい。
 私も編者であるが、一緒に書いたのは、シュミット研究の古賀先生やルソー研究の山本先生といった大先輩たちで、仲間というよりも、先生のような人たちばかりである。
 初めて大学に勤めたのが、大阪国際大学なので、私の大学というものの枠組みは、ここで学んだ。
 私の研究室の前が古賀先生、その左隣が気鋭の滝田先生、右隣のほうが山本先生、その隣が瀬島先生だったと思う。18歳の政治学は、この5人で書いた本である。山本先生が亡くなり、滝田先生は京都産業大学に移り、私がサガジョに移ったので、いまは2人だけになってしまった。
 ついでに他の先生を紹介すると、私の研究室の3つ隣が、文化功労者で経済学の新開先生、順次隣に、刑法・刑事訴訟法の井戸田先生、行政法の高田敏先生、商法の川又先生という大先生が並んでいた。いずれの先生も、私が学生時代に教科書や論文で学んだ先生たちであるが、どの先生も、新米教員の私に、あれこれと声をかけてくれ、気を使ってもらった。教授会の雰囲気も、京大、阪大の雰囲気をそのまま体現していたのだろう。
 その後、経営環境が厳しくなる中、多くの先生が、大学を去っていかれたが、こんな重厚なアカデミズムのなかに身を置いたというのは、貴重な経験だったと思う。
 
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