松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★政策づくりのヒント(本郷台)

2015-09-10 | 2.講演会・研修会

 神奈川県職員を対象とする研修会である。去年に続き、今年も参加することになった。

 参加者は200人くらい、座席は固定で前向きのホール会場での研修である。ここで想定しているのは、講師が一方的に話をする講義方式だと思う。内容も政策概論のようなもので、完全に大学の授業パターンだと思う。これを一日行うことになる。

 私は、こうした研修は苦手である。とりわけテキストに書いてあるようなことを話すのが最も不得手である。というか、本の解説はいたたまれない。この日も、思わず、「テキストに書いてあることは、私の話よりもテキストを読んだ方が正確なので、テキストを読んでください」と言ってしまった。

 したがって、話はどうしても、本に書いてないことが中心になる。政策形成プロセスに沿って、思いつくままに、政策のコツを話すことになった。正直、県の仕事は、肌感覚ではよくわからないので、うまくフィットしないかもしれないが、参考にしてほしいと思い、体験論に基づく政策づくりのコツを話をした。10個くらいもコツを話しただろうか。

 自治体の仕事のコツ・ノウハウは、なかなか記述するのが難しい。26年の役所生活で、知らず知らずに体得したことがたくさんある。仕事をする際の軸や理念をベースに、市長に対するコツ、議員に対するコツ、上司に対するコツ、部下に対するコツ、市民に対するコツ、さらにはクレーマーに対するコツなど、並べてみると30や40はあるだろう。ある時、これを記述しようと考えたこともあるが、文章にするとが、それがマニュアルになってしまって、教条的になってしまうだろうと考えて、記述を躊躇している。

 こうしたコツは、職員ならば知らず知らずのうちに体得するが、最近、よく聞くのは、こうしたコツを体得せずに、中間管理職になっていくということである。自治体の仕事のコツは、伝承が基本であるが、伝承されずに、中間管理職になり、今度は、部下に伝承できないという連鎖が起こっているのだという。つまり、新人の研修以前に、中間管理職の研修こそが大事だということである。

 考えてみると、これは部長職以上の責任でもあるということである。きちんと、部下に伝えてこなかったことが、巡り巡って、組織全体に影響しているということでもある。打開策としては、忙しいし、面倒かもしれないが、部長職以上を研修の講師にするのがいい方法かもしれない。講師になれば、頭を整理して、仕事のコツを話さなければならないからである。それによって、伝承すべきものも明確になっていくだろう。

 今回は会場のつくりはよくないが、ここでも参加型で研修を行った。隣近所がペアとなって、一緒に議論する方法である。新城市の市民まちづくり会議で学んだ方法である。静かだった会場が、話し声や笑い声でいっぱいになると、なぜか、私もほっとして、研修をやっている気持ちになる。もう、淡々の講義をすることができなくなったと考えると寂しくなるが、それはほかの先生に任せておけばいいだろう。

 この日は、台風の余波で京浜急行が止まってしまった。逸見で運転打ち切りとなった。国道16号に出てバスで帰ったが、運転打ち切りは、初めての体験で、むしろ面白かった。帰宅難民の問題や自治経営と属地性の問題などを考えるきっかけになった(運転打ち切りで地方自治の問題を考えるということは、やや病気なのかもしれない)。

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