それは
夢にしてはひどくはっきりとしていたけれど、
夢ならではの美しさをたたえていた。だからやはり夢なのだ。
夢だと気づいていたのだけど、それでもはっきりとしたあなたの質量と存在が私を釘付けにしたのだから。
私とあなたは19歳で出会い、同じ時間を過ごしたはずなのに、今はもう何年も遠い人だ。
だからこそ私は独りでいまでも上手く泳げないいつも半身のような哀しみを担いでいる。
あなたも独りだけれど、独り同士だからいいというわけにもいかないのだ。
夢の話に戻そう。
私はタクシーに乗っていた。滔々としたオレンジの光があることからおそらくトンネルを通ったのだろう。ひどく静かで揺れない不思議な走行感覚だ。
私の手元には仕事用のパソコンがあり、画面にはテレビ会議がうつっている。
やれやれご丁寧に夢にまで持ち込まれるとは思いもしなかった。
視線を自分の手元から先へ移すと息を飲んだ。
そこには私が愛して愛してやまなかったかつての19で出会った人だった。
夢だからなのか車体の長さと距離感覚がおかしい。
なぜならその人は私の方に頭を向けて身体を緩く折り曲げて、眠っていたのだから。
変わらない美しい白い肌に、睫毛が長い瞳は閉じられていて、いつもおしゃべりな口元は沈黙する。ときおりオレンジの光に照らされるその顔を飽きることなく祈るように見つめていた。
どこへ向かっているのか今どこを走っているのか、そのことに不思議と不安や恐れはなかった。
ただあなたが私のそばに安心して寝ていることにどうか一秒でも長くこの時が続きますようにと祈りをこめてただ見つめていた。
#夢
夢にしてはひどくはっきりとしていたけれど、
夢ならではの美しさをたたえていた。だからやはり夢なのだ。
夢だと気づいていたのだけど、それでもはっきりとしたあなたの質量と存在が私を釘付けにしたのだから。
私とあなたは19歳で出会い、同じ時間を過ごしたはずなのに、今はもう何年も遠い人だ。
だからこそ私は独りでいまでも上手く泳げないいつも半身のような哀しみを担いでいる。
あなたも独りだけれど、独り同士だからいいというわけにもいかないのだ。
夢の話に戻そう。
私はタクシーに乗っていた。滔々としたオレンジの光があることからおそらくトンネルを通ったのだろう。ひどく静かで揺れない不思議な走行感覚だ。
私の手元には仕事用のパソコンがあり、画面にはテレビ会議がうつっている。
やれやれご丁寧に夢にまで持ち込まれるとは思いもしなかった。
視線を自分の手元から先へ移すと息を飲んだ。
そこには私が愛して愛してやまなかったかつての19で出会った人だった。
夢だからなのか車体の長さと距離感覚がおかしい。
なぜならその人は私の方に頭を向けて身体を緩く折り曲げて、眠っていたのだから。
変わらない美しい白い肌に、睫毛が長い瞳は閉じられていて、いつもおしゃべりな口元は沈黙する。ときおりオレンジの光に照らされるその顔を飽きることなく祈るように見つめていた。
どこへ向かっているのか今どこを走っているのか、そのことに不思議と不安や恐れはなかった。
ただあなたが私のそばに安心して寝ていることにどうか一秒でも長くこの時が続きますようにと祈りをこめてただ見つめていた。
#夢
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