不覚にも眠りにおちていた姫が華麗に目覚める瞼を見た。
遅いが早いが関係ない。目覚め思い出したのだ
王者たる王者。
うちの店でも華やかなクリスマスツリーを飾りだした
冬がやってくる。イベントの季節だ。
バイト先で営業の人が来た
若い男の人で某大手広告会社。
うちの店を掲載したいとの内容。先月くらいに来て今日で2度目。
そん人は明るくてイマドキで男っぽい。
気さくだけどちょいと強かな甘い罠の匂いがする人
密な計算と戦略で勝ってきた温室と勝気がないまぜのを感じる。
つまりはイッチー先輩タイプで私と似ている。アグレッシブな温室。
同じ匂いを感じた。優しさと計算とが融和して本音と愛が交錯する。
(てか奇しくもイッチー先輩の内定先!!)
前来た時は店長と三人で話してたからあまり接せなかった。
だけど今日は初めてふたりでお話できた。
学校のこととか就活のこととか。
やっぱり就活生の先輩としてとても教えてくれるし、地に足の着いた
アドバイスははっとさせられモチベーションあがった
で、話してるとこへ野宮さん(元彼!?)が配達で入ってき、同時に
私に会いに社員さんが降りてき、もう狭い調理場に三つ巴トライアングル
が
私いつもほんと漫画のような構成だわ
で恋愛をまた自覚した。恋をする瞬間を見た。
暖かで優しくて、照れがあって、考えて発する言葉ひとつひとつに
意味を添えて。相手の存在をかみ締めるように寄り添うように
相手の存在を意識するようになる。その瞬間がある。
会話がとぎれ沈黙になって時の緊張と照れと内面の葛藤。これだ。
恋されて恋を重ねて私は王者であった過去をまた引き戻した。
あん人は私に親愛を抱いて優しい眼で見つめてくれる。
待っててくれる。見ていてくれる。また会いに来てくれる。
私が恋してるのではない。恋されることに幸福とありがたみを思い出した。
私は追いかけるタイプだが迎え撃つのも悪くない。
恋し恋されるのが常だけど、恋への不信が私を眠らせていた。
私は恋が鮮やかに目覚めるのを自覚した。
単に恋をしたというのでない、恋そのものが私にとってなんたるかを思い出した。
女としての喜びと誇りなのかもしれない。
異性として好きになること。異性として魅力を感じること。
恋されることは自信にも繋がる。
そしたら全て合点がいくのだ。昨日の狂いそうな苦しみの訳も。
私がモテるというのははっきり傾向がある。
モテたのは中学時代と大学入ってからコンスタントに。
すごく人気があるのがバイト先とささいな出会いからの先輩や同輩。
逆にまったくモテないのが部内。
この違いを考えたらすべて合点がいった。
私は部ではとりわけ異性を強調しないようにしていた。
武道であるし、恋愛しにきてるわけではない。
実技向上と役職である責任を感じひたすら打ち込んできた。
大切な仲間であるゆえに平等に接して特別な感情は持ち合わせないように
努めた。だから不自然で超越した存在であった。無性である。
滅多に感情的にならず穏やかで落ち着いた無性の存在。
バイト先は飲食の接客。これは華やかで女性的が求められる。
素のままの自分でいられる。禁止要素がない。
繊細で女性的でいても誰も困らない。異常にモテた。
配達の野宮さん、社員さん、課長、保険の人、営業の人・・・・
みんな私に引き寄せられた。(撃沈させてごめんなさい)
魔性の女のようではないかぁ。でも事実女らしさに惚れたらしい。
女でいられた。のびのび自由で素で飾らなく無理がない。
緊迫したかんじも持たなくてよいし、女でいられた。
可愛い、キレイだ、優しい、護りたい、一緒にいたい、会いたい、
話したい、顔が見たい、落ち着くなど言ってくれた。
私を女として好きになってくれた。
マコも私の性格とか知った上で好きでいてくれて女として好きでいた。
神戸君も女の子扱いしてくれたしサイもメガネも可愛い女として
見てくれた。
それだったのだ。見失ってた。
普通の女の子の私が閉じ込められて気丈な侍のような気質が
ロケットのように善戦してくれて勝ち得たのだけどその女の子が
待ちくたびれて眠ってしまったのだ。
頑張りすぎた。女の子を眠らせていたんだ。
頑張るのはおいらの気質だけど女の子もまた私の気質。
また手を合わせて握り合って生きよう。究極のバランス人間だから。
女の子が目覚めた。あとはもうどこにだっていける。