「どうやらこれは困ったことになったみたいだね。どうしよう」
まさか彼が用意してた対策が尽くだめとは……天才なんだからどうにかしてほしいが実際本当の彼はもう故人なわけで……本物が用意した対策がすべてだめになった今、彼に期待をするのは無理だろう。となると……
『アイ、どうにかできないの?』
私は秘密裏な通信でこそっとアイにそんなふうにいうよ。私? 私がこのレベルの会話についていけるわけはない。確かに目覚めたときよりも色々と学習はしてる。それに脳を拡張してきたことで、一度覚えたことはなんか忘れないし? 知識だけなら、私はそこそこなものを持ってるだろう。
でもだからってそれを活かせるか? は別の話だろう。知識を持ってることと、知識を活かすことは別の能力なんだ。もしかしたらそのうち思考加速とかできないかな? それがあればまだなんとか? でもな……それにはもっと複合的な知識も必要になるだろうし、さらなる深いことを理解しないといけなくなるだろう。 やっぱり現実的じゃないような?
「運命を限定的にできれば、システムが進むということですよね?」
『ああ、メタリファーの命が今のままではこの世界に降り立つことができないんだ』
『ですが、運命なんて最初から決まってるものなのですか?』
アイの彼への質問に便乗して私は気になることを聞いてみた。だって運命って……ロマンチストがいう戯言みたいなものじゃないの? だって運命が確定されてるというのなら、私の運命もすでに決まってるし、他のみんなの……アイはそもそもAIだから命ではないから除外するとして、勇者とかミレナパウスさんの運命も決まってることになるよね? ポニ子はしらん。
そんなのははっきり言って嫌だ。私は自分の運命は自分で切り開くのが好きなんだよ。運命の王子様を待つとか、そんな女の子らしい夢はないからね。
『そうだな。どうやら運命の認識が君とは違うようだ。だがどういうことだ? プチュオクミならインストールされる知識は俺の世界の知識のはずだが? 知らない間に運命の認識への更新があったのか? 君はどういうふうに【運命】を考えてる? 知識ではどうなってるんだ?』
なんかちょっとギクッとしたけど、別に彼には教えても問題ような? てか、プチュオクミが何かを知ってる風なのに、私が異世界の知識を持ってるとわかってない? おかしな話だ。とりあえず私は自分が持ってる運命の知識? 知識というほどのものじゃないかもしれないが、印象を伝えてみる。
『運命はその人の人生に敷かれたレールと言うか? その人の人生が予め決まってるということじゃないのですか? その人が生まれて死ぬまで……その定めが運命でしょう?』
『なるほど……それは科学的じゃないな』
そんなこと言われても……と私は思った。
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