アイ様と勇者様が向かう塔……というか、柱? いやもう何やらわからないそれ。だってそれには壁に色とりどりなものが流れてて、さらには楽し気な音楽……そして四角い枠の中の人物が次々と入れ替わってるのだ。一体あれは? まるでその四角の枠の中に別の世界があるよう。どこからから聞こえる様々な楽器の音。一体どこから? 私はキョロキョロと周囲を見回す。けど音楽を鳴らすような楽団は見当たらない。私の常識的には音楽とは高尚な趣味である。私がいた世界ではそれこそ音楽が鳴ってるのなんてドリランドしかなかった。町中でそういうのが聞こえるのはね。
でもそこでも楽器は大体受けついできたものだけ。それを丁寧に修理し続けて楽団の人たちはやってるといってた。どれもこれもそれなりに大きかった記憶がある。そんなイメージだから、見渡したら楽器なんて一目でわかる……と思ってた。けど私が知ってる楽器のようなものはありません。
「ひゃっ!? アイ様! 勇者様! 大変です!!」
私は周囲を見回してる時に観てしまった。それは天上から無数の目玉かやってくるのを……その数はもう数えるのもおっくうになるほどです。室内だからでしょうか? 外で大量の目玉たちを見た時よりもゾワッとしました。密集具合が違うからかもしれません。なにせあの目玉がぎょろぎょろと大量にうごめいてこっちを見てくるんです。鳥肌だって立ちます。けどお二人とも……
「このまま突っ込む!」
「後ろは気にしない!」
「えぇ……」
そんな事を言われても……ですけど、二人は私の先輩であり上司みたいな存在です。嫌なんて言えません。そもそも私は戦闘にはそんなに明るくない。けど二人は経験豊富。勇者様なんて自身の世界では英雄だったそうではないですか。ならばきっと意味があるんでしょう。後ろはとても気になります。本当に本当に気になります。なにせ気になるような音が……キュイイイイン――とか聞こえますからね。私たち大丈夫ですか? 絶対に狙われてますよ?
けど決して二人は振り返らない。あの塔には攻撃をしない……と思ってるってことでしょうか。確かにここは彼らのテリトリーでしょう。ならば私たちは暴れられても、目玉たちは派手に暴れる事は出来ない……と考えることもできます。それに賭けてる? ああ、もう……とにかく信じるしか私はないです。きっと何発かはポニ子アーマーが守ってくれるはずです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます