UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第二十三話part2

2024-11-13 23:47:17 | 日記
 その人はそれをどうしたかったのか。それは明らかだった。呪術的に様々なことをそれに対して施してたその人は、とてもつらい人生を送ってたみたいだ。その人は周囲を恨んでた。家族を憎んでた。
 そんな心をそれ……に込めていってたんだ。そしてそれはそんな思いを受け入れる。自分の体を傷つけて血で満たした桶にそれを沈めた。そしてそれに毎日語り掛けた。
 もちろんそれは夢とかそんな前向きな事じゃない。その逆だ。恨みつらみ……悲しみ憤り……そんなのを投げつけていく。そして日に日にその血の中には誰かの肉体の一部が投入されていく。 
 それは髪の毛だったり、切られた爪だったりいろいろだった。そんなものに沈まれてそれはどんどん染まっていく。けどいつしか、その人はいなくなった。それだけじゃない。
 その人がいたその村……そこから人がいなくなった。
 
 けど人はいなくなってもそれはなくならない。その惨状を知った隣の村の人たちが高名な坊主に力を借りたようだ。その坊主はいった。
 
「ここにはものすごい呪怨が渦巻いてる。そしてその原因は」
 
 坊主はそれが原因だといった。村を一つ滅ぼすほどの呪物となったそれは。その坊主がお祓いして、祀られることになった。そうやって呪いをうすらげていくのだ。
 それに利点もないわけじゃなかった。強力な呪いを持つ呪物を祀ることで、その力を逆に利用しようということだ。先に強い悪いものがいるところには他の悪いものが寄ってこない……という考えだ。
 祀ることでそれに対して自分たちは敵じゃないとと思わせるのだ。そしてその悪い物の力を守りにむけるのだ。
 
 そうやって祀られることが続いたが、人の業とはそんな浅くない。それは何度も何度も村を滅ぼしてた。けどそれはそれが望んだことじゃない。ただ呪いを求める人がそれに引き寄せられるのがよくないのだ。
 人が必ず、それに最後には頼る。だからいくら祀られてもそれはどんどんその呪いを強めていった。それはどうやらもう時々来るような坊主がどうすることもできないまでになってた。
 
 だからわずかでも呪いを弱くするために、坊主はいった。
 
「これを割りましょう」
 
 その坊主は命を懸けてそれを四つに分けた。そしてそれぞれを離れた村の関係者に預けて、祀るのはその家の者だけ。沢山の人が知ったらそれだけ悲劇を引き寄せる……人の闇の部分をそれは求めている……とおもわれたのかもしれない。
 
 だから坊主は信頼できる家の者にだけ託した。それから長い間そんな家と共にあったそれだったけど、長い年月をかけて今やその家も没落してしまった。
 誰もがこのまま忘れていく……と思われてたそれ。最後に残ってた村も……数十年前に……
 
「この子達は別には悪ではないの。ただ、全てを受け入れて来ただけ……」
「まさか……今の話の四つに分かれた呪物って……」
 
 野々野足軽の言葉におばあちゃんは頷く。どうやらこのサルたちは、元は呪物だったもののようだ。それがなんでこんなサルの肉体を得てるのか? そこにおばあちゃんとの関係があるんだろう。
 
(てか、どう考えても話を聞く限り、危険物では?)
 
 そう足軽は思った。
 

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第二十三話part1

2024-11-13 03:23:13 | 日記
 そこには命はなかった。けどこの国は付喪神的な概念がある。それは最初はただの木彫りだった。それも何も精巧じゃない。ただその時、それを拾った人がそう見えるから……と家に持ち帰っただけの物。
 
 最初はお気に入りでどこにもそれをもっていってた。けどいつしかそれをなくしてしまった。けどそれは別の人の家にあった。きっとその誰かもその木彫りの様ななにかにきっと「何か」を見出したのだろう。
 
 それがそれほど出来が良くなかったのが逆に良かったまである。だってきっとだからこそ、色んな所を渡っていけた。最初に拾った人は、サルのようにみえたかもしれない。
 次の人にはオオカミが吠えてるように見えてた。見る人によってそれは違った……そんな感じでそれは沢山の人の間を長い間渡り歩いてる。
 普通は付喪神というのは一つの物を大事に大事にしていくと、いつかその物に魂が宿る……という考え方だろう。そこにはきっと目に見えない「思い」が募っていくからという考えがあるんだろう。
 
 けどそれはそうじゃない。確かに長い間それは人の世を渡り歩いてた。けど大切にされてたのか? といえばそうじゃないかもしれない。確かに一時的な「お気に入り」にはなることができる。でもそれも長くて一週間、早くて三日……その程度だった。そして長い間雨風にさらされる事もある。
 そのたびに『それ』は思ってた。
 
「なんで……」
 
 ――と。でもそれには不思議な魅力があったんだろう。必ず誰かが見つける。多いのは純粋な子供だ。だからこそ、すぐに夢中になるが、同時にすぐに興味が移っていく。
 
 けどある時、長く長く海を漂って、そして岸についたとき、手ぬぐいを頭に巻いた音がそれを拾った。その人はこの不思議なそれに、魅力をとても感じたんだろう。
 
「お、おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお」
 
 頬を伝う涙。なぜかその人は泣いていた。きっとこれは神の天啓なんだとそうその人は思った。それからは色々と事をそれはされた。まずは綺麗にされたが、それからは……そう口にするのも憚れるような……そんな事だった。
 けど今までの誰よりも強い思い。そして強い執念。そして術術的な道具にされたことで、それは『変化』を始めてた。