新たな形態を使って、腕と戦う。腕の多段攻撃にも対応できてる。内部に響く振動。それを同じ振動で相殺するのだ。単純な事だけど、いきなりやるのは難しい。でも、自分の中にはノアもいる。だからできる。聖剣と自分で戦い。
補助をノアに任せる。盤石な態勢だろう。それに……
(馴れて来たぞ)
この形態も初めてだから探り探りだっだ。どこまで出せるのか、限界はどこなのか、あとは感覚をすり合わせていく感じ。それをやってきた。そしてようやくこの形態を掴んできた……と思う。自身がまさに剣へとなってるこの形態。
どうやらその気になれば、手のひらからでも、どこからでも刀身を出したりできた。
まあけどみえない刃の方が効果的ではある。わざとみせてそっちに意識をもっていかせるのもいいだけど、そもそもが腕には顔がない。奴の視線はこっちにはわからないから、どこに意識が向いてるかこっちがわからない。
だからそれはちょっとうまみが少ない気がする。かなりミレナパウスさんが目玉の数を減らしてくれてる。でも……ボロボロでも目玉は動き出したりしてる。修理……されてる?
まだ腕にはその手は伸びてない。腕は簡易的には修理とかできないのかもしれない。実際こいつは特別だ。簡単に修理や整備ができるようなタイプじゃないのかも。
「そろそろ決めるわよ。あの子も限界が近いし、負担ばかりかけてられないわ」
「わかってます。そのつもりです」
「特殊な弾丸を用意したわ。あいつをこの弾丸でシステムから切り離す。そしたら勇者。あんたが決めなさい」
「はい!」
いつの間にか背中についてたアイ殿からのその言葉。それだけ言うと静かに彼女は距離をとる。狙いを定めるんだろう。こちらも準備をしよう。高めるんじゃなく、研ぎ澄ませる。
そのほうがこの腕にきっと気づかれないだろう。力を高めると、どうしても察せられてしまう。なにせエネルギーは常に戦闘中には気をかけてるからだ。
エネルギーの上下、それを意識するのは戦闘の基本といっていい。高まったら、強力な攻撃がくるし、下の方にいってそれが元に戻らないのなら、エネルギーが残りすくないとわかる。
戦闘において、その情報はとても大切だ。だからこそ、なるべく知られないようにもするものだが、やっぱり決死の一撃とかなると、気づかれないようにするのは難しい。
だからこそ、高めるんじゃなくエネルギーを研ぎ澄ませるんだ。それはきっとこの腕にはない概念だろう。
この戦いの終わりも近づいてる。自分はそれを感じてた。
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