「条件によって自身の力を縛ることで、強力無比になってる……みたいね」
そんな事を幾代がいった。芋虫妖怪はどれだけムキムキの鬼たちに殴られても元にもどる。いや、なかったことになってるような……そんな感じみたいだなって小頭は思った。一体どうしたらいいのか……だってかなりの鬼たちの本気の攻撃でもあの芋虫妖怪を駅を通るまでに倒す……ということはできなかったんだ。
どう考えても小頭たちの中で一番攻撃力が高いのは鬼たちだ。てか小頭には当然として攻撃力はない。なにせ無力だからだ。そして幾代にも攻撃できるような力はない。だから実行部隊は自然と鬼たちになる。
その鬼たちの攻撃で倒しきれない。こうなると詰むのは自然なことだろう。駅を通ると芋虫妖怪はさっきまで攻撃をすべてなかったことにしてしまう。つまりは芋虫妖怪が駅を通り過ぎる僅かな間で芋虫妖怪を弱らせて、芋虫妖怪を柱にしないといけない。
実際、これまでの海坊主、子供妖怪、白蛇も完全に倒してはない。弱らせて幾代の力が通るようにしてそれから彼らを柱としたんだ。だから完全に倒す――必要は必ずしも必要じゃない。
いや倒し切ると妖怪自体がいなくなるから、それはある意味で困る。なのでいくら思いっきり鬼たちが攻撃しても倒しきれないのはある意味で安心感もあるかもしれない。
けど絶対に芋虫妖怪は止まらないのだ。別に芋虫妖怪は電車の真似をしてるだけで車輪とかあるがあるわけじゃない。だから足元を攻撃して移動を止めるとか、線路を破壊して脱線を図る……とかしても意味ない。なにをしても関係なく進むのだ。そしてまたもどる。
戻ると当然だけど、なんとか浸透させてた幾代の力もゼロにリセットされてしまう。これまでのことで幾代だってそれなりに力を違うように使うことにもなれたはずだけど、やっぱり時間制限が有るってのは焦りがでるのだろう。
だから何度も何度も失敗した。シンプルに鬼男が最終手段で芋虫妖怪の正面にたち、相撲のようにぶつかって進行を遅らせる手段を取ったけど、それでも失敗は積み重なった。
なにか自分にもできることはないか? と小頭は考えた。だってみんなが頑張ってるのに自分だけ手持ち無沙汰なのは心苦しかったからだ。
(駅、電車、線路……妖怪、再現……)
幾代と小頭はこの廃駅に降り立ってる。そして鬼男と鬼女は線路に降りて色々とやってる。線路にでなかったら芋虫妖怪は危険はないのだ。だから小頭は放置されてるといっていい。幾代は術式をなんとか短縮しようとがんばってるし、力をどうにか早く芋虫妖怪に適用させようと試行錯誤してた。
そしてその時間を稼ぐべく鬼たちもやってる。
そんな中小頭は駅を見て回ってた。
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