日々是迷走中

まったく同じ名前のブログがあるけど、gooのがあたしの。
自称永遠の八歳。
ただし他称、宇宙人。

母の日と罰当たりな娘

2010-05-09 14:24:30 | 日常
母の日の思い出といえば。
あたしにとっては、ものすごい暗い話だった。


小学校一年生の時、当時はお小遣いなんてもらってなくて。
必要な物があれば、そのつど請求していた。
おやつは買い食い禁止で、そのせいで仲間はずれにも、された。
でも、なんとか母の日のプレゼントをあげたかった、子供心。

何日も前から、おじいちゃんのたばこを買ってきてあげて、お駄賃をせしめたり
近所の畑でゴミ運びの手伝いをして(この時期、畑は忙しい)お駄賃をもらったり
なんやらかんやらして、近くの用品店に十円玉をたくさん握りしめて出かけた。

なにしろ低予算。
買える物など、ハンカチくらいだった。
本当はショールが欲しかったのだが、何年もお駄賃を貯めても、無理っぽかったし。

お店の人からリボンをサービスしてもらって、頬を染めて母の元に急いだ。
初めての買い物。
どきどきどきどき。

母は台所で忙しそうだった。
おずおずと割烹着の裾を引っ張ると、母は振り向いた。

あのね、これ、えっと、・・・母の日だから。

やっと言って、母の笑顔が見たくて振り仰いだら、母はものすごく「渋い顔」をしていた。
びっくりした。

「お小遣いももらってないのに、こんな無駄遣いするんじゃありません!」

とりあえず受け取ったけど、その一言だけで、くるりと後ろを向いて、また作業に戻った
その母の割烹着の白さが目に痛くて、あたしはこっそり泣きながら自室に戻った。
抱きしめてくれなくてもいい。せめて「ありがとう」という笑顔が欲しかった。
馬鹿なことをしたのだ、という後悔だけでは悲しすぎた。

その後も、あたしの選んだハンカチは使われることもなく過ぎた。
あたしは、母の日のプレゼント、というものから遠ざかった。

進学校に通い、図書室が憩いの場で、毎日忙しく過ぎていった。
そのうちにおじいちゃんが倒れ、看病に手を取られているうちに母も病魔に冒され
先に母が逝った。
おじいちゃんも翌年みまかった。

介護疲れで、身の回りに目を向けることもなく過ぎた長い長い日々も、ようよう落ち着きを取り戻しつつある。
最近になって、やっと遺品の整理を始めた。
遅すぎるけれど、やらないと、という義務感から。

母のタンスの引き出しの奥から、紙袋が出てきた。
あたしのあげた、たった一度の母の日のプレゼント。
「○○から、母の日に」という、見慣れた母の文字が添えられてあった。

こんな安物のハンカチを、いつまでも、こんなふうに・・・・・

思わず取り乱して、見なかったことにして捨てようかとさえ思うほど、あたしは母に邪険だった。
たぶん。

おかあさん、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。

渋い顔は、泣きそうだった・からかもしれない。
小学校一年生のあたしには、そんな「大人の思い」なんか、解りませんでした。

どうか、母が迷わず天国に行けていますように。

あとで母の墓前に、白いカーネーションでも持って行こう、と思っています。
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3 コメント

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ありがとうございます・・・( T△T) (otikomi)
2010-05-11 22:10:01
なんかね、いろいろ思い出すと、辛くて。
親不孝真っ盛りだった頃とか特に、よく覚えてて。
せつなかった。
レス、遅れてしまってごめんなさい。
なんて書いたら良いのか、悩んでしまってて。

まきぼうひゃん。
うん、伝わってるといいなぁ。

ぽこちゃん。
捨てたのか、それはまた。。。r(^‥^;=)~ ポリポリ

子どもって、子どもなりに「せつない」んですよね、いつだって。
子どもの心を、ちゃんとすくい取ってあげられる大人になりたい、と
いつも思っています。
返信する
Unknown (ぽこ丸)
2010-05-10 20:19:50
お母さん(ToT)
彩女さん(ToT)
感情をだすのが不器用なお母さんだったのですね!
家は受け取って捨てたのを目撃してから複雑です(笑)
あ、ちゃんと渡しましたo(^-^)o
返信する
Unknown (まきぼう)
2010-05-09 20:36:35
この場面で、自分を責めるか。
彩ちゃん、自分に厳しいのぉ(^^;
そんな細かなオトナの機微を、
一目で見破る小学一年生なんて、
千人に一人いるかいないかじゃないかな。
ハタチ過ぎても読めない大人は多いはず。

彩ママは照れ屋さんだったのね。
それで損した場面も多かったろうな。
でも彩ちゃんは、児童たちとのやりとりを読んでる感じでは、
素直な感情表現ができてる人でないかい?
きっとママンにも素直に伝わってるよ、
彩ちゃんがママンを大好きなこと。
ね?(笑)
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