地震からあと、ひっきりなしに余震に見舞われていた。
最初こそおびえていたが、こうも数が多いのと、本震があまりにも大きかったせいで
すっかり慣れっこになっている。
あー、また揺れてるねー、と言いながら、いろんなことを作業し続けた。
とりあえず、今日中に物資をかき集めて、明日の朝には出発し、三陸に行く。
そう決めたから。
買い置きのラーメン、お菓子類、箱買いしてあった飲み物、水。
ペットボトルに、念のため何本か水を入れた。もしも、もしも、である。
ナビは役に立たないかもしれないが、久慈経由で行けば一本道だ。
そう、単純に考えていた。
買い足しをしようと大きい店に行ったら、停電でレジが打てないから、休業します、という。
ご飯が炊けないから、とおにぎりを買いに出たら、道が寸断されて、補給が来ないと。
えっ、陸の孤島扱いなのか?
でも、外に出たおかげで、車の中で家電を充電できる器具を持っている友人から、いっとき
貸してもらえた。
正月にお年玉で購入した、ドコモのギャラクシー、充電したらネットにつながるかもしれない。
おおいに期待して、エンジンつけっぱなしで頑張る。
思い出して、車内のテレビをダメ元でつけたら、映ってる!!
だけど、ニュースがえらいことになっている。
なんだと?
原発が危ない、って???
・・・なんだ、そりゃ!!
ていうか。死人が数百人で、まだまだ増える、って、何が何だかわからん。
地震っていったら、津波を考えるはず、はまの人間たちは。
・・・だけど、普通なら船を沖に逃がすはずなのに、ずいぶんと打ち上げられてたし。
なにが原因なんだろう、この混乱は。
無い頭で考えても、さっぱり理解できなかった。
とりあえず、出発の準備を固めよう。
ガソリンの携行缶を持ってスタンドに行ったら、長~~~い長い行列。端っこが見えない。
お一人さま、10リットルまでです、1500円用意して、お待ちください。
うえ、いきなり、そんなに値上げかよ。130円前後だったはずなのに。
(当時の最安値は121円ほどだった、と記憶している)
でも、人間、無いと言われると不安になるものだ。
あきらめ顔で並ぶ。ガソリンがもったいないから、エンジンは切って、寒いのなんの。
あれ以来、ずっと雪の日が続くことを、まだ予測できていなかった。
普通にして居ても、体が絶え間なく揺れているような感覚に悩まされた。
船酔いならぬ、地震酔い。
品物はどんどん無くなって、途中から手回しのレジ、または紙に手書きでレシートをくれた近所の店たちも
棚の物がすっかり売り切れて、すっからかん。まるで開店準備の状態になっていた。
季節が冬でなければ、畑に行けば何か食べられただろうに、冬の終わり、備蓄の野菜も底をつくあたり、だった。
気持ちが焦って、たまらなかった。
あとで聞いたが、被災地にはけっこう速く、物資が届いたそうだ。
あたしらは郡部なので、本当に食べ物に困ったんだよ。
買い置きの箱ラーメンは、近所や知り合いに(もちろんただで)配ってしまって、二週間もしたら何も無くなった。
で、被災地に出かけていったら、店に物があるではないか。
頼み込んだら、快く売ってくれた、おかずも、野菜も、くだものも、しかも通常価格で。
あの小さな店のおばさん、神様に見えたよ。
電気は、いつまで待っても、来ない。
避難所に、若い人たちがあふれていて、家も倒壊していないのに、どうしたの?と尋ねたら
オール電化にしてたから、寒いし食べ物もどうにもできないし、で、お世話になります。
だと。まぁ、いたしかたない、というか。
あたしんちも、風呂に入れなかったんだよね。ボイラーが使えないから。
いつも行く大きいお風呂は、裏が湾だった。
で、罹災したんだそうで。ボイラーが水をかぶって、使えなくなった、って。
燃料も買えないから、どうにもならないんだと。
昼日中で、入浴していた人たちも、地震で仰天して帰り支度をしたんだけど、駐車場に水が上がったとかで
ドアを開けたら、海水がどっと出てきた、なんて言ってたよ。
町中の銭湯も、燃料が無いから休業だった。
あのときは、一ヶ月、入浴しなかったんだっけ。電気が来たあとも、灯油が無くて。
哀しかった。
水はあったし、ガスも使えた。ありがたかった。
ガスで、なんとかご飯を炊いた。それが、んまかった。癖になりそう。
で、夜に、ネットの友達が心配してるかも、と、ギャラクシーから書き込みしたんだ。
無事です、って。
すぐ返事があってね、涙が出た。うれしくて。
一人では無い、ということが、こんなにも力になるなんて、今まで知らなかったんだよ。
少しは考えていたけどね、実際にこういう状況に置かれると、違うもんだよ。
体験しないと理解できないと思うけど。
理解できなくてもいいよ、体験、誰にもしてほしくない。つらすぎるもん。
気持ちがね、本気で、折れそうになるのよ。
ニュース見てから、よけいにね。
手の届かない場所に居る知り合いや親戚や、それらが、一番悲惨な目に遭っているのかも、と
想像すると、きりきり、胸が痛いんだよね。
本当に「痛む」んだよ。病気みたいに。
困ったもんだったよ。
でも、とにかく、行かなくちゃ。
明日は、どんなことがあっても、行くぞ。たとえガソリンが無くなっても。
そう決めた。
ただし。
この考えは、実ははた迷惑だったのだ。
それは、行ってみたら、分かるんだよ。
最初こそおびえていたが、こうも数が多いのと、本震があまりにも大きかったせいで
すっかり慣れっこになっている。
あー、また揺れてるねー、と言いながら、いろんなことを作業し続けた。
とりあえず、今日中に物資をかき集めて、明日の朝には出発し、三陸に行く。
そう決めたから。
買い置きのラーメン、お菓子類、箱買いしてあった飲み物、水。
ペットボトルに、念のため何本か水を入れた。もしも、もしも、である。
ナビは役に立たないかもしれないが、久慈経由で行けば一本道だ。
そう、単純に考えていた。
買い足しをしようと大きい店に行ったら、停電でレジが打てないから、休業します、という。
ご飯が炊けないから、とおにぎりを買いに出たら、道が寸断されて、補給が来ないと。
えっ、陸の孤島扱いなのか?
でも、外に出たおかげで、車の中で家電を充電できる器具を持っている友人から、いっとき
貸してもらえた。
正月にお年玉で購入した、ドコモのギャラクシー、充電したらネットにつながるかもしれない。
おおいに期待して、エンジンつけっぱなしで頑張る。
思い出して、車内のテレビをダメ元でつけたら、映ってる!!
だけど、ニュースがえらいことになっている。
なんだと?
原発が危ない、って???
・・・なんだ、そりゃ!!
ていうか。死人が数百人で、まだまだ増える、って、何が何だかわからん。
地震っていったら、津波を考えるはず、はまの人間たちは。
・・・だけど、普通なら船を沖に逃がすはずなのに、ずいぶんと打ち上げられてたし。
なにが原因なんだろう、この混乱は。
無い頭で考えても、さっぱり理解できなかった。
とりあえず、出発の準備を固めよう。
ガソリンの携行缶を持ってスタンドに行ったら、長~~~い長い行列。端っこが見えない。
お一人さま、10リットルまでです、1500円用意して、お待ちください。
うえ、いきなり、そんなに値上げかよ。130円前後だったはずなのに。
(当時の最安値は121円ほどだった、と記憶している)
でも、人間、無いと言われると不安になるものだ。
あきらめ顔で並ぶ。ガソリンがもったいないから、エンジンは切って、寒いのなんの。
あれ以来、ずっと雪の日が続くことを、まだ予測できていなかった。
普通にして居ても、体が絶え間なく揺れているような感覚に悩まされた。
船酔いならぬ、地震酔い。
品物はどんどん無くなって、途中から手回しのレジ、または紙に手書きでレシートをくれた近所の店たちも
棚の物がすっかり売り切れて、すっからかん。まるで開店準備の状態になっていた。
季節が冬でなければ、畑に行けば何か食べられただろうに、冬の終わり、備蓄の野菜も底をつくあたり、だった。
気持ちが焦って、たまらなかった。
あとで聞いたが、被災地にはけっこう速く、物資が届いたそうだ。
あたしらは郡部なので、本当に食べ物に困ったんだよ。
買い置きの箱ラーメンは、近所や知り合いに(もちろんただで)配ってしまって、二週間もしたら何も無くなった。
で、被災地に出かけていったら、店に物があるではないか。
頼み込んだら、快く売ってくれた、おかずも、野菜も、くだものも、しかも通常価格で。
あの小さな店のおばさん、神様に見えたよ。
電気は、いつまで待っても、来ない。
避難所に、若い人たちがあふれていて、家も倒壊していないのに、どうしたの?と尋ねたら
オール電化にしてたから、寒いし食べ物もどうにもできないし、で、お世話になります。
だと。まぁ、いたしかたない、というか。
あたしんちも、風呂に入れなかったんだよね。ボイラーが使えないから。
いつも行く大きいお風呂は、裏が湾だった。
で、罹災したんだそうで。ボイラーが水をかぶって、使えなくなった、って。
燃料も買えないから、どうにもならないんだと。
昼日中で、入浴していた人たちも、地震で仰天して帰り支度をしたんだけど、駐車場に水が上がったとかで
ドアを開けたら、海水がどっと出てきた、なんて言ってたよ。
町中の銭湯も、燃料が無いから休業だった。
あのときは、一ヶ月、入浴しなかったんだっけ。電気が来たあとも、灯油が無くて。
哀しかった。
水はあったし、ガスも使えた。ありがたかった。
ガスで、なんとかご飯を炊いた。それが、んまかった。癖になりそう。
で、夜に、ネットの友達が心配してるかも、と、ギャラクシーから書き込みしたんだ。
無事です、って。
すぐ返事があってね、涙が出た。うれしくて。
一人では無い、ということが、こんなにも力になるなんて、今まで知らなかったんだよ。
少しは考えていたけどね、実際にこういう状況に置かれると、違うもんだよ。
体験しないと理解できないと思うけど。
理解できなくてもいいよ、体験、誰にもしてほしくない。つらすぎるもん。
気持ちがね、本気で、折れそうになるのよ。
ニュース見てから、よけいにね。
手の届かない場所に居る知り合いや親戚や、それらが、一番悲惨な目に遭っているのかも、と
想像すると、きりきり、胸が痛いんだよね。
本当に「痛む」んだよ。病気みたいに。
困ったもんだったよ。
でも、とにかく、行かなくちゃ。
明日は、どんなことがあっても、行くぞ。たとえガソリンが無くなっても。
そう決めた。
ただし。
この考えは、実ははた迷惑だったのだ。
それは、行ってみたら、分かるんだよ。
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