医師・カモカのおっちゃんと田辺聖子のナニの話。
一夜にして秋となり、朝夕は涼しい。日本の秋はいい。世界に冠たるものは日本の秋である。
私のマンションからマトモに六甲連山が見えるので夕焼けの美しさったらない。
私は夕焼けし始めると仕事なんかほったらかして飛んでいき、ブランデーの水割りなんかちびちびやって、そうなるともう、これは朝まで。新月が出たと言っては飲み、真っ暗になったと言っては飲み、して楽しんでいる。
ただ、夜と早暁、暴走族が下の道路に多くて困ってしまう。主基公園の東側にたむろするのが、常時7台から9台いて、凄い爆音をとどろかして走り狂っている。
明け方なんか、もうひと眠りするとシッカリするというときに、空にヒコーキ、地上にオートバイ、ブルブルゴーゴーと、しまいに腹立ちを通り越して笑いだしてしまう。伊丹市は空のヒコーキ対策と同じように地上のオートバイに乗ってゴキブリも取り締まってほしい。住宅地で爆音をひびかせられてはどうしようもない。これが芦屋西宮のように、市民意識の発達してる町だと、町内、とても黙っていない。
そんなことを考えながら、ちびちびブランデーをすすっておりますと(何しろブランデーは高いので鯨飲してはもったいない)「あーそびーましょ」とカモカのおっちゃんがきた。
「下の道路、アホガキがえらい音たてて走ってますな」
「音は上へ行くほど聞こえますから」
「窓を閉めれば少しはちがうでしょう」
「窓を開けるのが好きなんです。風を楽しみたいから、少々寒くとも。『窓を開けますか?』という小説を書いてるくらいです」
「小説なんかどうでもええけどオトナの営みがジャリに邪魔されるのはけしからんですなあ。あない、えらい音立てられては気が散って、おちついてできまへんやろ」
おっちゃんの言うのは、そんなことばっかし。おっちゃんはいかめしく形を改め、「何を言う。それが社会の一般根幹やないか。男にとってそれ以上の大切なことあらへん」
「あら、ホーント。そうかなあ」
「男は、そのことを重視しますなあ。そんなん、どっちでもええ、もっとほかに世の中にゃ大切なことある、という評論家や文化人の手合いは、照れ隠しにそんなこというとるだけ、男と生まれたからにゃ、ナニを重視せざるを得まへん」
(続く)
」
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