先日91歳で亡くなった田辺聖子の「カモカのおっちゃん」。
第2話
このあいだ東京は上野でパンダを見ました。
もうこの頃は見物人も少し減ってるかなあと思って、見に行ったのだ。
ところが、なんのなんの、妊娠騒ぎからこっち、また連日、見物客が増加しているそうである。
上野動物園、裏から入って、荷物を預けようとすると、あずかり所はない。
そこから10分も歩いたパンダの前の案内書にしか、あずかり所はない。不便だ。
私は、あるものだと思ってバッグを持ち込んだので、たいそう困った。
でも、カモカのおっちゃんがいてたすかった。
おっちゃんに荷物をもたしてやった。
「爺さん婆さんの東京見物という図ですなあ」
「唐草の風呂敷に包んでくればよかったですね」
神戸の王子動物園を考えるものだから、上野動物園はやたら広く思われる。
モノレールに乗って反対側に行く。
木はずいぶんたくさんあるけれど、人が多くて埃っぽく猥雑であった。
いやもう、あまりにも人が多い。とても神戸の王子どころのさわぎじゃない。
大坂の天王寺動物園も人が多いけれど。
神戸の王子が好きなのは、景色がいいのだ。
春のさくらどきもいいが、何でもないときでも、一番奥の山側の。カバとサイのいるあたり、すばらしいながめなのだ。
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