いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

三越に服選ぶ人~米川千嘉子の歌~

2019-01-10 20:47:52 | 短歌


帰国せし三越に服えらぶこの国はただ服の照る国
                     米川千嘉子

北朝鮮から帰国した
曽我ひとみさんの歌。

長い間の拉致から生還した曽根さん。
服も、髪型も、歯並びも、
野暮ったい姿であった。
しかし、
帰国して、どれも、
洗練された。
けれども、
内面のことはあまり報道されず、
三越で
43歳にふさわしい服を選んだことが
ニュースとなった。
内面でなく、
外見だけ見ようとする
底の浅さ。

曽我さんは、米川千嘉子と同年齢だそうだ。

‥‥‥

わたくしの時間のうらに時間ありて曽我ひとみさん(43歳)あらはる

人の時間は雨粒ほども交わらず拉致のテレビをなほ見続ける


佐伯九段サロン後の茶話会

2019-01-10 20:30:52 | 将棋


毎回、佐伯九段将棋サロンが終わると、
飲み会か
茶話会に出る人が多い。

茶話会に参加。
11人ほどの参加であった。

将棋の話、
今日の対局の振り返り、
生活の問題、
世界情勢、
と、多様な話題が出る。

メンバーは
大学教授、
元パイロット、
主婦、
大工さん、
自営業の人、
など。

メンバーは固定していて、
将棋会の事情に詳しい人ばかりなので、
話に花が咲く。
約2時間。

次は、2週間後。

対局日誌~その35~

2019-01-10 20:19:24 | 対局日誌



佐伯九段将棋サロンに出席した。

初めに全員が参加するリレー将棋。
大逆転の連続であった。

ついで、
個別対局。

1局目は、
女流名人戦にも出場している
女性強豪。
旦那さんが社会人強豪で、
理解があるようだ。
相居飛車から、
端をめぐる戦い。
相手が寄せ損ねて、接戦になった。
決戦が長引くも、力尽きて
敗戦。

2局目は、
職域戦に参加する強豪。
これは、
振り飛車対居飛車。
相手が大きな駒損で
モノにしたかと思ったが、
寄せ切られた。

1戦ずつすべて成績がつけられるので、
緊張感をもって戦える。

満足のいく1日であった。

滑らかな歌~岩田正~

2019-01-10 11:44:10 | 短歌


岩田正は、滑らかな歌を歌った歌人である。
描写の正確さ、素材の選び方にも特徴がある。
妻は、戦後歌壇をひっぱる馬場あき子。

次のような、飄逸な歌もある。

‥‥‥

イヴ・モンタンの枯葉愛して30年妻を愛して35年

‥‥‥

老年期の歌を3首挙げる。

‥‥‥

ケアセンターの老いらに時に愛情のうごくはわれの生きゐるしるし

よろけつつ床に立ちたり一日のあしたの緒戦先ずは勝ちたり

早く眼のさむればじっと寝たままで目覚まし鳴るを息つめて待つ







うみかぜテラス~茅ヶ崎市の新施設~

2019-01-09 19:50:56 | 地域


茅ヶ崎市に
「うみかぜテラス」という
新しい施設が開設された。

幼児、少年、青年、壮年、老年
をターゲットにした複合施設である。

地下、1階、2階があり、
16のスペースを有する。
利用が始まったばかりなので、
これからが、期待される。

多目的室、
スタジオ、
集会室、
調理室
等がある。

老人向けには、
無料の囲碁・将棋の部屋も備えてある。

この地域に、
新鮮な風を送ってくれるだろう。

対局日誌~その34~

2019-01-09 19:32:39 | 将棋


無料道場にて7局指す。

初めは、
Hさん。
高段者。
93歳になるというのに、
バイクで通っておられる。
運転は安定していて、危なげがない。

2勝3敗。
1局目は、
棒銀で、見事につぶされた。
指し手をすべて読まれているようで、
1手たりともゆるまない。
棒銀は、指し慣れておられるのだろう。
2局目は、
振り飛車対居飛車。
なんとか勝ち切ることができた。
ただ、力はあちらの方がはるかに上なので、
少々退屈されたかもしれない。
初級者と指していて、
「なぜこの手がみえないのだろう」
と思うことがあるが、
同様の感想をもたれたかもしれない。
ちょっと、申し訳ない感じがした。

5~7手を正確に読まれていて、
高齢なのに、
頭の切れがとてもよいと思った。

少し、
Oさん対Hさんの対局を観戦させていただいた。

Oさんは、高段者である。
80歳を越えても、力が衰えることがない。

「なぜこんな受け一方の手を指すのだろう」
と思っていたら、
5手先には、
明らかに狙いがあったことがわかる。
かなわない。

最後は、Mさんと2局。
高段者である。
2局とも、
見事につぶされた。
80歳、
恐るべし。











いのち2つの歌~河野裕子~

2019-01-09 10:46:33 | 短歌


まがなしくいのち2つとなりし身を泉のごとき夜の湯に浸す

河野裕子がみごもったときの歌である。
母と子といえども、別人格であるが、
妊娠中は、胎児と一体化したように
感ずるという。
風呂に入ったときなど、
とりわけ胎動を意識することが多いらしい。
そのうれしさと驚きを歌の中に込めたわけである。
この自覚を「いのち2つ」と
表現している。
新しい命をこの世に送り出す
罪深さをも感じるとも思っただろう。

すでに明治時代、
与謝野晶子が、双子を妊娠した時の歌が
発表されたことがある。

‥‥‥

不可思議は天に二日のあるよりもわが体に鳴る3つの心臓
この度は命あやふし母を焼くか土ふたりわが胎に居る



主治医と野球の話

2019-01-08 21:25:58 | 医療


定期健診に行ってきた。
はじめに簡単に症状を説明する。
そのあとは、時間のある時、
野球の話をする。
お互いに野球ファンなのである。

今日も野球の話をした。
巨人が、丸を広島からとったと思ったが、
長野が補償で広島に行った。

また、内海が西武に行ってしまった。

結局、アメリカの野球みたいに
なりましたね、
というのが
今日の結論である。

8時間PCを打ち続ける大和撫子

2019-01-08 18:45:55 | 短歌



8時間ノートPC打ちつづけこの撫子はわらふことなし

作者は、アメリカへの出張で、
飛行機に乗っている。
隣に座る日本女性が、
PCを打っている。
8時間の搭乗時間、表情も変えず
打ち続けるのであった。
まるでサイボーグのように。

作者は、坂井修二。
歌人であり、
ITを専攻する東大教授でもある。
釈超空賞を受賞した。

ところで、
撫子の花は、夏から秋にかけて咲くが、
たいへん強健である。
ときに、冬になっても咲いている。
歌われている女性は、
その撫子のように、
強い強い女性なのだろう。



春日井建の母を思う歌

2019-01-08 15:27:46 | 短歌


著名な歌人、
春日井建。
歌だけでなく、多方面で活躍した。
それまで健康に過ごしていた60代。
突然、喉頭がんであることがわかる。
急な入院。
それまで守ってきた母は、
壮健とはいえ、高齢であった。
母の存在のありがたさは、
高齢になるほど身に沁みるものである。
健は、母を見送らずに
逝ってしまうことを怖れた。

ボヘミアの古硝子ほどの水いろの空見ゆ母を想へば泣かゆ

結局、母は94歳で逝った。
喉頭がんで死期の近いことを予見していた健は、
悲しむ反面、
逆縁を免れたこと、
母が病気ではなかったことで、
ほっと一息ついたかもしれない。

それから2年半後に、健は、
喉頭がんで世を去ったのであった。

詩「砂上」

2019-01-07 20:54:33 | 文学


「砂上」

海 海よ お前を私の思い出と呼ぼう 私の思い出よ
お前の渚に 私は砂の上に臥よう 海 塩辛い水 ‥‥水の音よ
お前は遠くからやってくる 私の思い出の縁飾り 波よ 塩辛い水の起伏しよ
そうして渚を噛むがいい 
そうして渚を走るがいい
お前の飛沫で私の睫毛を濡らすがいい

近代の人気歌人斎藤史の「姥の歌」

2019-01-07 19:45:52 | 短歌


近代の有名な歌人斎藤史。
長きにわたって、
歌壇で重きをなした。

次の歌が有名である。

‥‥‥

山坂を髪乱れつつ来しからにわれも信濃の願人の姥

斉藤史60代になったときの
歌である。
93歳まで生きた斉藤に
60代の「姥」とは、
ちょっとちぐはぐだが、
長い間母の介護にあたった斉藤の目は
老いをはやくからとらえていたのだろう。
長野をついの住処とは考えていなかったようだが、
結局、93歳で逝くまで、長野に住んだ。

もう2首挙げておく。

‥‥‥

雪被く髪とも姥の白髪とも夜の道を来しみづからの貌

つゆしぐれ信濃は秋の姥捨のわれを置きさり過ぎしものたち

老人ホームのボランティア14年目に入る

2019-01-07 18:59:13 | ボランティア


老人ホームのボランティアも
14年目に入った。
将棋、はさみ将棋、囲碁、
のお相手をしている。
スタッフは5名。
1時から3時迄、
月1回行う。
デイサービスに来所の方が利用される。

長い間指していないから、
不安だ、
と言う方もいらっしゃるが、
実際に指せば、
安心される。
そのへんは、
ボランティアスタッフがよく心掛けていて、
一方的な展開にはならない。

とにかく出てきて、
参加してくだされば、
なごやかにことは進む。

活動が終わると、
茶菓を用意してくださり、
スタッフの反省会をする。

14年前に比べると、
ホーム自体のスタッフの用意する
他の活動のサービスの質も
格段に向上した。
頼もしい限りだ。

私たちのボランティアを受け入れるホームでも、
1か月ごとに受け入れる予定を立てられていて、
次回の予定を、お話しておく。
毎月楽しみにしておられる方もある。

ボランティアスタッフも、
月1回のボランティアを楽しみにしている。

詩~昨日はどこにもありません~

2019-01-06 20:09:33 | 文学



「昨日はどこにもありません」


昨日はどこにもありません
あちらの箪笥の抽斗にも
こちらの机の抽斗にも
昨日はどこにもありません

それは昨日の写真でしょうか
そこにあなたの立っている
そこにあなたの笑っている
それは昨日の写真でしょうか

いいえ昨日はありません
今日を打つのは今日の時計
昨日の時計はありません
今日を打つのは今日の時計

昨日はどこにもありません
昨日の部屋はありません
それは今日の窓かけです
それは今日のスリッパです

今日悲しいのは今日のこと
昨日のことではありません
昨日はどこにもありません
今日悲しいのは今日のこと

いいえ悲しくありません
何で悲しいものでしょう
昨日はどこにもありません
何が悲しいものですか

昨日はどこにもありません
そこにあなたの立っていた
そこにあなたの笑っていた
昨日はどこにもありません