急に、バキバキバキバキと、今まで固かった首肩背中が音を立てて動きはじめました。
お葬式で来ていて、隣に寝ていた妹が、
いやあ、怖い!
と言うほど音が辺りに響きました。
今までも肩が鳴りましたが、もう止まらないくらいバキバキと筋肉が鳴り始めました。
緊張が解けたんでしょうね。
一気に私の身体は弛んでいきました。
今も当時ほどではないですが、鳴り響き、首肩が楽になってきています。
何故、緊張していたかと言うと、
私は父に認められていませんでした。
父は私がしっかりしているとは言うものの、定職につかずプラプラしていると言って嫌がっていました。
ムンならんヤツじゃと。
物にならない娘だと。
私が賞をもらって本が出て、新聞に載った時だけは喜んでくれましたが、それから何年も次回作の出なかった時は、また私の事を
ムンならんヤツじゃ
と言っていました。
最後に言われたのは、
お前は作家、作家と言っているが、食っていけるのか?
本当はわしの年金を狙っているんじゃないか?
でした。
悲しかったな…。
惨めでした。
私は父に認めて貰いたかったけど、父は私の事を認めてはくれませんでした。
父はきちんと定職に就いて、お金を貰えることが何より大切だと思っていましたから。
せめて私が男の子だったら、私はまだ認めて貰えたかも。
父は私がよく男だったら…と嘆いていましたものね。
でも私は女で、女で何が悪いと思っていました。
女だったからこそ、私は作家になれたのだし、今の自由な生活も手に入れられたのだと思います。
家族を養わなければならない男だったら、私は作家になど到底なれなかったでしょう。生活に追われて。
そう思うと、女で良かったなぁとつくづく思います。
私を終生認めなかった父が亡くなって、私の身体はホッとしたんでしょうね。
急にバキバキと大きな音を立てて、ほぐれていきました。
身体はなんて正直なんでしょうね、そう思います。父が生きている間は緊張を解けなかったのでしょう。
それと同時に、私は自由だー!
と思いました。
なんと伸び伸びとした解放感。
私はそんな思いを満喫していました。
今朝も固かった首の筋肉がまた一つ大きな音を立てて剥がれていきました。
はぁ〜、ようやく父からの呪縛も解けそうです。
良かった、良かった。
私は父が大好きでしたし、信頼もしていましたが、それでも根深く男の子になれなかった自分や、父の自慢の娘になれなかった事を後悔し、自分を責めていたのだと思います。
そんな父が亡くなって、私は心底ホッとしました。
私は女。
女で生きていく。
女である事を、もう誰にも非難されません。
父からの解放ー。
今はそんな自由を楽しんでいます。
☆それでは今日も良い一日を。