大作、話題作でもないのですが、秋の心地よい日、つい観劇しました。
考えてみれば、大劇場の千秋楽を配信で見るの、初めてかもしれない。
何となく、私のツボにはまりそうだったので
宝塚月組 「フリューゲル ~君がくれた翼」
ストーリーはこちら↓(劇団HPよりコピー)
冷戦下の東西対立により国が分断されていた1988年のドイツ。社会主義国となった東ドイツの国家人民軍で広報を担当するヨナス・ハインリッヒは、西ドイツのポップスター、ナディア・シュナイダーを招聘したコンサートの責任者に任命される。欧州各地で巻き起こった民主化の波は東ドイツにも押し寄せており、政府は国民の不満を解消する目的で首都東ベルリンでのコンサートを企画したのだった。自由奔放なナディアの言動に振り回され、顔を合わす度に喧嘩を始めてしまうヨナス。しかしリハーサルでナディアが歌う「フリューゲル」という曲を耳にした瞬間、その歌声に胸を打たれ、離れ離れとなった家族と過ごした幼い日々を思い起こす。音楽を通じて初めて心を交わした二人・・・。そんな二人をヨナスの大学時代の同期でもある秘密警察のヘルムート・ヴォルフが監視していた。
東西に隔てられた国で育った男女が、考え方の違いから最初は反発しながらも次第に惹かれ合っていく姿を、ベルリンの壁崩壊へと向かう激動のドイツを舞台に描くコミカルでハートウォーミングなミュージカル作品。
(劇団HPより)
ドイツ冷戦下を描いた宝塚作品と言えば、1995年星組の「国境のない地図」が有名です。
とてもシリアスに、感動的に描かれたものでした。
今回は、西ドイツからアイドルがやってくることで起こるハートウォーミングな展開。
分断も終盤、東ドイツもすでに西側の情報が入り、壁が崩壊するのも時間の問題という時代。
コミカルに描かれながら、その時代の、それぞれの正義、そして葛藤が上手く描かれていたような、そんな気がします。
そして、壁崩壊の場面、やはり、ウルウルきますね。
分断・・・今は世界が分断している時代。
ドイツの歴史と結末を知っているだけに、こんな風に、一つにまとまっていくといいなぁ。。。などと思いつつ。
こういう、オリジナリティのある作品をもっと見たいですよね。
実際、実際見た方も「意外とよかった」という声も聴きましたし。
ベテランから若手に至るまで見せ場・役割があり、やはり、芝居の月組の総力を見た気がします。
主人公のヨナスには月城かなとさん。
堅物で、誰かに振り回されるという役柄、傑出してますね。(たまたまそういうお芝居をみてるだけなのかしら)
優しさ、温かさ、男気、そして葛藤。
お芝居、ビジュアル・・・もう充実してますね。
なにより、声が素敵
西側のアイドルのナディアに海乃美月さん。
宝塚らしからぬ「女優感」を持っている方なので、正直「アイドル?」という感じで、役柄的に気の毒な気もしましたが(失礼)、次第に東西統一に目覚めていく姿はやはり「女優」。
月城さんとのコンビ、今一番宝塚で「大人の雰囲気」が出せる、そんなお二人です。
東ドイツの保安職員に鳳月杏さん。
冷徹なんだけど、東ドイツへの思い入れ、信仰心。。。決して悪人ではない、という役柄が非常に上手い方ですね。
歌もさすが。制服姿も素敵。
壁が壊された後の絶望感・・・ヒシヒシと伝わってきました。
ナディアのマネージャーとして派遣されたルイスに風間柚乃さん。
もう、お芝居はベテラン級、そこに華やかさと余裕を感じられるようになりました。
いや~頼もしい。コメディもイケるのね。
彼女の主演作、早く見たいものです。
・・・とここまで書きましたが、面白い役者がたくさんいるので、本当に気になる人をピックアップ。
やはり、彩海せらさんかなぁ。
期待されてるだけに、いい役をもらった感。
甘いマスクなんだけど、確かな演技力と歌唱力。
東ドイツの半勢力でありながら、保安部に導かれ、内通することが正しいと信じる学生。
こういう人たちも大勢いたのではないか、そんな気もする。
あとは、ヨハスの母に命を救われ、見守る弁護士に、蓮つかささん。
セリフが明瞭でお芝居も引き締まる、そして、ビジュアルも素敵。
中堅、ベテランとして、リーダーシップが取れる印象で、今後を期待していただけに、退団が本当に残念・・・
あとは、組長の梨花ますみさん。
一昔前のドイツ人という感じ。
堅物なんだけど、ユーモアにあふれてて。
さすがです。
月組へおかえりなさい!といううれしさもあり。
配信で、オリジナル。
力まず、リラックスして見られる娯楽作。
楽しかった!
ショーは次回へ。
追記:奇しくも飛び込んできたトップコンビ退団のニュース。噂になってたみたいですが、お披露目から作品に恵まれ、期待に応えてきたお二人。大人のいいコンビ、という感じで、最初からとても充実してるなぁと思っていたので、やはり…と思いつつ、残念!これが宝塚の宿命なのよね…