再開後、しばらくは、エンタメ関係を書き記したいと思います。
宝塚を知らない人でも、その名前くらいは知っているでしょう
「ベルサイユのばら」
その初演から50年、大劇場では10年ぶりの上演、そして雪組の主演、彩風咲奈さんの退団公演、ということで、ファンの間でも盛り上がっていました。
正直、長年のファンの間でも、「ベルばら」はもうちょっと・・・という感じ。時代の流れと言いますか。歌舞伎調な感じは、昭和世代にもなかなかの重量感。
私もテレビ、そして生(’13年雪組)でも観劇。ほとんどのバージョンを見てきて、満腹感でいっぱいでしたが、このポスターが斬新で、衝撃的にインパクトに残り、久々の上演への意気込みも感じて、最後の最後、東京千秋楽を配信視聴しました。
宝塚HPより
𝐔-𝐍𝐞𝐱𝐭の画面より。
初演から脚本、演出に携わっている植田御大の集大成という感じ。
毎回、脚本を書き替えている、というのも、他のバージョンを見てもよくわかる。
相変わらず説明台詞は多いものの(失礼)今回、セリフも場面も大胆に変えて来たな~と。
その最新版に、今最もふさわしく演じられるのは、雪組だけだなぁと実感。
そして、手足が長くダンスの巧い彩風さんということで、まるで’90年の名作(と思っている)大浦みずきさん主演の「踊るフェルゼン」の雰囲気も復活。
な~んて、真剣に見ているような書きぶりですが、そこは配信視聴。
コーヒーとおやつを傍らに、若干ながら見(失礼)
懐かしい過去の作品を思い出しながら、楽しんで見ていました。
一幕は新場面もあるものの、まさに王道。
二幕は、オープニングから突然今風の群衆ダンス(レミゼかと思った)からの王道でした。
どんなに時代は変わっても、バスティーユの場面はウルウル。。。
アントワネットが処刑台に向かっていく階段のシーンは。あれは何度見ても名場面です。。。。。。。
フィナーレも、定番のダンスではなく、今風な感じで、アレンジ、アレンジ。流れるようなダンスの連続で、美しかった。これが今の「ベルばら」なのね。
個人的には、もう少しメリハリがあっても良かったかも、とか、ここは、鬼の振付家喜多先生の名作「バラのタンゴ」が見たいところだったけど。
パレードは、客席も使って大胆に。退団公演でも、世界観を大事にしてしていたのはとても良かった。あの煌びやかな衣装に羽まで付けたら、センスなさすぎですからね。
以下、個人的な感想です。
点でバラバラ。決して批判とかではないので、悪しからず。。
先ほども書きましたが、ダンス巧者の咲さん。
正直、これまであまり注視していたわけでなく(失礼)、主演作もほとんど見てなくて(大変失礼)、なんとなくホンワカ末っ子キャラだった印象の彼女が、退団に向けていろんな番組を見ているうちに、いつの間にか、男らしく?
いや、前回配信で見た「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル」の時に、セリフ回しも、男役を越えた、劇団四季みたいな口跡、活舌の良さとなっていて、どうしたの?と驚き。
きっと、どこかで「覚悟」を決めたんだな、と。本当に宝塚、男役が生きがいだったんだなぁと、集大成のフェルゼンを見て、つくづく感じました。
二幕後半からフィナーレまで出ずっぱり。1時間近く踊りっぱなし。顔色一つ変えず、滑らかなダンスは見事でした。
アントワネットの夢白あやさん。現5組の中で、最も王妃が似合う容姿。ピッタリでした~
ご本人自体、最近稀に見る?肝が据わっている押し出しの強い女性、という印象で、すっかりファンになりました。普段のメイクも独特で、個性豊か。
そして、あんなに若いのに、あのような「大芝居」に違和感がないなんて、流石の芝居力。ベテランに囲まれても、全く委縮感がない。
夢中だった、平成時代のベルばらを見ているような・・・・存在感。フェルゼンとの別れ、処刑台へのシーンは、圧巻でした。
歌が上手いとか、ダンスが上手いとか、それだけでは「スターオーラ」って出ないんだなと。(別に下手と言ってるわけではないです)
今後がますます楽しみです。
オスカルは朝美絢さん。
もともと、女役を多くこなしてきた美貌と美声の持ち主。ピッタリだ!と思ってたのですが、正直、若干女性っぽさが上回ってるのかな?という印象。セリフ回しも、現代風な感じ。それだけ、ナチュラルなお芝居だった。ビジュアルは、マンガ(いやアニメ)から抜け出た感№1
今回の演出なのか、もともと難しい役どころなので、どちらがいいのかわかりませんが、もう少し男っぽさがあってもいいのかな?と。
でも、月組時代からキラキラオーラが出ていた彼女。歌声も大好き。遅いくらいですが、ようやくトップになる今後がとても楽しみです!
アンドレは縣千さん。
この方もピッタリ!と思っていたのですが、いつも健康的で元気溌剌!というイメージだったので、こういう「辛抱役」に馴染みがなく、若さと大人しさが感じられたような(失礼)。もっと男臭さと懐の深さを感じたかった。けど、今回の経験が今後に活きてくることに期待大。
その分、フィナーレでのお姿はイキイキと。
もしここに、和希そらさんがいたら・・・きっとアンドレだっただろうな、と想像しながら。。。
逆に、若手なのにあの独特な世界観にはまっていたのが、ベルナール役の華世京さん。華やかさ、力強さ。役柄とはいえ、勢いを感じた。期待されているのがよくわかる。
新人公演ではアンドレを演じたとか。あの辛抱役をどのように演じたのか、ちょっと見てみたい。
今回の演出で、一番良かった点。
やはり、宮廷での敵役、ジャンヌが再登場したこと。
原作ではこの人が結構キーパーソンになるし、初演から平成前期までは登場していた重要キャラが、いつの間にかいなくなって、その辺りから宝塚のベルばらが物足りなくなっていった(失礼)ような。
それを演じた音彩唯さんも、いつもは可憐な方なのに、体当たり演技!今後のお芝居の幅が広がりそうで、すごく期待感が増します。
奏乃組長、真那春人、久城あす、諏訪さき(敬称略)・・・などなどベテラン、中堅も抜群の安定感。だけど、主要キャスト以外は、芝居心はあるものの、まだ若さが感じられる雪組。
そんな中、初演からたびたびご出演の汝鳥伶さんをはじめ(休演が心配でしたが、お元気そうで良かった)、もったいないくらいワンポイント的にご出演の専科の方々の力強い援護を受けて、この世界観を正面から受け止め、楽しんで演じていたような気がします。
トップの退団公演ということで、主役のフェルゼンの見せ場を作りすぎるあまりか、トータル的に見るとエピソードを盛り込み過ぎ?な感じで、原作や、これまでの上演作を見ていないと、正直???な印象も受けました。
噂で聞きましたが、韓国でもオリジナルで「ベルサイユのばら」を上演されたとか。
今韓国ミュージカル界はノリに乗ってますからね。
だけど、やっぱり、50年も試行錯誤を重ねて上演し続けてきた宝塚以外で、ベルばらを見たいか?と言われたら、ちょっと遠慮かな。(アニメを除いて)だって、あの世界観を、実際の男性が演じたら、生々しい感じがするし。
それに、音楽も別格だし。
いろいろとツッコミどころはあるけれど(笑)改めて、宝塚版ベルばらの良さ、面白さを実感させてもらった。そんな観劇でした。
こういう古典的(当時は最先端?)の、ガッチリお芝居を経験するかしないかで、芝居の深みって違ってくるような気がする。古典の経験なく、海外ミュージカルばかりで退団していくのは、宝塚に入団した意味もないような。(言い過ぎ?)
で、退団公演。。ということで、サヨナラショーまで視聴。
ここで「バラのタンゴ」!やっぱりこれがないと。
ダンサー咲ちゃんのバラタン見れて、良かった。満足。いいチョイス!
たびたび話題にのぼり、他のショー作品、ディナーショーなどでも歌われる「蒼穹の昴」の曲ももちろん登場。
あの時から、あの三流週刊誌に書き立てられるようになり、ファンもおかしな方向に進んでしまったけれど、彼女たちにとっては、とても思い入れのある作品だということが本当によくわかる。実際名作だし。もっと評価されるべき作品だと。早々に演出家を退団させた劇団の罪も重い。
そして、亡き羽山先生振付の燕尾服でのダンス。
あれを出されると、今までのトップたちを思い出し、ウルウル。
流石のチョイス。咲ちゃんの本気度を感じました。
組のメンバーもいい経験をしたと思います。
挨拶は、後日タカラヅカニュースで視聴。
思いがあふれて、挨拶が長くなりがちな咲ちゃん(いい意味でね)
本当に、宝塚が大好きで、命がけでトップを務めてきた満足感が顔からにじみ出ました。
在団中、特にここ数年いろんなことがあったけれど、一つ一つ乗り越えてきた彼女。こだわっていた伝統・受け継いだものの継承、本公演とサヨナラショーを見て、その気迫が伝わりました。お見事でした。
今後、どんな活動をされるかわかりませんが、いい人生でありますように。
今までお疲れさまでした。ありがとう。
そして、今後の雪組に期待を持って。。。。