二上山(にじょうさん)は、大阪府南河内郡太子町と奈良県葛城市にまたがる山で、金剛山地北部の葛城さんの北に位置し、北方の雄岳(517m)と南方の雌岳(474m)の2つの山頂がある双耳峰で、石器に使われた讃岐岩(サヌカイト)の産地でもあります。かつては大和言葉で「ふたかみやま」と呼ばれていました。
二上山(にじょうざん・ふたかみやま)の麓、奈良県香芝市に蔵元大倉本家があります。
1896年(明治29年)大倉勝治商店として創業。
以降、元々蔵付き酵母が強いのか、山廃仕込み中心の蔵元として酒造りを続けてきました。「手間隙はかかるが、これが大倉本家のこだわりであり、この蔵でしか出せない味」通常の倍以上の時間と労力をかけ自然の乳酸菌の育成を導く山廃もとという酒母を使用する「山廃仕込み」で造っています。
かつては、地元でのシェアも高く、一時は3000石ほど造っていた時代もありましたが、2000年~2002年(平成12年~14年)の間3年間酒造りを休業せざるを得ない事態となります。当代の大倉隆彦社長は、当時は横浜で会社員として勤務していましたが、父の病気を機に奈良に戻り、大倉本家4代目蔵元となります。2004年から熟練の但馬杜氏 井谷恒雄氏を口説き落として再開にこぎつけ、現在も酒造りに励んでいます。
大倉本家の特徴は、山卸廃止もと(やまおろしはいしもと)、現在も佳撰(旧2級酒)においてまで山廃造りで仕込んでいます。
1928年(昭和3年)頃より、奈良県神社庁の委託を受け、御神酒(濁酒)の造りをしています。再開後も、その濁酒用の免許を再交付してもらい、現在も清酒のルーツである「水もと仕込み」で濁酒(どぶろく)を造ることができる、日本でも数少ない蔵元の一つです。
金鼓ラベルは昔から変わらない味のある酒で、
「萬歳の 祝て打や きんつづみ」
才蔵(さいぞう) の鼓にあわせて太夫が舞う
萬歳が好きであった初代が、このフレーズから『金鼓、きんこ』と名付けたと伝わっています。
現在の『金鼓』ラベルは、墨彩むかし絵の大家である松下紀久雄さんが描きおろしによるもので、この絵の太夫と才歳の表情の如く、飲む方の心を和ませる酒となるよう願っているそうです。
先人から伝え受けた 水もと仕込み の技と山廃 でしか出せない蔵の味、自家栽培米 ひのひかり で仕込んだこだわりの味と創業以来育んできた技法、個性ある質のよい酒造りを目指し「 酒は本来 素朴・端正をもって極上とする」信念と蔵人の酒造りに対する心意気が、大倉本家の奈良の地酒「金鼓」に脈々と生き続けています。
出典、参考文献・HP
大倉本家 HP
『万葉集』
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