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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
* 嘆きのゴキオーラ
ある土曜日のこと、ゴキオーラが別れた妻に会いたいので、ドッさん付き合ってくれと言ってきた。1億年ほど前に離婚したようだ。原因は聞いていない。リーブが一人立ちして間もなくのことだったらしい。今は雷丘(いかづちのおか)に住んでいるという。雷丘と言えばオレの家からは、バイクで5分とかからない。ヤツはどうもよりを戻したいらしい。一人で行くのは気が重いようだ。近くなのでオレは簡単に引き受けてやった。
早速、その日の夕方、雷丘へと走った。途中、オレの気に入った場所がある。二上山と畝傍山の間に夕日が綺麗に沈む場所があるのだ。青黒く連なる山々の上を夕焼けが巧みに染め上げてゆく。山ぎわから、うす赤く、白っぽく、うす青く、青く、青黒くときっちりと分けてペイントする。だが、残念ながらその日は薄曇りだったので、夕景色には会えなかった。早苗が心細く水を張った田で顔をのぞかせていた。
つづく