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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
ゴキオーラも一人で暮らしていれば気楽なのに、ゴキOさんに監視される生活に引き戻してやって、いいものだろうか。もしかして、オレはとんでもないお節介しているのかも知れない。だが、ヤツも一人暮しには辟易しているのだから、まあいいか。
夜は暗かった。早苗を抱えこんだ田の水がうっすらと光っていた。家を出て少し走っていると、黒いヘルメットのシールドにアッという間に雨滴がついた。革手袋で雨を拭うとさらに前が見えにくくなったので、ヘルメのシールドを上げて走る。今度は眼鏡が曇ってきた。本当に夜の雨の中は走りづらい。しかし、5分足らずの距離なので苦になるというほどでもなかった。雷丘が黒く浮かび上がる。普段は小さい丘なのだが夜が何となく大きく見せる。サヤカから降りる。もちろん人通りなどない。車も走っては来ない。
つづく
あ@仮想はてな物語 嘆きのゴキオーラ 53/61
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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
オレは再びゴキブリ変身を試みた。暗い夜なのに目がよく見える。
{ゴキOさん、こんばんわー。オッさんでーす}
ゴキOさんは古い椚の木の凹になった所で必死の形相をして、お祈りをしていた。1億年もご苦労さん。風格はそれなりに出来上がっているのだろうが、所詮、能力の無い者がいくら悪あがきしても無理なことは無理なことなのだろう。
{あっ、オッさん、何かご用?}
オレが近づいて声をかけるとお祈りをやめた。
{今日は、あなたにオレの本当の正体を打ち開けにきた。何を隠そ う。オレは神様なんだ}
つづく