絵じゃないかおじさん

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あ@仮想はてな物語(逸話) 智頭落葉の口づけ(1/3)   

2019-02-04 09:15:25 | 仮想はてな物語 

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 * 智頭落葉の口づけ (008)


 その日は、西名阪・近畿自動車道・中国自動車道(佐用)・373号
 を通って、53号に入り、鳥取砂丘にゆく予定であった。

 秋も終わりに近い。
 山のなかの紅葉は、南斜面と北斜面とでは、大分違っている。
 だが綾なすという言葉がぴったりしているのはたしかだ。
 小雨がときおりパラついていた。

 走っていると、冬の寒さが襲ってくる。
 風を防ぐために、上下青色のレインウェアを羽織っていた。
 妻のOさんが、通信販売で買ってくれたシャレたものだ。
 だが、背丈が低く、ぶ格好な私は何を着ても似合わないと
 アキラメている。

 私をぴったり表現するものを作ってみろと
 半分居直ってもいるのだ。
 防寒にも役に立つから、私は、いつもこのレインウェアを
 持ってゆく。
 それに遠出をすると、天候がどう変わるかわからないからだ。




                             つづく







あ@仮想はてな物語 智頭落葉の口づけ(2/3)   



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 特に、山の中が好きな私は、途中でよくコースを変える。
 山の中は天候もよく変わる。
 コースと言えば、私はろくに地図は見ない。
 知っているからではなく、知らないから見ても覚えきれないのだ。

 道を知らなければ聞くことができる。
 人と話ができる。
 ささやかなふれ合い。
 人の持つ上ずみの澄みきった部分に出会うことが出来るのが
 嬉しい。
 たまには、わざと変な道を教える輩もいないではないが、
 そんなこといちいち気にしていたら、人の良い部分には
 出会えないのだ。

 道を教えてくれる人は、概して親切だ。
 実にいい顔をしてくれる。
 私は、その顔々がたまらなく好きだ。
 どう見ても悪人には見えない。
 土地の言葉も聞ける。
 そんな楽しみ方もあるのだ。

 今日は、どんな顔に会えるかなと思いながら、智頭から53号に
 入るつもりで気持よく走っていた。
 小雨も上がってきた。
 右手前方には、大きな銀杏の木が見えていた。
 道路には、銀杏の葉が散っている。
 その傍に近づいた時、急に竜巻のような風が吹いた。

 その瞬間、
 道路に散らばっていた銀杏の葉っぱが、アッという間に
 若い女の姿になり、何と私に口づけをしてくれたのだ。


 なぜ、女で、その上若いのか? 


                             つづく








あ@仮想はてな物語  智頭落葉の口づけ(3/3)   



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 よくわからなかったが、雰囲気でそう思った。
 私とサヤカを包むようにして、確かにヘルメットごしに2~3回
 口づけをしてくれたのだ。
 一瞬、ハンドルが揺れたが、そう大したことはなかった。
 ちょっと過ぎ去ってから、後をふりかえると銀杏の落葉は
 何事もなかったように道路に重なって散らばっていた。


 Oさん、鼻の下長くしてゴメン!


  枯れ落葉 若き女の 姿借り 
   淡き口づけ 晩秋恋路
                    ち ふ



                    
  この項おわり


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