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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
* 道成寺と白いヘルメット(027)
私は、元来白いヘルメットを被っていた。
純白な感じがして、年と共にくっついてくる柵の汚さから、
気持だけでも逃れたい。
白のヘルメットを選んだのは、そんな心の現われからだった。
道成寺は、42号を白浜方面に向かって走ると、
御坊市のすぐ手前にある。
初秋の夕方であった。
ドライブ用のガイドブックに、
江戸時代から続く径山寺味噌の老舗が載っていたので、
ツーリングも兼ねて買いにきたのだ。
Oさんの好物でもある。
その帰りに道成寺に寄ってみた。
改築中なのか境内は工事現場と化していた。
風情も何もあったものではない。
夕方近くなので参拝の人も居ない。
私は、3重の塔の前に、
何気なく白いヘルメットやバッグを置いて、
寺のなかを歩いてみた。
予備知識に乏しいので身体で感じるのみである。
一通り見終わって、白ヘルメの傍で一休みしようと思って、
メットの方に近づいた。
何と!!
つづく
あ@仮想はてな物語 道成寺と白いヘルメット(2/3)
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白ヘルメを軸にして蛇がとぐろを巻いているではないか。
鎌首を擡げて眼を血走らせ、私を睨みつけている。
大きさはそれほどでもなかったが、私はその場に立ち竦んだ。
これは、もしや清姫蛇の子孫ではないのかと思った。
安珍を釣鐘のなかで黒焦げに焼き尽くした
清姫の話は私でも知っている。
その子孫が延々と情炎を燃やし続けながら、
今に生き続けているのではないか。
このだらけ切った現代の男女間の軽い風潮を嘲り、
憤りを感じながら、
その存在の重さを訴え続けているのではないか。
私には、蛇がそう主張しているように思えた。
サヤカは、62段もあるという石段の下に置いてあるので、
蛇と話をする手段はない。
[蛇よ、オレはお前と同類だ。
オレがOさんを想う気持とお前が安珍を想う気持と、
どちらが強いか勝負だ。]
私は、蛇の睨みに負けないように、Oさんのことを想い続けながら
睨み返す。
負けるものかと、Oさんへの一途な気持を蘇らせる。
もう私たちは、年を取り過ぎて、姿・形は社会の種々雑多な垢に
塗れてしまった。
しかしながら、心の片隅からは初心の知り合った頃の、
あの清い心が消え切ってはいない。
いや、年を取れば取るほど、
ダイヤモンドのように光り輝いてくるのだ。
つづく
あ@仮想はてな物語 道成寺と白いヘルメット(3/3)
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心のその部分に神経を集中させる。
そのことだけを念じこむ。
数10分も、そういう状態が続いただろうか?
蛇のヤツがスルスルと、とぐろを解いたのだ。
眼の光は穏やかである。
少なくとも私への敵意は消えていた。
立ち去る時、蛇のヤツ何を思ったのか、何とVの字形になって、
私にVサインを送ってきたのだ。
ヤツが消えてメットを見てみると、
白ヘルメットが黒ヘルメットに変わっていた。
ヘルメを焦がしていったのだ。
所々、斑になっていた。
その時から、私のメットは、黒いヘルメットに変わったのである。
清姫よ、お前の気持はよくわかった。
白ヘルメ 黒く焼き焦がす 情念の
熱き炎よ この地球(たま)を包みこめ!!
ち ふ
この項おわり
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