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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
初々しい早苗を渡る風が心地よい。
昔は一番草と呼ばれた草取りの季節だろうか?
「はじめは浅く、なか深く、終りはそっとなでておけ」でいう、
はじめの草取りにあたる頃である。
田植え後、2週間ぐらいをメドに、
女の人が這いつくばって手で草を取っていた。
今は化学肥料の普及で誰もあんなきつい仕事はしなくなった。
田植えも草取りも、見る分には何とも風情があって
いいものだが、自分がするとなると誰もが嫌がる。
嫌がる仕事を化学肥料と機械に押しつけるのだから、
いつか彼らのしっぺ返しを食らったとしても自業自得だ。
今の所、彼らの反乱を小さくする以外には手はないのだろう。
休耕田の脇にサヤカを止め畦道に腰を下ろし麦茶を飲む。
メットを脱いだ頭を風が撫であげてくれる。
額田王の歌が思い出される。私は、勝手に解釈を施す。
「朝日輝く、紫草咲き乱れる通行禁止の道を、
あなたは、白いバイクで帰ってゆく。
取得禁止通学禁止の掟を破り私の為に、
毎朝毎朝会いにやって来てくれる。
私は高校生。
あなたも。
しかし、二人の通う高校は違っている。
一秒でも一緒にいたい。
話したい。
そんな私の気持を察してか、
あなたは、時間ぎりぎりまで出かけない。
でも時間が迫ってくる。
つづく
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