カラ・パタールから見たエベレスト Mt. Everest viewed from Kala Patthar
エベレスト街道トレッッキング(15) カラパタール登山
第10日目:4月6日(月) 晴れ後曇り
ゴラクシェプ Gorak Shep (5,140m) → カラ・パター Kala Patthar(約5300m) → ゴラクシェプ Gorak Shep (5,140m) (早朝)
ここで、ゴラクシェプとはどのようなところか、少々説明したいと思います。
この地の標高は5,140mに位置しており、エベレスト街道のトレッキングで最終の宿泊地です。出発点、ルクラ(標高2,840m)からの歩行距離は約65km、標高差は2,300mで、通常のトレッカーにとっては9日間の行程です。
平地の気圧が1,013hPa、気温が25℃とすると、標高が5,100mの場合の気圧は547hPa、気温は-6℃となり、酸素量は平地の54%しかありませんので、過酷な環境です。つまり、平地とは全く異次元の世界です。
ディンボチェ(4,410m)からゴラクシェプまでは、通常は2日間の行程ですが、私は慎重を期して3日かけてゆっくりと高度を上げて来ましたので、ゴラクシェプに着いても特に体調に異変はありませんでした。
4月6日は、今回のトレッキングの最大のイベント、カラ・パタールの山頂(5,550m)に登って、日の出のエベレストを仰ぐのが目標です。
夜明け前の4時にヘッドランプを着用して、ガイドを伴ってロッジを出発しました。暗闇の中で、ヘッドランプで道を照らして山を登るのは初体験でした。カラ・パタール山の斜面には、ちらほらと幾人かの他のトレッカーの人影も見えました。
登るにつれて、思わぬ問題が起こりました。スキー用の部厚い手袋で保護しているにも拘わらず、寒さのために手が冷えてきて、指先の感覚が次第にマヒして来たのです。途中で幾度か小休止して、手をジャケットの中に入れて体温で温めて見ましたが、指のマヒ状態は殆ど改善しませんでした。
しかしエベレスト見たさの一念で次第に高度を上げて行くと、ほぼ5,300m付近と思われる地点に達すると、薄暗がりの中にぼんやりとエベレストが見えてきました。心で“万歳”を叫びました。明るさが増すにつれて、エベレストの姿はくっきりと浮かび上がってきました(記事冒頭の写真参照)。この光景を目にして、胸を揺さぶられるような感激を覚えました。
ここで、一句詠みました。
“曙の 凍てつく空に エベレスト”
更に頂上を目指したいとの思いはありましたが、手は凍傷寸前となってきた上に、足の指先までも冷たくなってきました。したがって、凍傷のリスクを避けるために、エベレストの絶景を惜しみつつ下山することを決断しました。
ゴラクシェプの山荘に戻って来たのは、6時半でした。往復2時間半の登山でした。ゴラクシェプからは、真っ白に聳えるプモリ山(7165m)の手前に、緩やかな斜面で黒っぽい姿の山、即ち先ほど登って来たカラ・パタール山を明瞭に眺めることができました。
黒茶けた地肌のカラ・パタール山
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