エベレスト街道トレッッキング(14) ゴラク・シェプへ
第9日目:4月5日(日) 午前は快晴、午後は曇り
ロブチェ Lobuche (4,910m) → ロブチェ峠 Lobuche Pass (5,110m) → ゴラク・シェプ Gorak Shep (5,140m) → エベレスト・ベース・キャンプ EBC Camp (途中まで) → ゴラク・シェプ Gorak Shep
行程距離: 4.4km
この日の朝、あるガイドから食堂で聞いた話ですが、昨晩一人のトレッカーが高山病にかかり、今朝ヘリコプターでルクラに運ばれたとのこと。タンボチェ(3,860m)を過ぎて以来、毎日のように高山病あるいは下痢などで、トレッキングを断念せざるを得ないトレッカーがいました。 幸運なことに、私は特に体調の異変もなく、天に感謝です。
この宿には温度計があったので表示を見てみると、室内は3℃、外気は-7℃でした。
朝食を早めに済ませ、身支度を整えて7時にロブチェを出発しました。 屋外に出ると、地面は雪に覆われていました。
雪が積もったロッジのテラス
出発から30分ほど歩くと、クーンブ氷河 Khumbu Glacierの脇に沿って堆積したサイドモレーンの地平線に、プモリ Pumo Ri (7,165m)の山頂部が現れました。
前方にプモリが見える山道
さらに1時間ほどU字谷の氷河を踏みしめて歩き続けると、遥か前方に、プモリ Pumpri (7,165m)を始めとする7,000m前後の山々が織りなす絶景に眼を見張りました。
プモリなど、クーンブ山群の絶景
更に氷河の上をしばらく歩いて行くと、ガレキだらけの登り坂になりました。その途中で平たん部を見つけたので、休憩を取ることにしました。
ガレ場の休憩地
ここから後ろ側を振り返ったところ、広大なクーンブ氷河の背景にカンテガ、タムセルク、タボチェなど、クーンブ山群の山々が、圧巻の景色を見せていました。
クーンブ氷河の南に広がるクーンブ山群
出発後2時間半くらい経った頃、 ロブチェ峠に到着しました。ここから南方には、プモリの山が眼前に迫って見えました。
ロブチェ峠の風景
この峠からゴラク・シェプに向かって歩みを進めると、左右対称に直線的な稜線を描くヌプツェ Nuptse (7861m)と思われる山が現れました。
ヌプツェと思しき山
丁度正午前に、ゴラク・シェプに到着しました。
ゴラク・シェプのロッジ
ゴラク・シェプは海抜5,140mに位置していますので、酸素量は平地に比べると54% くらいになっています。したがって、身体の活発な活動は避け、ゆっくりと行動することが必要です。念のために、体調を調べたところ、次のような結果でした。
SpO2(動脈血酸素飽和度): 77-86% 脈拍数: 64-66
SpO2が67.5%以下になると危険と言われていますので、この結果は激しい行動を控えれば心配ないと判断しました。また、意識がぼうっとしたりとか、頭痛を感じたりとか、あるいは消化器の異常が生じたりとかもありませんでした。
体調に異常がないことを確認できたので、昼食を済ませて午後2時頃になったとき、軽装でエベレスト・ベース・キャンプ(EBC)に向けてトレッキングに出かけました。歩き出してすぐに、小高い丘の上にRaymond Jacobの霊を祀る記念碑がありました。
Raymond Jacobを祀る記念碑
クーンブ氷河を右下に見下ろしながら歩く、ガレ場が登り道が続いていました。氷河の向こう側には、天を突いてヌプツェの高峰が聳えていました。
ヌプツェ
行く手には、大勢のトレッカーの姿が見えました。
EBCに向かう山道
暫くすると、路傍に赤い花びらの高山植物を発見しました。5,200mもあるヒマラヤ山地に育つ植物を見て、その生命力の逞しさに驚嘆しました。
5,200mの荒地に育つ高山植物
明日は、早朝にカラ・パタール山に登って日の出のエベレストを見る予定なので、1時間そこそこ歩いたところで、無理をせずに引き返すことにしました。
ゴラク・シェプに日が暮れる頃、感動的な出来事に出会いました、夕焼けに輝くエベレストを眺める幸運に恵まれたのです(記事冒頭の写真参照)。
ロッジでは、これまでの出会いで顔見知りとなった多くのトレッカーと再会し、心が和みました。また、新しい出会いもありました。その一人は、ニュージーランドから来た老婦人でした。そのご夫人は、学校の経営者でした。イースター休暇を利用して。エベレスト街道のトレッキングにやって来たとのこと。以前は、30人ほどの生徒を連れて、アンナプルナ周遊をしたことがあると話していました。その時は、お医者さんも同行したそうです。
この日を振り返ると、数々の絶景が走馬灯のように思い出され、忘れえぬ一日でした。
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