ヒガンバナ科ネリネ属。私が買ったのは原種系のマソニオルムという品種です。この品種は他の園芸種と違って花がとっても小さいし葉が細く紐のような感じです。それに他に比べても咲くのが早い。野生味溢れた印象です。見栄えを優先させるなら園芸種の一択でしょう、でも咲き始めていた花があまりにも可愛いらしかったので思わず買ってしまいました。花被片に太陽光が当たり、花が風で揺れると宝石のようにキラキラ輝くのでダイヤモンドリリーとも呼ばれています。
今日は、その輝く理由について探っていきたいと思います。
マソニオルムはこんな花です。
花被片を拡大すると・・
こんな感じ。静止画ではわかりにくいのですが表面の粒々が光を反射してキラキラします。
その理由を探るために顕微鏡で調べてみます。まずは100倍
花被片の表面は透明感のある粒々でぎっしりと覆われています。
さらに拡大して400倍にしてみると・・
このように、表皮細胞の粒々を通り抜けた光が焦点を結ぶように輝いていました。
裏面も見てみます。
同じように裏もキラキラしていました。
次に花被片の断面を見てみると・・
上の面が花被片の表側です。表、裏ともに粒々とした細胞が並んでいますが、特に表側の方が球形に近く見えました。淡いピンク色の色素は、表裏 双方の表皮細胞中にありました。
次に比較のためにジニアの花弁でも調べてみました。
こちらはマット調でキラキラはしません。表側を100倍で・・
当てる光の角度を色々変えても全然キラキラはしませんでした。断面を見てみると・・
写真上が花弁の表側です。このようにジニアの表側の表皮細胞は、鋭角円錐型の突起となっておりネリネよりも一つ一つの細胞が詰まって並んでいました。多くの顕花植物ではこの形状を採用しているのではないかと思っています。というのも、表皮がこの形であれば、表面反射が抑えられ表皮細胞中にある色素の発色を良く見せられるから。むしろポリネーターにアピールするにはこちらの方にメリットがあるような気がします。ネリネには何か特別な事情があるのでしょうかね。
以上まとめると、ネリネの表皮細胞は球形に近く大きめの細胞のため、透過した光が凸レンズ効果で収斂し一層明るい光点として反射するためキラキラして見えることがわかりました。
チューリップに「ユニークデフランス」という品種があります。その売り文句に「通常のチューリップに比べて明らかに花のつやが違います」とありました。これもネリネと同じ理由なのかな?ちょっと興味があります。今年はその球根が手に入れられるかどうか。もし入手できたら調べてみたいと思います。
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