植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
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バーベナは毛がいっぱい

2025年03月10日 | 植物の生態

バーベナ(クマツヅラ科クマツヅラ属)は中南米原産です。雰囲気はサクラソウに似ており、別名はビジョザクラ・ヒメビジョザクラ(宿根草タイプ)です。花の色も豊富で、そのうち2品種を手に入れました。

紫花のバーベナ

紅白のバーベナ。花序の中心側が濃い赤で外側がピンク色になっています。一つひとつの花がどの向きに咲いているかを自身で理解しているということ。興味深いです。

花序を切って裏側から見てみると・・

花冠筒は長く、がくも筒状です。各花が放射状に伸びて花序は下から上へ 言い換えると外側から中心に向かって咲いていきます。

花弁と萼には細かい毛が密生しています。写真は載せませんが、茎と葉裏の葉脈部分にも同様な毛が密生していました。

多くの植物で腺毛は見られますが、植物によって、あるいは生じる位置によってその役割が異なります。例えばモウセンゴケの葉にある腺毛には虫を捕らえ消化するはたらきがあります。バーベナの場合、萼にある腺毛の役割は、粘液分泌による防虫と考えられます。アブラムシのように小さな害虫にとって、腺毛から粘液が出ていると動きが制限されて定着・増殖しにくくなると考えられます。

紫花の萼で毛の様子を顕微鏡で観察してみますと・・

このように先端が紫色に着色した腺毛が多数見られました。

腺毛を拡大してみると・・

これは萼に生えている毛を横から見た画像です。腺毛は、先端に円盤を乗せた釘のような形をしていました。腺毛なので写真右のように先端から粘液を分泌します。着色しているのは円盤の部分のみで粘液は透明でした。そして円盤を持たない毛も多数生えていました。

粘液が輝く画像・・

腺毛を上から観察してみると・・

このようにガラス製のおはじきのような感じです。

花弁の外側にも同様に色のついた腺毛が生えています。

茎ではどうなっているでしょうか・・

花から離れた茎ほど腺毛の色は消え透明でした。写真は載せませんが葉裏の葉脈の毛も同様です。

次に花弁の表側の様子・・

表側でも花弁と同じ色に着色した腺毛が見られました。写真左上は、花冠筒の入り口部分。特殊な毛が見られました。

それを拡大すると・・

粒々とした細胞が数珠繋ぎに積み重なっている毛です。この毛も部分的に着色していました。

紅白のバーベナではどうでしょうか・・

花弁の表側では紫花と同様に着色した腺毛が見られました。ただし、腺毛の色は花と同じく赤でした。ちなみに写真右上が花冠筒の入り口。

紅白バーベナの萼ではどうかというと・・

腺毛の先端は、ほとんどが無色でした。紅白バーベナの花弁裏側は白色なので、花弁外側や萼などの腺毛はそれに合わせて色素のない無色透明になっているのでしょう。

【まとめ】

  1. バーベナの花弁、萼、茎、葉裏の葉脈には開出毛が多数生えています
  2. 腺毛は釘のような形をしており、先端の円盤から粘液が分泌されます
  3. その粘液は害虫から身を守る意味があると考えられます
  4. 腺毛先端の円盤は、花と同じ色で着色していることがあります
  5. 花弁外側と萼や花近くの茎の腺毛では、着色している場合でも花弁外側の色が反映されるようです
  6. 花冠筒の入り口には、細胞が数珠繋ぎになったような特殊な毛があり、その毛にも部分的に色素が含まれていました

【考察】

腺毛の先端だけが着色する意味は特にないのでしょう。毛は表皮が変形したものなので、その性質を受け継いだだけなのだと思います。デメリットがなければ意味がなくても性質を維持してしまうということ。でも遠い未来には何が起こるか分かりません。恐竜の羽毛は体温保持ためだけの役割だったものが、進化の過程でそれを流用することで飛べる羽根になって鳥になったという話が好きです。バーベナも進化してカラフルな茎になってしまうかもww


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