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~20世紀オペラ二選~「声」(プーランク)&「アメリア舞踏会へ行く」(メノッティ)

2022年12月12日 | pocknのコンサート感想録2022
12月8日(木)20世紀オペラ二選
~女の悲劇と男の悲劇~

杉並公会堂小ホール


プーランク/「声」
【出演】
女:佐橋美起/Pf:佐藤文雄
(監修)橋爪淳、ちゅうサン (訳詞)中川美和
♪ ♪ ♪
メノッティ/「アメリア舞踏会へ行く」
【出演】
アメリア:中川美和/アメリアの夫:飯田裕之/アメリアの恋人:菊池慈生/アメリアの友人:中村愛恵/警察署長:神田宇士/Pf:大下沙織
 (訳詞)中川美和

ずっと観たいと思っていたプーランクのモノオペラ「声」を初めて鑑賞する機会となったこの公演は、カップリングされた「アメリア舞踏会へ行く」共々充実した上演となった。

「声」の登場人物は「女」役のソプラノただ一人。ほぼずっと電話の受話器を持ち、見えない「元恋人」と会話する。「女」を歌い演じた佐橋美起さんは、この限られた空間での少ない動きと、反復進行を繰り返すような淡々と進む音楽の枠のなかで、深みのある落ち着いた声による滑らかな歌いまわしで、血の通った人間像を濃密に描き、心のざわめき、焦燥、不安、怒り、喜びなどの細かな表情を、内面から滲み出るような自然な形でリアルに伝え、気高ささえ感じる成熟した大人の女を表現した。

淡々とした音楽から時おり顔を覗かせるエモーショナルなフレーズでは、声に一層の妖艶な魅力が加わり聴き手の心を惹きつけた。「女」の魂が佐橋さんに乗り移ったかのような迫真の息詰まる緊迫感が終始支配した。

これにはピアノの佐藤さんの、微細なコントロールで心の揺れを鏡のように映し出した演奏の貢献度も高い。上演されることの少ない優れた作品をこのような高いレベルで楽しめる機会は貴重で、関係者が多い印象ながら満席に近い集客はあったものの、平日の昼公演ではもったいない気がした。

後半の「アメリア舞踏会へ行く」は、「声」の緊迫感を打ち破る笑いに溢れたステージとなった。登場した5人の歌い手は皆歌も演技も卓越し、それぞれの演技だけでなく大きな動きを伴うチームプレーの演技も見事に決まり、ドタバタお笑い喜劇を観るようなワクワク気分で楽しめた。

歌でひと際耳を引いたのはアメリアを歌った中川さんと、アメリアの夫を歌った飯田さん。飯田さんの太い声をしなやかにコントロールした圧倒的な存在感は、ステージ全体の密度を高めて箔を与えていた。中川さんは、伸びのある真っ直ぐな声がよく通り、純真でお茶目な軽めのキャラを表現した。体当たりのラブシーンも堂に入っていたが、更に女の濃厚な色気も滲ませてくれば、3人の男達を魅了してしまう説得力が強まるだろう。

警察署長役の神田さんの貫禄、愛人役の菊池さんの艶やかな声と柔らかな表情も良かったし、アメリアの友人を歌った中島さんの落ち着きのある包容力にも惹かれた。ピアノの大下さんも含めた6人のチームプレーによる爽快なステージを堪能した。

佐橋美起、石井真紀、亀田眞由美が歌う「愛」~2018.12.7 ルーテル市ヶ谷センター~

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