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12月B定期(ツァグロゼク指揮)

2006年12月13日 | N響公演の感想(~2016)
12月13日(水)ローター・ツァグロゼク指揮 NHK交響楽団
《12月Bプロ》 サントリーホール

【曲目】
1.モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲
2.モーツァルト/クラリネット協奏曲イ長調K.622
バセット・クラリネット:ザビーネ・マイヤー
3.モーツァルト/3つのドイツ舞曲K.605
4.モーツァルト/交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」

モーツァルト・イヤー最後の月のN響定期はN響お得意のモーツァルトプロ。今夜の白眉は何と言ってもマイヤーがソロを演奏したクラリネット・コンチェルトだ。オケが素晴らしい!弦の柔らかな出だしから期待が高まり、「レジェッロ」という言葉がいかにも相応しい軽やかさ。コンマスの堀さんのフィーリングがみんなに伝わっているようだ。トゥッティのフォルテでも決して気張らずに微笑みを絶やさない嬉々としたオケの前奏に続き、マイヤーのクラリネット(バセット・クラリネット)が颯爽と入る。

硬軟自由自在に使い分けるマイヤーのクラリネットは音が遠くへ遠くへと伸びてゆく。楽器の音域特有の持ち味を活かすだけでなく、高音での柔らかな響きや低音でのかっちりした音も魅力的。近くの席でも息漏れの音が聞こえず、実に滑らかに長い息で美音が鳴り続けるのにも驚く。

このコンチェルトをバセットクラリネットで聴き始めた頃は、音がどんどん下へと沈んで行く「バセットヴァージョン」に違和感を覚えたが、今夜のマイヤーの演奏では低音の柔らかく、しかもずっしりした響きを快く感じたのはマイヤーの功績かも。オケも相変わらず素晴らしくセンシティヴで、マイヤーはオケと楽しそうに対話していた。

その他「魔笛」序曲は、いかにもオペラの幕開けのワクワク感があったし、ドイツ舞曲ではリラックスムードで楽しかった。「ジュピター」もそうした自然な音楽の流れ、語り口が良かった。第3楽章の細やかな神経の行き届いたエレガントな演奏はナイス!しかし他の楽章はというと、これと言って「感じ入る」とまで言えるものがなかったのはちょっと残念。それに、第4楽章の提示部をリピートするところで、低弦が展開部へ突入しかけたのがしっかり聴こえてしまい、緊張感が途切れてしまった。フライングならいざ知らず、こういうミスはちょっと・・・ でもこれはオケのせいか指揮者のせいかは後ろで聴いているだけではわからない。

指揮のツァグロゼクは以前聴いたN響とのモーツァルトプロも含め、「なかなか良いものを持っている」とは言えてもそれが「とびきり良いもの」とまで行かないのがちょっと辛いかも。プレヴィンの再来日とか、メルクルあたりのモーツァルトを聴いてみたい。

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