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11月B定期(ネーメ・ヤルヴィ指揮)

2011年11月17日 | N響公演の感想(~2016)
11月17日(木)ネーメ・ヤルヴィ指揮 NHK交響楽団
《2011年11月Bプロ》 サントリーホール

【曲目】
1. ドヴォルザーク/スラヴ舞曲集 作品46 から 第1番
2. ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲二長調Op.61
 【アンコール】
 パガニーニ/24の奇想曲~第9番
Vn:セルゲ・ツィンマーマン
3.ドヴォルザーク/交響曲第7番ニ短調Op.70

今月のN響定期は当初予定されていたイルジ・コウトが怪我で来日できなくなったため、各チクルスにそれぞれ代役が立ったが、B定期には名匠ネーメ・ヤルヴィが登場した。名匠とは言われているが、ネーメ・ヤルヴィの指揮に接するのは初めて。何はともあれ、東欧の名匠によるドヴォルザークがメインのプログラムということで期待は高まる。

一曲目はスラブ舞曲の中でも特に有名な第1番。音の鳴りがとても良く、勢いがあってどんどん前へ進んで行く。臨場感溢れる演奏はオープニングにぴったりだった。

続くベートーヴェンのヴァイオリン・コンチェルトでも、オーケストラの推進力はそのまま保たれて、乗りがいい。アクセルを軽く踏むだけでグイーンと加速する高性能の車に乗っている気分。音の抜けも良くて清々しい。それに、とりわけ管楽器のアンサンブルがいい味を出していて、ヴァイオリン・ソロが入るお膳立ては上々に進んだ。

そしてフランク・ペータ・ツィンマーマンの息子、セルゲのソロが始まった。セルゲのヴァイオリンは、よく磨かれた良い音がする。大きな表現力には物足りなさを感じるものの、凝縮された魅力がある。例えは良くないかもしれないが、小粒でもしっかりとした味と香りのある梅仁丹… ちょっと古いかな。とりわけ第2楽章の、静寂感としんみり感が胸に染みた。

ただ、セルゲのヴァイオリンは音程やタイミングがアレ?と思う場面が時おりあった。第1楽章では、何が起こったか、1小節乗り遅れたような感じで、オケと完全にズレた状態がしばらく続いた。オケとのハーモニーが明らかに違うのだから、もう少し早く挽回できなかったものだろうか。この辺りは経験と場慣れで解決していくのかも知れないが、ちょっと心配。

曲が終わって拍手が続くなか、今夜は空いていた隣の席に、な・なんと、大学時代の友人のテクノがやってきた。彼は1日目の会員だが、振り替えでたまたま僕の隣りにやって来たのだ。何という偶然!

後半は期待のドボ7。これはある意味期待に応えた演奏と言える。それは、熱気と切れ味と、前半でも聴かせてくれた推進力。スラヴの熱い血が迸るような勢いに溢れていた。オケがとてもクリアに響き、リズム感も抜群。ただ、「名匠ヤルヴィ」から何となくイメージしていた、深い味わいとか、郷愁めいたものは感じられなかった。もともとネーメ・ヤルヴィという指揮者は、そういう味わい系のタイプではないのかも知れない。

そうしたヤルヴィの良さが十分発揮されたのは、第3、4楽章。明快であるけれど、デジタル的というのではなく、血が騒ぐような人間的なリアリティーがある。それと第1楽章から感心したのがN響の管楽器の巧さ。ホルンとクラの人は名前がわからないが、滑らかによく歌い、表情もいい。オーボエの青山さん、池田さん、フルートの神田さん、それにファゴットの岡崎さん・・・ 名手たちの名アンサンブルが、このシンフォニーの演奏に素敵な花を添えた。

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