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2014年9月B定期(ブロムシュテット指揮)

2014年09月11日 | N響公演の感想(~2016)
9月11日(木)ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 NHK交響楽団
《2014年9月Bプロ》 サントリーホール


【曲目】
1. モーツァルト/交響曲第39番変ホ長調K.543
2.チャイコフスキー/交響曲第4番ヘ短調 Op.36

N響の新シーズン幕開けのシェフを勤めるのは今年もブロムシュテット。3回のチクルスでモーツァルトとチャイコフスキーの「3大交響曲」全曲というプログラムが組まれた。Bプロは39番と4番の組合わせ。

ブロムシュテットは今年も元気いっぱいで、この指揮者ならではのダイナミズム溢れる硬派の演奏を堪能した。ダイナミックとか硬派とは言っても、ブロムシュテットの指先からは、大げさなスタンドプレーとは対極の緻密さと、頑固一徹な巨匠気取りとも全く異なる、繊細で生きた音楽が引き出される。その持ち味は1曲目のモーツァルトでも大いに発揮された。キビキビした躍動感あるビートをベースに、瑞々しく生気溢れる歌が行き交う。N響弦セクションが奏でる潤いと光沢ある美しいラインにも惚れ惚れ。ブロムシュテットの演奏には「老い」の影は見当たらない。 全ての音が息づき、生命を謳歌する場に居合わせる愉悦。

後半のチャイ4もそうしたスピリットに貫かれ、更にそこにがっしりとした、しかも硬直していないしなやかな骨格がダイナミズムを増強。ブロムシュテットはチャイコフスキーの演奏でよく強調される極端な気分の高揚や溜め、センチメンタリズムを排し、各セクションをがっしりと噛み合わせ、全てのパートの役目を大切にしつつ、明快で調和の取れた美しいフォルムを築き上げた。かと言って、プロムシュテットは「いかがですかな?」と妙に誇らしげな気取ったポーズは取らない。気合い十分に集中力を高め、枝葉の隅々まで力をみなぎらせ、聴き手の心を捉えて放さない。

健やかな体には健やかな精神が宿ることを体現したような第1楽章、安定した背景を据えたうえでしっとりとした調べを格調高く綴った第2楽章、ピッチカートが弾力性を持ってしなやかにダンスを踊り回った第3楽章、そしてブロムシュテットとN響の総力を結集させて、あくまで明瞭で覚醒したアプローチを積み重ねて築き上げたフィナーレは圧倒的だった。ブロムシュテットとN響の底力が発揮された、シーズン開幕に相応しい演奏会となった。

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