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ワディム・レーピン ヴァイオリンリサイタル

2019年06月18日 | pocknのコンサート感想録2019
6月12日(水)ワディム・レーピン(Vn) /アンドレイ・コロベイニコフ(Pf)
~都民劇場音楽サークル第664回定期公演~
東京文化会館

【曲目】
1.ヒンデミット/ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調Op.11-1
2.ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調 Op.30-2
3.フランク/ヴァイオリン・ソナタ イ長調

【アンコール】
1.チャイコフスキー/歌劇「エフゲニー・オネーギン」~レンスキーのアリア
2.ラヴェル/ツィガーヌ
3.グリーグ/ヴァイオリン・ソナタ第3番~第2楽章

10年前、N響定期で骨太のスケールの大きさに圧倒され、リサイタルを聴きたいと思っていたレーピンのヴァイオリンを初めてリサイタルで聴いた。最初のヒンデミットは、音が3階ライト席まで十分に届いてこない印象で、堅実な演奏ぐらいにしか感じなかったが、ベートーヴェン、フランクではレーピンの真価を確かめることができた。

ベートーヴェンでは、レーピンならではと思える骨太のイメージで、フレーズを塊で捉え、その中で濃淡をつけていく。ギュっと密度を高めて、太く逞しい溜めを効かせるあたりが骨太さを感じさせる所以で、音楽が力強く突進する様子に心引かれた。第2楽章など、落ち着いた佇まいの演奏も印象的で、これにはコロベイニコフの淡々としたなかに詩情を湛えたピアノの貢献度が高い。

フランクのソナタでの前半は、水彩画のような透明で柔らかなタッチが主流。第1楽章では、何種類もの水彩絵の具が水に溶け、混ざり合うような柔らかな輪郭と色合いを聴かせ、ヴァイオリンとピアノで高らかに歌い上げるようなフレーズでも音量を抑え気味に、内面的な表現を聴かせた。第2楽章では熱くて激しいバトルがあったが、続く第3楽章での思索的なモノローグの佇まいは静寂の世界。しかしそこには静かに燃える炎も感じられた。

それが第4楽章では、段階を追って劇的に盛り上がって行った。最初は1本のろうそくが静かに燃えていたのが、循環形式でフレーズを繰り返すたびに、ろうそくの数も大きさも、炎の勢いも場面転換するように劇的に増強し、最後は夜空を煌々と照らすほどの炎の饗宴を見るようだった。まさに硬派レーピンの巨大なスケールを体感する演奏。コロベイニコフの最終場面でのピアノの強靭なタッチも、ホール全体を轟かせるほどの迫力があった。

おとなしめの都民劇場音楽サークルの聴衆が熱い大喝采とブラボーを送るなか、アンコールが3曲。どれも比較的大規模な曲で、民族色や超絶技巧が盛り込まれた音楽を、レーピンは熱く颯爽としたなかに色気を交えた演奏で魅了した。

N響定期(スペイン交響曲 Vn:レーピン) 2009.6.17 サントリーホール
♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「私と小鳥と鈴と」
S:薗田真木子/Pf:梅田朋子
子守歌 ~チェロとピアノのための~
Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
合唱曲「野ばら」
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」(YouTube)
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~(YouTube)
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美

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