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松本~野辺山~清里

2007年03月19日 | pocknの気まぐれダイアリー
3月17日(土)~18日(日)

松本市美術館で開催されていた父の絵の作品展を見るために週末、家族で松本を訪れた。

3年前に行われた松本市美術館の70歳以上を対象とした「老いるほど若くなる」と題したユニークな公募展で、父の絵がグランプリを受賞し、その「ご褒美」として、第2回の公募展に合わせた作品展を行えることとなった。


美術館の前庭を飾る草間彌生のオブジェ
松本市美術館は広々とした近代的な美術館で、ユニークな草間彌生の展示や、山と草原を象徴的に描いた田村一男、書の上條信山の作品を常設する部屋や、公募展、特別展などがあり、バラエティー豊かな美術作品をゆっくりと楽しむことができる。


父の作品は2階の明るく大きな3つの部屋を貸し切った形で展示されていた。グランプリを受賞した「75歳の自画像」や近年取り組んでいる古い壁と扉を描いた「昼下がり」と題する100号の大作6点をはじめ、イタリアの風景画や静物画など、近作を中心に60点余りが展示されていた。父はこれまでに何度か個展はやっているが、大きな絵がこれだけ並ぶ個人展は初めて。会社を定年退職後は絵に打ち込むゆとりが増えたとは言え、これだけの作品を仕上げる父のパワーには息子ながら脱帽。僕も学生時代まで絵画教室に通い、今でもスケッチなどはやるが、どうしても父のような絵を描くことはできないのはちょっと悔しい。

公募展「老いるほど若くなる」

第2回の70歳以上公募展のほうも覗いてみた。全国から600点近い応募があった中から133点が選ばれたこの展覧会、前回も感じたが、70歳以上という「年齢制限」によって集まった作品の見事さには驚くばかり。年輪を重ねた人にしか描けないような味のある絵も多いが、若者顔負けの若い息吹がみなぎるようなエネルギーに満ち溢れた作品や、世に問うような作品、ほのぼの系、写実画、抽象画… 油彩、水彩、日本画、版画、さまざまなスタイルやタイプの作品が並んでいて、一般の公募展を見るよりもずっと面白い。97歳の方をはじめとした超高齢者の作品も多い。

しかし年齢に関係なくどれも厳しい審査を通ってきた作品だけに「こんなお年寄りがこんな素晴らしい絵を描くの?」なんてコメントは反って失礼になるような見事な作品ばかり。どれもが個性的で新鮮で、そして深い。この「深さ」が、やはり年齢の成せる技なのかなぁ、と感じ入った。今回のグランプリ受賞作である柳橋純さんの「海に生く」という作品は凪いだ静かな海の中で、魚介類が猛烈な生命力で描かれたダイナミックな作品だった。この展覧会は4月8日まで行われている。

3年前にグランプリを受賞した「75歳の自画像」

松本には両親と弟家族も合流し、みんなで美術館を訪れた後は松本市内からほど近い浅間温泉の宿でにぎやかなひとときを過ごした。3家族でこうして泊まりで出かけるのは初めてのこと。昼は美術館で名古屋から来た伯母と従姉妹にも実に久々に再会、父の絵が貴重な機会を与えてくれた。

野辺山でスキーとソリを楽しむ

車窓からは南アルプスの山並みが近い

翌日の日曜日は午前中にもう一度美術館を訪れ、昼前にうちら家族は八ヶ岳山麓の野辺山へ向かった。今年の冬は東京は全く雪が積らず、子供たちに雪遊びをさせようと、シャトレーゼというスキー場へ行った。ここは子供のソリ遊び用のゲレンデがあり、動く歩道のようなローラーリフトまである。しかしこのリフトは蝿がとまるほどに遅い。斜面を普通に歩いたほうがよっぽど速い。

この日は遅れ馳せながら続く寒さがピークを迎え、浅間温泉の朝は最低気温がマイナス7度近くまで下がったが、ここ野辺山も寒かった。おそーいローラーリフトに乗っかっていると寒さが身にしみるので、斜面を駆け上がって子供たちとソリを楽しめば体も温まる。それに、白銀の八ヶ岳を真正面に眺められるというのがいい。しばらくソリをやったあと、僕だけスキーを借りて久々にスキーを楽しんだ。人工雪だが、気温が低いため雪質は上々。それになんと言っても八ヶ岳を間近に望みながらのスキーは実に気持ちがよかった。

帰りに、いつも夏に(去年は秋だったが)お世話になっている清里の行きつけの貸し別荘「野わけ」に立ち寄った。オーナーのおじちゃんが笑顔で迎えてくれた。しばらく立ち話をして、おみやげに自家製の野沢菜やりんごジュース、子供たちには木製のトナカイまで持たせてくれた。なんだか本当のいなかみたいだ。夏にまた訪れるのが楽しみだ。

帰りの車からも八ヶ岳、南アルプス、富士山など、夕日に映える白い峰々がずっときれいに見えていた。須玉インター近くで富士山の写真を撮ろうと思って車を停めたところに、何だか昭和初期みたいな長屋の風景があった。時代に取り残されたような懐かしいたたずまいに見送られて、高速から帰路に着いた。


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2 コメント

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おめでとうございます (kaorinishina)
2007-03-28 00:41:30
お父様、素敵な絵を描かれるのですね。
ポスターが街のあちこちに飾られているので、自分も絵を描けたらなぁと、ため息混じりに見ていました。
雪や名残りの寒さも楽しんでいただけて良かったです。
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松本 (pockn)
2007-04-09 10:24:51
kaorinishinaさん、コメントありがとうございます。松本の方にお住まいなのですね。私は大の山好きなので、雪山を近くに望める松本はとても好きなところです。松本の夏の斎藤フェスティバルには1度行ってみたいと思っています。絵は子供の頃はみーんなよく描いていたはずなので誰だって描けるんだと思います。一度やってみて下さい。
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