10月19日(木)クラウディオ・アバド指揮 ルツェルン祝祭管弦楽団
~ルツェルン・フェスティバル・イン・東京2006 オーケストラコンサートⅡ~
サントリーホール
【曲目】
1.ブラームス/ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調Op.83
Pf:マウリツィオ・ポリーニ
4.ブルックナー/交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(ノーヴァク版)
先週に引き続きまたアバドを聴ける喜び。今夜のコンサートはルツェルン・フェスティバル in 東京のファイナルコンサートでもある。
アバドとポリーニの共演によるブラームスの2番のコンチェルトは明るい陽光に照らされ、意気揚々として、かつエレガントな演奏。アバドとポリーニが火花を散らし合うスリリングな演奏を予想していたのだが、大音楽家同士のエレガントで熟成したやり取りを楽しむという、大人の魅力に溢れた演奏だった。磨かれた造形美!
そして後半の「ロマンティック」は今回の来日公演最後の演目。アバド/ルツェルン祝祭オケここにあり!という堂々たるファイナルコンサート。
七色に輝く音色と練り上げられた細やかで柔らかなタッチ、息が途切れることなく次へ次へとつながる優雅な歌、そして地の底からすごいエネルギーで湧き上がってくるパワーや心躍る躍動… アバドがイメージする最も理想的な音が、アバドのイメージどおりにこの大曲を描き切った。
第1楽章では大海原でいくつも大きくせりあがって来る波に乗ったり、それを越えたりしながら勢いに乗ってぐんぐんと進んで行くようなスピード感や大きく力強い曲線のうねりに完全に心をつかまれた。
第2楽章での優雅で熱い歌に更に心は奪われる。アバドの棒から紡ぎ出される歌は、ユニゾンであれハーモニーであれとにかくエレガントで淀みのない自然な呼吸で歌う。ヴィオラのユニゾンが深みを湛えた音色でモノローグを綴ってゆくこの世のものとは思えないほどの美しさに息を呑む。
第3楽章の軽やかで見事な躍動感!全ての楽器が呼応し合い、有機的に機能し合って作り出す音の饗宴。果敢に飛び込んでくるマイヤーのクラリネットを始めとする木管群の鮮やかな活躍が、新鮮な生命力を注入しスピード感を増幅させる。スマートなスタイルを保ちながらその中では命が湧き立ち、最高潮の高揚を生み出すアバドマジック!
そして迎えたフィナーレではまさに全曲の集大成にふさわしい貫禄とパワーに溢れる感動的なクライマックスを築き上げた。オケは益々光輝き、エネルギーをみなぎらせ、寄せては引く波が次第にその高さと勢いを増し圧倒的な高みへと登って行く。最後の最後、トレモロの弦に導かれて高らかな謳歌が鳴り響く音のシャワーを全身全霊で浴びているうちに心の底から得も言われぬ感動が湧き上がり、それが涙となってじわりと溢れてきた。「ここまでやってくれたか…」という深い感動に、終演後すぐには拍手をすることもできない。大音量で終わる音楽の余韻を2000人の聴衆みんなが見守るという素晴らしいシーン。
ようやく沸き起こった熱い拍手はアバドがステージに出てくるたびにヴォルテージを上げた。アバドに、そして素晴らしいオーケストラに感謝。先週のマーラーではあのハンマーで打ちのめされたような感じだったが、今夜は熱い演奏に抱きしめられたような気分でしんみりとしてしまった。
アバドの晴れやかな表情はまた次の来日を約束してくれているようだった。でも、次の来日まではきっと待てないかも。ルツェルンか、ベルリンか、ウィーンか… こんなに素晴らしいアバド体験を更に重ねに出かけたい。
~ルツェルン・フェスティバル・イン・東京2006 オーケストラコンサートⅡ~
サントリーホール
【曲目】
1.ブラームス/ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調Op.83
Pf:マウリツィオ・ポリーニ
4.ブルックナー/交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(ノーヴァク版)
先週に引き続きまたアバドを聴ける喜び。今夜のコンサートはルツェルン・フェスティバル in 東京のファイナルコンサートでもある。
アバドとポリーニの共演によるブラームスの2番のコンチェルトは明るい陽光に照らされ、意気揚々として、かつエレガントな演奏。アバドとポリーニが火花を散らし合うスリリングな演奏を予想していたのだが、大音楽家同士のエレガントで熟成したやり取りを楽しむという、大人の魅力に溢れた演奏だった。磨かれた造形美!
そして後半の「ロマンティック」は今回の来日公演最後の演目。アバド/ルツェルン祝祭オケここにあり!という堂々たるファイナルコンサート。
七色に輝く音色と練り上げられた細やかで柔らかなタッチ、息が途切れることなく次へ次へとつながる優雅な歌、そして地の底からすごいエネルギーで湧き上がってくるパワーや心躍る躍動… アバドがイメージする最も理想的な音が、アバドのイメージどおりにこの大曲を描き切った。
第1楽章では大海原でいくつも大きくせりあがって来る波に乗ったり、それを越えたりしながら勢いに乗ってぐんぐんと進んで行くようなスピード感や大きく力強い曲線のうねりに完全に心をつかまれた。
第2楽章での優雅で熱い歌に更に心は奪われる。アバドの棒から紡ぎ出される歌は、ユニゾンであれハーモニーであれとにかくエレガントで淀みのない自然な呼吸で歌う。ヴィオラのユニゾンが深みを湛えた音色でモノローグを綴ってゆくこの世のものとは思えないほどの美しさに息を呑む。
第3楽章の軽やかで見事な躍動感!全ての楽器が呼応し合い、有機的に機能し合って作り出す音の饗宴。果敢に飛び込んでくるマイヤーのクラリネットを始めとする木管群の鮮やかな活躍が、新鮮な生命力を注入しスピード感を増幅させる。スマートなスタイルを保ちながらその中では命が湧き立ち、最高潮の高揚を生み出すアバドマジック!
そして迎えたフィナーレではまさに全曲の集大成にふさわしい貫禄とパワーに溢れる感動的なクライマックスを築き上げた。オケは益々光輝き、エネルギーをみなぎらせ、寄せては引く波が次第にその高さと勢いを増し圧倒的な高みへと登って行く。最後の最後、トレモロの弦に導かれて高らかな謳歌が鳴り響く音のシャワーを全身全霊で浴びているうちに心の底から得も言われぬ感動が湧き上がり、それが涙となってじわりと溢れてきた。「ここまでやってくれたか…」という深い感動に、終演後すぐには拍手をすることもできない。大音量で終わる音楽の余韻を2000人の聴衆みんなが見守るという素晴らしいシーン。
ようやく沸き起こった熱い拍手はアバドがステージに出てくるたびにヴォルテージを上げた。アバドに、そして素晴らしいオーケストラに感謝。先週のマーラーではあのハンマーで打ちのめされたような感じだったが、今夜は熱い演奏に抱きしめられたような気分でしんみりとしてしまった。
アバドの晴れやかな表情はまた次の来日を約束してくれているようだった。でも、次の来日まではきっと待てないかも。ルツェルンか、ベルリンか、ウィーンか… こんなに素晴らしいアバド体験を更に重ねに出かけたい。
マーラーのあとは数日、後遺症が残りましたが、今回はすがすがしい思いに満ち足りた気分です。
来なけりゃ、行くしかありませんね(笑)