12月1日(金)ピエール=ロラン・エマール(Pf)
ヤマハホール
【曲目(順不同)】
バッハ:
♪ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻より
第2番ハ短調 BWV847
第5番ニ長調 BWV850
第6番ニ短調 BWV851
第9番ホ長調 BWV854
第17番変イ長調 BWV862
第21番変ロ長調 BWV866
♪ フーガの技法 BWV1080より
コントラプンクトゥスⅫ
拡大及び反行形によるカノン
シューベルト:
♪ 12のワルツ Op.18,D145より 第1、2、4、5、6、8、9、10、11、12番
♪ 34の感傷的なワルツ Op.50,D779より 第23番
♪ 16のドイツ舞曲 Op.33,D783より 第2、3番
♪ 16のレントラー Op.67,D734より 第3、15番
♪ 17のレントラー Op.18,D145より 第2、4、5、6、7、8、9、12、16、17番
♪ 20のワルツ「最後のワルツ」 Op.127,D146より 第10、11、12、14、15、20番
♪ 12のドイツ舞曲 Op.171,D790より 第5、6、7、8、9番
♪ 36の独創的舞曲 Op.9,D365より 第2、3、5、21番
クルターグ:
♪ ピアノのための遊び第1、3、5、6、7、9、10巻より
♪ ・・・ハインツのために・・・
来日の度にほぼ聴いているピエール=ロラン・エマールのリサイタル。今回はバッハ、シューベルト、クルターグという3人の作曲家の作品によるエマールならではのレアなプログラム。何がレアかと云えば、選曲と曲の配置。1分に満たない短い曲からせいぜい3分程度の小品(バッハは小品というイメージではないが)ばかりを、前半はバッハ、後半はシューベルトにそれぞれクルタークの作品を混ぜ合わせ(当初発表のプログラムから前半と後半が入れ替わった)、時には前の曲の余韻が残っているうちに次の曲を始めるなど、一つの大きな作品のようにリサイタル全体を仕上げていった。
とりわけ印象に残ったのは後半のシューベルトとクルターグによるステージ。クルターグの曲を挟みながら演奏された合計40曲ものシューベルトの作品は、ソナタや即興曲などとは違って、演奏会では殆ど顧みられることのないごく短い3拍子の舞曲ばかり。どの曲も音数は少なく目立った特徴もないこれらの音楽が俄然存在感を放ち、それぞれに個性的で静かな魅力を湛えていることを伝えてくれた。ヤマハのフルコングランドピアノから、どこか懐かしいひなびた響きがしてきたのは、エマールの特別なタッチや息遣いによるものだろう。エマールはこれらの愛すべき小品たちを、大げさなアプローチではなく、優しく、素朴に、チャーミングに、ときに憂いをこめて、音楽のハートをさりげなく引き出し、そっと聴き手に届けてくれた。
これと並んで演奏されたクルターグの小品も音数が少なく、一呼吸している間に終わってしまうような短い曲も多かった。これらをシューベルトの作品と並べる際、エマールはシューベルトの曲の調性と、クルターグの曲で中心となる音が一致するものを選ぶなど、両者の音楽の親和性大切にして、ひとつの姿を別の角度から見ているような緩やかな一体感を生み出した。クルターグの小品たちは前半のバッハとも自然に手を取り合い、無調の現代音楽でありながら、日常のちょっとした発見や気持ちの変化を捉えたような自然な語り口で、心の底に静かに沁みてきた。9月にベルリン・フィルでクルタークの作品を聴いたことも、この作曲家への共感度を高めた。
パンフレットで3ページにも渡ってリストアップされていた演奏曲目の多さに、いったい何時間かかるのだろうと思ったが、9時には終演となった。アンコールオンパレードとなることも多いエマールのリサイタル、前回の「鳥のカタログ」全曲演奏会でアンコールがなかったのはわかるが、今夜もアンコールがなかったのはちょっと意外。エマールが今夜のリサイタルを、前半と後半で大曲を2つと捉えていたのかも知れない。
ピエール=ロラン・エマール「鳥のカタログ」 ~2022.11.3 東京オペラシティ~
ピエール=ロラン・エマール「幼子イエスにそそぐ20のまなざし」 ~2017.12.6 東京オペラシティ~
ピエール=ロラン・エマール「平均律第1巻」 ~2014.10.4 さいたま芸術劇場~
ピエール=ロラン・エマール「ル・プロジェ エマール」 ~2012.11.21 トッパンホール~
ウィーン&ベルリン音楽の旅(2023)
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
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第17番変イ長調 BWV862
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シューベルト:
♪ 12のワルツ Op.18,D145より 第1、2、4、5、6、8、9、10、11、12番
♪ 34の感傷的なワルツ Op.50,D779より 第23番
♪ 16のドイツ舞曲 Op.33,D783より 第2、3番
♪ 16のレントラー Op.67,D734より 第3、15番
♪ 17のレントラー Op.18,D145より 第2、4、5、6、7、8、9、12、16、17番
♪ 20のワルツ「最後のワルツ」 Op.127,D146より 第10、11、12、14、15、20番
♪ 12のドイツ舞曲 Op.171,D790より 第5、6、7、8、9番
♪ 36の独創的舞曲 Op.9,D365より 第2、3、5、21番
クルターグ:
♪ ピアノのための遊び第1、3、5、6、7、9、10巻より
♪ ・・・ハインツのために・・・
来日の度にほぼ聴いているピエール=ロラン・エマールのリサイタル。今回はバッハ、シューベルト、クルターグという3人の作曲家の作品によるエマールならではのレアなプログラム。何がレアかと云えば、選曲と曲の配置。1分に満たない短い曲からせいぜい3分程度の小品(バッハは小品というイメージではないが)ばかりを、前半はバッハ、後半はシューベルトにそれぞれクルタークの作品を混ぜ合わせ(当初発表のプログラムから前半と後半が入れ替わった)、時には前の曲の余韻が残っているうちに次の曲を始めるなど、一つの大きな作品のようにリサイタル全体を仕上げていった。
とりわけ印象に残ったのは後半のシューベルトとクルターグによるステージ。クルターグの曲を挟みながら演奏された合計40曲ものシューベルトの作品は、ソナタや即興曲などとは違って、演奏会では殆ど顧みられることのないごく短い3拍子の舞曲ばかり。どの曲も音数は少なく目立った特徴もないこれらの音楽が俄然存在感を放ち、それぞれに個性的で静かな魅力を湛えていることを伝えてくれた。ヤマハのフルコングランドピアノから、どこか懐かしいひなびた響きがしてきたのは、エマールの特別なタッチや息遣いによるものだろう。エマールはこれらの愛すべき小品たちを、大げさなアプローチではなく、優しく、素朴に、チャーミングに、ときに憂いをこめて、音楽のハートをさりげなく引き出し、そっと聴き手に届けてくれた。
これと並んで演奏されたクルターグの小品も音数が少なく、一呼吸している間に終わってしまうような短い曲も多かった。これらをシューベルトの作品と並べる際、エマールはシューベルトの曲の調性と、クルターグの曲で中心となる音が一致するものを選ぶなど、両者の音楽の親和性大切にして、ひとつの姿を別の角度から見ているような緩やかな一体感を生み出した。クルターグの小品たちは前半のバッハとも自然に手を取り合い、無調の現代音楽でありながら、日常のちょっとした発見や気持ちの変化を捉えたような自然な語り口で、心の底に静かに沁みてきた。9月にベルリン・フィルでクルタークの作品を聴いたことも、この作曲家への共感度を高めた。
パンフレットで3ページにも渡ってリストアップされていた演奏曲目の多さに、いったい何時間かかるのだろうと思ったが、9時には終演となった。アンコールオンパレードとなることも多いエマールのリサイタル、前回の「鳥のカタログ」全曲演奏会でアンコールがなかったのはわかるが、今夜もアンコールがなかったのはちょっと意外。エマールが今夜のリサイタルを、前半と後半で大曲を2つと捉えていたのかも知れない。
ピエール=ロラン・エマール「鳥のカタログ」 ~2022.11.3 東京オペラシティ~
ピエール=ロラン・エマール「幼子イエスにそそぐ20のまなざし」 ~2017.12.6 東京オペラシティ~
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ピエール=ロラン・エマール「ル・プロジェ エマール」 ~2012.11.21 トッパンホール~
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