7月27日(火)青木尚佳(Vn)/三井静(Vc)/大井駿(Pf)
ミュンヘン・フィルのメンバーによる室内楽の調べ
Hakuju Hall
1.ベートーヴェン/交響曲第2番ニ長調 Op.36(作曲者によるピアノトリオ版)
2.ブラームス/ピアノ三重奏曲第1番ロ長調 Op.8(改訂版)
【アンコール】
♪ メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 Op.49~第2楽章
パーヴォ/N響6月公演での素晴らしかったシベリウスのコンチェルトの記憶が新しいヴァイオリンの青木尚佳さん、彼女がコンミスを務めるミュンヘン・フィルの同僚でもあるチェロの三上静さん、ユンゲ・ドイチェ・フィルで鍵盤楽器奏者を務める大井駿さんという、ドイツを拠点に活躍する若い日本のアーティストによるピアノトリオの演奏会を聴いた。
前半は、ベートーヴェンのシンフォニーのピアノトリオ版という珍しい演目。自作の普及のためにベートーヴェン自身が編曲したという。
3人はこの第2シンフォニーに果敢に向き合った。全体をシンフォニーらしいがっちりとした骨太な骨格で固めながら、動きはしなやか。胸のすくような颯爽としたエネルギーに溢れ、攻めの姿勢で進んで行く。アクセントのほどよい重量感も心地良い。3人は時に微笑みを浮かべながら生き生きとアンサンブルを楽しんでいる様子。
ピアノが主体だが、ヴァイオリンとチェロが、曲をより立体的で能動的に聴かせ、堂々とした貫禄を感じさせた。青木さんの「渾身の刻み」が音楽にエネルギーを注ぎ込み、三井さんのチェロは雄弁で頼もしい。大井さんはアンサンブルの要の役をしっかり担いつつ、溌剌としたピアノを聴かせた。このアレンジ版、ベートーヴェンのピアノトリオに組み込んでも良いぐらいオケ版とはまた違った良さ、面白さを感じた。
イケイケのベートーヴェンに対して、若書きのトリオを後年大々的に改訂したブラームスのピアノトリオでは、3人は落ち着きと潤いのある大人のアンサンブルを聴かせた。深い味わいを滲ませつつ、エネルギーは充溢していて、熱し過ぎずにブラームス晩年のテイストも伝えたアプローチ。それぞれのパートが朗々と歌い交わし、語り、アンサンブルを築き上げて行く様子は、何とも堂に入っていて円熟の境地を感じさせた。
青木さんの伸びやかで強さもあるヴァイオリンが、コンミス的なイニシアチブを発揮してアンサンブルを引っ張り、三井さんのチェロは、陰影に富んだ柔軟で豊かな表現力で、雄弁な歌を聴かせた。三井さんの演奏は初めて聴いたが、ソロも是非聴いてみたくなった。ビアノの大井さんは、しなやかな演奏で要所を押さえ、潤いのあるいい響きを聴かせるが、ベートーヴェンのときからヒヤッとするところ、アレッと思うところが時々あり、ブラームスでもやってしまった。こうしたことが重なったために、耳を傾けるべきところ以外に神経が行ってしまったのは残念だった。
アンコールでは、3人はしっとり熱く良いハーモニーと歌を聴かせてくれた。3人には、ドイツでも益々の活躍が期待できそうだ。
P.ヤルヴィ指揮 N響:シベリウス/ヴァイオリン協奏曲(Vn:青木尚佳)~2021.6.17 サントリーホール~
#文化芸術は生きるために必要だ
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パーヴォ/N響6月公演での素晴らしかったシベリウスのコンチェルトの記憶が新しいヴァイオリンの青木尚佳さん、彼女がコンミスを務めるミュンヘン・フィルの同僚でもあるチェロの三上静さん、ユンゲ・ドイチェ・フィルで鍵盤楽器奏者を務める大井駿さんという、ドイツを拠点に活躍する若い日本のアーティストによるピアノトリオの演奏会を聴いた。
前半は、ベートーヴェンのシンフォニーのピアノトリオ版という珍しい演目。自作の普及のためにベートーヴェン自身が編曲したという。
3人はこの第2シンフォニーに果敢に向き合った。全体をシンフォニーらしいがっちりとした骨太な骨格で固めながら、動きはしなやか。胸のすくような颯爽としたエネルギーに溢れ、攻めの姿勢で進んで行く。アクセントのほどよい重量感も心地良い。3人は時に微笑みを浮かべながら生き生きとアンサンブルを楽しんでいる様子。
ピアノが主体だが、ヴァイオリンとチェロが、曲をより立体的で能動的に聴かせ、堂々とした貫禄を感じさせた。青木さんの「渾身の刻み」が音楽にエネルギーを注ぎ込み、三井さんのチェロは雄弁で頼もしい。大井さんはアンサンブルの要の役をしっかり担いつつ、溌剌としたピアノを聴かせた。このアレンジ版、ベートーヴェンのピアノトリオに組み込んでも良いぐらいオケ版とはまた違った良さ、面白さを感じた。
イケイケのベートーヴェンに対して、若書きのトリオを後年大々的に改訂したブラームスのピアノトリオでは、3人は落ち着きと潤いのある大人のアンサンブルを聴かせた。深い味わいを滲ませつつ、エネルギーは充溢していて、熱し過ぎずにブラームス晩年のテイストも伝えたアプローチ。それぞれのパートが朗々と歌い交わし、語り、アンサンブルを築き上げて行く様子は、何とも堂に入っていて円熟の境地を感じさせた。
青木さんの伸びやかで強さもあるヴァイオリンが、コンミス的なイニシアチブを発揮してアンサンブルを引っ張り、三井さんのチェロは、陰影に富んだ柔軟で豊かな表現力で、雄弁な歌を聴かせた。三井さんの演奏は初めて聴いたが、ソロも是非聴いてみたくなった。ビアノの大井さんは、しなやかな演奏で要所を押さえ、潤いのあるいい響きを聴かせるが、ベートーヴェンのときからヒヤッとするところ、アレッと思うところが時々あり、ブラームスでもやってしまった。こうしたことが重なったために、耳を傾けるべきところ以外に神経が行ってしまったのは残念だった。
アンコールでは、3人はしっとり熱く良いハーモニーと歌を聴かせてくれた。3人には、ドイツでも益々の活躍が期待できそうだ。
P.ヤルヴィ指揮 N響:シベリウス/ヴァイオリン協奏曲(Vn:青木尚佳)~2021.6.17 サントリーホール~
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