2009年11月30日(月)ワレリー・ゲルギエフ指揮 NHK交響楽団
~NHK音楽祭2009~
NHKホール
【曲目】
1.芥川也寸志/弦楽のための三楽章(トリプティーク)
2.プロコフィエフ/ピアノ協奏曲3番ハ長調Op.26
Pf:アレクサンドル・トラーゼ
3.チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」
ゲルギエフがN響を振るのは多分2002年の「春の祭典」のとき以来。その時の圧倒的な演奏は今でも心に焼き付いている。今年の5月にウィーン・フィルの定期演奏会をゲルギエフの指揮で聴いたときは後半が期待外れだったが、N響となら2002年の「ハルサイ」の感動を更に塗り替えるような演奏が聴けるのではと期待して迎えたこの演奏会は残念ながらそうした次元まで乗せて行ってはくれなかった。
最初の芥川の曲は弦楽合奏で、これは切れ味良く熱っぽい息吹が伝わる好演で、大いにこの先への期待を高めたが、続くプロコフィエフのコンチェルトでは、第1楽章こそトラーゼの頑強で猛進するピアノとオケが繰り広げるドラマに引き込まれかけたが、この楽章終盤のクライマックスでの速すぎるテンポには気持ちがついて行けず、第2楽章でのトラーゼの熱い語りかけにも心からは共感することができず、第3楽章では第1楽章で感じたようなドラマは聴けなかった。
いや、でもこれからが本領発揮だ!という気持ちで臨んだ「悲愴」だったが結果は同じ… というよりさらに期待外れ。全体の響きがどこか散漫で焦点が定まっておらず、弦と管のバランスも良くない。何だか金管ばかりがバリバリ聴こえ、おまけにトランペットやトロンボーンはもうひとつ締まりがない。ステージから遠い3階席のせいかとも思ったが、NHKホールでN響を聴くのはいつもこの辺りの席で、これまでに数々の名演を経験しているし場所のせいということはない。
ゲルギエフは曲中の休符を思いっきり長くとったり、フレージングを工夫したり、フレーズを粘らせたり、或いは2~4楽章を殆んどアタッカで通したりと、演奏を劇的に仕上げようとしているようだが、それが演奏効果にまで及ばない。これはオケのせいだろうか? でもオケは目立ったミスもしないし、メンバーからは十分な気合いも見える。それじゃあ指揮者のせい? そういえば今日の演奏、5月に聴いたウィーン・フィルのパッとしなかった演奏に似ているような… ゲルギエフは指揮者として今何か壁にぶつかっているのだろうか。でも指揮者ばかりのせいにするのも気の毒か…
結局のところどうしてこうしたパッとしない演奏になってしまったかはわからない。良かったところと言えば特に1楽章と2楽章で聴いた飛び切り上等で脈動が伝わるような植松さんのティンパニと、ほんの短いフレーズだけで世界をサーっと別の色に塗り替えてしまうような横川さんのクラリネットぐらい。終演後の長い静寂も良かったが、「静寂が良かった」なんてイヤ味にしかならないかも。こんな感想しか書けなくて済みません。。。 12月のデュトワには期待してます。
~NHK音楽祭2009~
NHKホール
【曲目】
1.芥川也寸志/弦楽のための三楽章(トリプティーク)
2.プロコフィエフ/ピアノ協奏曲3番ハ長調Op.26
Pf:アレクサンドル・トラーゼ
3.チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」
ゲルギエフがN響を振るのは多分2002年の「春の祭典」のとき以来。その時の圧倒的な演奏は今でも心に焼き付いている。今年の5月にウィーン・フィルの定期演奏会をゲルギエフの指揮で聴いたときは後半が期待外れだったが、N響となら2002年の「ハルサイ」の感動を更に塗り替えるような演奏が聴けるのではと期待して迎えたこの演奏会は残念ながらそうした次元まで乗せて行ってはくれなかった。
最初の芥川の曲は弦楽合奏で、これは切れ味良く熱っぽい息吹が伝わる好演で、大いにこの先への期待を高めたが、続くプロコフィエフのコンチェルトでは、第1楽章こそトラーゼの頑強で猛進するピアノとオケが繰り広げるドラマに引き込まれかけたが、この楽章終盤のクライマックスでの速すぎるテンポには気持ちがついて行けず、第2楽章でのトラーゼの熱い語りかけにも心からは共感することができず、第3楽章では第1楽章で感じたようなドラマは聴けなかった。
いや、でもこれからが本領発揮だ!という気持ちで臨んだ「悲愴」だったが結果は同じ… というよりさらに期待外れ。全体の響きがどこか散漫で焦点が定まっておらず、弦と管のバランスも良くない。何だか金管ばかりがバリバリ聴こえ、おまけにトランペットやトロンボーンはもうひとつ締まりがない。ステージから遠い3階席のせいかとも思ったが、NHKホールでN響を聴くのはいつもこの辺りの席で、これまでに数々の名演を経験しているし場所のせいということはない。
ゲルギエフは曲中の休符を思いっきり長くとったり、フレージングを工夫したり、フレーズを粘らせたり、或いは2~4楽章を殆んどアタッカで通したりと、演奏を劇的に仕上げようとしているようだが、それが演奏効果にまで及ばない。これはオケのせいだろうか? でもオケは目立ったミスもしないし、メンバーからは十分な気合いも見える。それじゃあ指揮者のせい? そういえば今日の演奏、5月に聴いたウィーン・フィルのパッとしなかった演奏に似ているような… ゲルギエフは指揮者として今何か壁にぶつかっているのだろうか。でも指揮者ばかりのせいにするのも気の毒か…
結局のところどうしてこうしたパッとしない演奏になってしまったかはわからない。良かったところと言えば特に1楽章と2楽章で聴いた飛び切り上等で脈動が伝わるような植松さんのティンパニと、ほんの短いフレーズだけで世界をサーっと別の色に塗り替えてしまうような横川さんのクラリネットぐらい。終演後の長い静寂も良かったが、「静寂が良かった」なんてイヤ味にしかならないかも。こんな感想しか書けなくて済みません。。。 12月のデュトワには期待してます。