Lupinus-ルピナス-

絵本のルピナスさんのように自分なりの「世の中を美しくすること」を見つけたいと思っています。

日本人の死生観(墓からの考察3)

2009年12月11日 | 死生観について
日本では、死者を祀る行事は定期的に行われるが、大体三十三回忌をもって終わりとするところが多いようである。
最終年忌を過ぎると、霊魂は一体どうなると考えられているのだろうか。

祖霊(先祖)化への過程(藤井正雄「日本人の先祖供養観の展開」より)

  週忌(死霊期)
  ・初七日      不安定できわめて危険――ホトケ
  ・二七日          ↓         ↓
  ・三七日
  ・四七日        
  ・五七日
  ・六七日
  ・七七日(忌明け)

  年忌(精霊期)
  ・百か日       やや安定
  ・一周忌          ↓
  ・三回忌
  ・七回忌
  ・十三回忌       
  ・十七回忌
  ・二十五回忌     きわめて安定
  ・三十三回忌        ↓
  最終年忌(祖霊期)―――安  定――――――カミ

上の表のように、死者の霊魂は「ホトケ」と呼ばれて、死んで間もない時期は不安定な危険な存在であり、年忌を過ぎるごとにだんだんと清まっていき、最終年忌をすぎると個性をなくし、「祖霊」(カミ)という子孫を見守る存在になると考えられていた。

そして、現代の人々の感覚はどうなのであろう。読売新聞の調査を見ると、
・死んだ人の霊がわれわれを見守っている     34.9%
・恨みを残して死んだ人の霊がさまよって出てくる 16.8%
・先祖のたたりで子孫が不幸な目にあう      13.9%

という結果であることをみると、先祖や霊魂は恐れの対象というよりは、自分たちを見守ってくれる存在だと認識している人の割合の方が多い。霊魂への恐れは持ちつつも、死者への親近感の気持ちが強く見える。
そして、上記の祖霊化への過程の観念を現代の日本人は意識して考えているのか、というのも気になるところである。

―――

ここからは、私のまったく個人的なつぶやきなんですけど、
亡くなった方を三十三回忌まで祀るということは知っていたのですが、そのあとにホトケ様は個性をなくしてカミになる、という認識があることは調べた大学生の頃まで実は全く知りませんでした。

そして読売新聞のアンケートで、先祖のたたりがあると思うと答えた方が13.9%いましたが、私にもそんな感覚があります。お墓参りなどの先祖供養を怠ると、ご先祖様が怒ってばちがあたる、と聞いて育ったと思います。
また、子どもの頃からよく「あなたの知らない世界」などの心霊特集を見てしまっていたので、マスコミから「霊は祟る・恐ろしい」という観念を植え付けられていたのかも、と。
だから、最終年忌を迎えて祖霊(カミ)となり私たちを見守る存在となるということは、もう祟る存在ではないということになると思いますが、その「祟る」と考えるご先祖様というのも、自分の中ではどこまでの範囲をさしているのかも、よく考えてみると曖昧なのです。
この現代の私の「曖昧」な認識はどうしてなんだろう?と思っています。
そして、読売新聞のアンケートの死んだ人の霊が見守ってくれると答えた人の中で、三十三回忌を過ぎてカミとなった霊魂と意識して考えている人は果たしているのか・・・?


なかなか墓にたどりつきませんが・・・続きます。





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