PENTAX K-7(内部通称『桂奈たん』(爆))について別項を設けると書きましたが、放っておくと書けないままタイミングを逸してしまうので、早速書いてしまいました。
といっても、先に仲間内のメーリングリストに流した物の再編集版だったりするので、結構簡単だったりして。

2009/6/27, Panasonic DMC-FX500, プログラム, 1/13sec., F4.3, ISO AUTO(800), コントラストAF, 手振れ補正ON。
で、7/4にSL人吉号を撮影に行って実戦投入した感想を含めたインプレッションは次のとおり。
ボディ
○バッテリーグリップ付きでK10Dと比較すると、3インチ液晶が有るにもかかわらず幅がかなり狭い。バッテリーグリップを外すと高さも低い。
○Mgボディに真鍮やTiの金属ボディの質感を望むのは、そもそも無理。MgってAlと比べても相当軽いので、重さの観点で金属のイメージが得られないと思います。(そう言う私は、Mgボディのガッカリ感をEOS D60→EOS 20Dで経験済みですけど。)
○グリップ部分は、中指のかかる部分が抉られていて握りやすいけど、指の位置が固定されるので、バッテリーグリップ無しだと見事に小指が余る。(まあ、私はバッテリーグリップを付けっぱなしなので、特段の問題は無し(爆))
ファインダー
○ファインダーはピントの山が見やすいので、ピンが合っているかどうかが判りやすい。
○ファインダーが暗いという話があるけど、K10Dと比較すれば程度の話で、特段気にならないレベル。
○ファインダー内の液晶表示については、AF測距モードの表示が追加されていたけど、最初気付かなかった(爆)。でも、有ったからって、OKボタンが探し辛いので余り意味がないような。
○電子水準器表示をONにすると露出補正バーに表示が出るため、押し出された露出補正はISO表示の所に数字で出る。これはまあ許すけど、ISO表示がすっ飛んでしまったのは残念。±5EVまで変更可能になった機会に露出補正を数字表示にして、表示を増やしたらどうだろうか?
AF動作
○AF測距の速度は(K10Dと比較して)かなり速く、精度も正確。でも、何とかEOS 20Dと差を論じることが出来る程度のレベル。EOS 40Dには全然敵わない感じ。
○コントラストが低く判断しづらい被写体のAF測距精度は相変わらずかも。でも、その閾値は随分と良くなったかなと思います。
○AF-Cは想像以上には使える。鐵だと(K10Dと比較して)それなりに食いついてくれるので、今までみたいにAFが追従せず全滅の可能性はなくなった。でも、流石に戦闘機は無理かも。
○でも、AF-Cだと測距のためにドラがばらつくのは減点。(だから「K-7はマシンガンにはあらず」と海外のレビューに書かれるんだよ。)
○シャッター半押しでのAF測距を生きたままにしているからかもしれないけど、AFボタンでのAF測距をしても、やはりドラはばらつく。
○(前ピン騒動が出ていますが)入手時の私のK-7ピンは正確でした。
○でも、一番左のAFラインセンサーの不良に遭遇。orz... このラインセンサー、鐵の縦位置撮影だと一番使いたいAF測距点なので、正直困りました。なお、レンズによっては動く物もあるし、巷で言われている「自動水平機構ON」「高ISO使用」「シャッター速度1/250sec.から高速側」の条件を外すと確かに動きます。CMOSセンサーは当たりっぽいので、修理対応を考えていますが、対策ファームウェアが出るかもしれないので、ちょっと様子見。
シャッター・コマ速
○コマ速が上がっても、かなり静か。
○でも、前述のとおり、AF-CではAF測距動作でドラがばらつくのは、ニコキャノと比較すると減点ポイント。まあ、EOS 40Dの、あのコマ速を維持しつつAFがキチンと効いている方が化け物だと思いますけど。
AE・AWB
○AEは暴れなくなって、かなり正確になったなのですが、被写体の色によってかなり引っ張られる感じ。白い九州色のキハ40系を撮ったら、白に釣られて露出が全体的に暗くなり、SLを撮ったら黒に釣られて露出が全体的に明るくなってしまった(赤いキハ185系九州横断特急は適正露出(爆))。よって、被写体によってはマニュアル露出かAE-Lを使うのが安全かも。
○AWBは、光源判断機能の追加で相当正確になりました。正直、キヤノンEOSと同レベル・・・と言いたいけど、それは朝焼け・夕焼け状態でどう写るかを試してないので、判断はペンディング。
背面液晶
○背面液晶は表示が細かく、明るい所でもかなり良く見える。
○画像拡大でも、かなり細かく綺麗に写るので、ピント確認もかなり容易。(余り拡大しすぎると、等倍以上になってJPEG圧縮のアラが見えてくるので、そこの点は勘違いしないように。)
電子水準器
○アナログの気泡式じゃないとダメと言ってたヒトでしたが、電子水準器・自動水平維持はクセ矯正に凄い役立つ。ファインダー内の電子水準器の表示を見て、ついつい電子水準器で水平にしようとするようになりました。今までは水平だと思っていたとしても、どうも右肩下がりの写真を撮っていたようです。
バッテリー
○容量は良いんだけど、充電器の問題か、バッテリーの充電時間に凄まじく時間がかかる(最長6時間半)。撮影旅行では結構大変なことになりそう。
○どうも、端子が増えて残容量がかなり正確にわかるらしいけど、ボディ側にその機能が搭載されていないのは勿体ない。
ユーザーインターフェース
○頻繁に露出モードを変える人なので、露出モード選択ダイヤルのロックボタンが煩わしい。(まあ、これは趣味の問題かなぁ)
○AF測距モードの変更ダイヤルが渋くて、指に近い右側での変更は無理。左側の出っ張った選択モードの印を親指の腹で押して変更しているので、表示を左側ではなく右側にした方が良いかも。
○Fnキーが無くなり、OKボタンへ割り振られた上に、WB、カスタムイメージ、ドライブモード、フラッシュが十字キーの最上階層に割り振られたため、AF測距点選択の階層が一段下がってしまったのは大問題。AF測距点選択がOKボタンを押してからとなってしまって、AF測距点選択モードの表示がファインダーに出るとは言え、ファインダー見ながらの選択がしづらくなってしまった。測距点が変わらないなと思っていたら、画質モードが変わっていたことが多発(爆)。
○OKボタンを押してからファインダーを覗けば良いじゃないか、と言う話はあるものの、やっぱりOKボタンの押し忘れが頻発したので、AF測距点選択は十字キーの最上階層において欲しかった。
○正直、ファインダーを覗きながらWB、カスタムイメージ、モータードライブ、フラッシュのモードを変更する人は殆どいないし、AF測距点をファインダーを見ないで選択する人も殆どいません。で、背面液晶を見ながら上記4モードの選択をするならば、ボタン1回押すのは苦にならないはずです。
○もし、どうしてもこの階層構造にするなら、ファインダーに接眼センサーを付けて、ファインダーが覗いたら自動的にAF測距点選択モードに切り替えるべき。まあ、接眼センサーを付けるなら、階層を変えた方がコストダウンだと思いますけど。
○横位置撮影での配置に特化している面があるため、縦位置操作にすると、十字キーが遠くてAF測距点選択が殆ど出来ない。(まあ、これはグリップを薄くしないとどうしようもないので、単3電池使用とのバーターと考えれば致し方ないかと。)
画質
○ライブビュー、動画モードは使っていないのですが、(少なくとも自分のボディで)撮って出てくる絵はノイズ・解像度ともまともと思えます。
○ただ、ライブビューをしてからの撮影では、どうなるかは試していないので、評価については夏の炎天下など過酷な状況下での撮影を試してからにしようかと思っています。(SLやまぐち号の特別編成撮影に投入するなどで評価を確定したいところ。)
○撮像素子が宙に浮いている関係で、撮像素子の廃熱は厳しいので、ノイズが少ない写真を撮ろうとしたら、ライブビュー、動画モードをなるべく使わない方が無難。CPU冷却などに使われているグラファイトシートで金属ボディへ伝熱して、金属ボディから放熱は出来ないかなと思います。
○K20Dに比較して解像感が低下しているという話があり、比較画像を見るとそう思わなくはないものの、正直ここまでのレベルになると五十歩百歩かと。
○解像感の低下は、DR IIがローパスフィルターを超音波で振動させてゴミ落としをしているので、ローパスフィルターを超音波で振動させても大丈夫なように厚くしてしまった所為かなと、私個人は勝手に思っています。
おまけ
○SDカードの相性が厳しいのは相変わらず。K-7投入に合わせてドスパラで約8000円のシリコンパワー社の32GBのSDHCカードを手に入れたけど、カードエラーがたまに出る。適当に抜き差しして、だましだまし使用。SunDisk(=東芝)やLexer辺りは、どうしても高いしなぁ・・・。
以上、箇条書きで書いてみましたが、特にPENTAX一番の売りであるユーザーインターフェースのレベルが下がってしまったのは、大変残念です。あと、K10DやK20Dではそれなりだったけど、今回は不具合もちょっと多い感じ。夏棒茄子に間に合わせるために熟成不足で出してきたのか、自分で写真を趣味にして撮影している技術者が少なくなってきたのか、ちょっと判りませんが、PENTAXの顔「タタミィ」やLimitedレンズの生みの親でもあるPENTAXの名レンズ設計者「J☆」こと平川さんがHOYAを退職されたと聞くと、正直、終わりの始まりにならなければ良いなと思います。PENTAXの若手技術者の頑張りに期待します。